新入社員の約半分が県外出身! 注目を集める理由
月の残業時間は2時間、ボーナスは基本給の4.1か月分、服装は自由。「こんな職場で働きたい!」そんな理想を体現したような会社が、新潟県加茂市にあります。それが、各方面から注目を集めている〈小柳(おやなぎ)建設株式会社〉。
同社のスタイルを象徴しているのが、ガラス張りのスタイリッシュなオフィス。1階には地域に開かれたコワーキングスペースが置かれ、2階と3階は自然光たっぷりの開放的なワーキングエリア。キッチンを備えたカフェテリアもあり、天気のいい日はテラス席でゆったり、なんていう過ごし方もできます。
自分の席を持たないフリーアドレスなので、従業員はどこで作業をしてもOK。新進気鋭のベンチャー企業のようですが、1945年創業の老舗建設会社というから、そのギャップにも驚きです。現在では新入社員の約半分が県外からやってくるそう。
「入社したいと思う人が、会社に来てがっかりするような社屋では、士気も下がります。みんながワクワクして、ここで働きたい! と思える場所をつくりたかったんです」と話すのは、3代目社長の小柳卓蔵さん。
小柳さんは、建設業でDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させたことで、業界では知られた人物。DXとはデジタルテクノロジーを活用することによって、ビジネスをより良いものへ変革していくこと。いまだにきつい、汚い、危険の「3K職場」であるイメージが残る建設業は、慢性的な人材不足に悩まされていますが、その問題を解消できるのではと、DXに期待が集まっているのです。
建設DXの旗手である小柳さんですが、もともと家業を継ぐ予定はなかったそう。
「会社は長男が継ぐものとして育てられてきました。私は三男坊なので、学校を出てからはお金のおもしろさを学びたくて金融業界へ。大学で法律を学んだこともあり、将来的には法律の仕事をしたいと考えていました」
ところが、後継者である長男が会社を退職することになり、当面のあいだ、父親である社長を助けるため、2008年に小柳建設に入社。実際に働いてみると、想像以上にアナログで属人的な業務体制に驚いたと当時を振り返ります。ひとつずつ課題を見つけては改善していく日々。
そして6年ほど経ったある日、父親から跡を継ぐことを打診されます。業界の将来に希望が持てなかった小柳さんは、即答できなかったそうですが、悩むうちに気持ちに変化が。
「アナログな業界だからこそ、逆に建設技術とITを融合できれば、業界で唯一無二の存在になれると気づいたんです。若い世代に『建設業はかっこいい』と思ってもらうことができれば、業界全体を変えることも夢ではないと思いました」
そこで2014年、社長に就任。これを機に本格的にDXに舵を切ります。
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