チャレンジしたい地域の人や、高校生の起業も支援
従業員のみならず、地域の人たちも積極的に応援したいと話す小柳さん。
「地域で挑戦している方々を応援したくて、1階にキッチン併設のコワーキングスペースを設けました。現在はここで定期的に“出張カフェ”を行っています。
これは、地元の店舗がスポットで出店し、自分たちの商品を販売しながらマーケットリサーチできるというもの。出店の基準は、何か新しいことに挑戦しているかどうか。企画書を出してもらい、我々が判断します。飲食店だけでなく、学生も大歓迎。地域に開かれたチャレンジの場にしたいと考えています」
また、全国の学生を対象に、起業支援も行っています。
「高校生起業家を応援するため、スタートアップ企業に投資する、いわゆる“エンジェル投資家”のグループに加わっています。いまは高校生も起業する時代。いずれは新潟でも高校生の起業を支援するような活動ができればいいなと考えています」
斬新な発想で、業界に新しい風を吹き込み続ける小柳さんのプライベートも気になるところ。趣味をたずねてみると、「ありません」とキッパリ。
「昔から食事に行ってもすぐにオペレーションを見てしまうタイプ。段取りが悪いなとか、自分が店長だったらこうするのにって(笑)。逆に新しいシステムやサービスなんかを見ると、おもしろいな、自分の仕事にも連結できないかなって。考えている時間が好きなんです」
そんな小柳さんの次なる構想は、建設業のビジネスモデル自体を変えること。
「建設会社は請負というビジネスモデルが一般的ですが、今後はサブスクリプション化していきたいと考えています。たとえば雪国の建設会社は冬は除雪の仕事が多いのですが、昨年から、積雪量にかかわらず定額で除雪を行うサブスクリプション除雪サービスを開始しました」
「建設業はかっこいいと思ってもらいたい。スマートに楽しく働ける業界にしたい」。それが小柳さんの一貫して変わらない目指すゴール。今後も従業員、建設業界、地域、学生などみんなにとってメリットのある、いままでにない働き方を新潟から発信してくれそうです。
Profile 小柳卓蔵
1981年新潟県生まれ。2008年に小柳建設株式会社に入社し、管理部門、総務・人事部門などを担当。常務、専務を経て2014年、3代目社長に就任。2016年、日本マイクロソフトと共同で〈ホロストラクション〉を開発し、建設DXの旗手となる。建設DXにおける講演なども積極的に行う。著書に『建設業界 DX革命』(幻冬舎)。
Information
【小柳建設株式会社】
web:小柳建設株式会社
credit text:矢島容代 photo:水野昭子