地域の野菜を使った農家カフェをオープン
新谷さんが目指した「地域の野菜がうまく売れる仕組みづくり」に欠かせないのが、農家の6次産業化です。6次産業とは、農林漁業者が生産(1次産業)だけでなく、食品加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)にも取り組み、収入を向上させるというもの。すべて行うことから「1次産業×2次産業×3次産業=6次産業」と呼ばれています。
「6次産業化を進めたいけれど、何から始めたらいいかわからないという方がたくさんいます。そういった農家さんをサポートしたいと思いました」
そこで「食の6次産業化プロデューサー」の資格を取得します。これは、食の分野で新しい価値を創出する資格。さらに、経験に基づいたアドバイスをするために、新谷さん自身もさつまいもを使った商品開発と販売を行うことに。
「さっそく加工所を探しました。でも見つかった物件が想像以上に広かったので、思い切ってカフェを開くことに。ここからさつまいもの魅力を発信しようと考えました」
とはいえ、新谷さんにとって、カフェ経営は初めての経験。
「不安はありましたが、店がうまくいかなければ、6次産業化のアドバイスをしたところで、誰も耳を傾けてくれません。最初の2、3年はカフェを軌道に乗せることだけを考えました」
店名は〈さつまいも農カフェ きらら〉。さつまいもを中心に、農家から届く野菜をふんだんに使ったメニューがウリの農家カフェです。特徴的なのは、ここでしか食べられない、ユニークなさつまいも料理の数々。
例えば、エビの代わりに、揚げたさつまいもを主役にした「エビのないエビチリ」、豚ひき肉をさつまいもとこんにゃくで代用したしゅうまい「しゅうまいも」、見た目はエビフライの「イモビフライ」など。常にレシピを考え、思いつくたびに、どんどんメニューに取り入れていくそう。
「食べるとちゃんとエビチリやしゅうまいの味がするんですよ! 私が目指してるのは、AIにも思いつかないような唯一無二のさつまいも料理です(笑)」
スイーツのイチオシは「焼きイモソフトクリーム」。アツアツのさつまいもにソフトクリームのせた、見た目もかわいらしい一品です。
魅力的なさつまいもメニューに加えて、新谷さんが「さつまいもマニア」として、全国ネットの某バラエティ番組に出演したことをきっかけに、店は全国から客が押し寄せる人気店に。気がつけば、カフェには信頼できるスタッフも揃い、新谷さんは6次産業化のアドバイザーとしての活動を本格的に進めていきます。
【 次のページ:週末は100個以上売れる
ヒット商品とは? 】