クリエイティブユニットとして
次なるステージへ
ふたりがクリエイターとして力をつけていけたのは、地域に根づくクリエイター同士のつながりが大きかったといいます。
「もともとこの地には、古着屋の経営者やデザイナーなど、表現に興味のある人たちが自然と集まる環境がありました。クラブのイベントやパーティでは、音楽、ダンス、写真、デザインなどが交わり、お互いに刺激を受けながら、創作活動を楽しんでいました」(酒井さん)
「当時、俺は20歳くらいで、ダンサーとしてそこにいました。ヒロスイさんは店にいる人たちを撮影し、その場でプリントアウトしてどんどん壁に貼っていくコラージュアートをつくっていたのをよく覚えています」(山之内さん)

そんな場での経験が、表現者としての力を育んできました。現在はプロとして、地元のクリエイターたちと一緒に仕事をすることも多いそうです。
「熟練の動画カメラマンさんや関東から移住された映像クリエイターさんなど、個性的でレベルの高い先輩たちが多く、刺激的です」(山之内さん)
「先輩のカメラマンさんに脚本の仕事で呼ばれることもあります。東京には各分野のプロが大勢いますが、こっちはいないので、互いの力を出し合わないとクリアできない。だからこそみんな仲がいい。新しい分野の仕事は、わからないことも多いので大変ですが、ルーティンに収まらないこのスタイルが自分には合っています」(酒井さん)

さらに、酒井さんと山之内さんは、新たな挑戦を視野に入れています。クリエイティブユニット〈CADE(ケイド)〉としての活動です。
「カメラとデザインの頭文字、“CA”と“DE”を合わせてケイドです。具体的な活動内容はこれからですが、映像とグラフィックの両方を手がけるふたりの強みを生かして、地元はもちろん、ほかの地域に眠る魅力的なモノやコトにも光を当てていけたらと思っています」(酒井さん)
「魚沼って“お米のまち”ってイメージが強いけど、『ヒロスイさんみたいなヤバいクリエイターがいるんだぞ!』っていうのを、デザインを通して伝えていきたいなと思っています」(山之内さん)

Profile 酒井 大
1981年新潟県生まれ。フォトグラファー。2003年に日本大学芸術学部写真学科を卒業後、東京都内の撮影スタジオでアシスタントとして勤務。その後、地元に戻り、貸衣装店のスタジオで約8年間勤務。2014年に独立し、〈ヒロスイ写真館〉を設立。ポートレート撮影を中心に、商品撮影や映像制作、脚本まで幅広く活動する。web|ヒロスイ写真館
Profile 山之内 匠
1989年新潟県生まれ。グラフィックデザイナー。高校卒業後、グラフィックデザインに興味を持ち、独学で学び始める。2017年に〈OUTPUT DESIGN〉を立ち上げ、現在はロゴデザイン、名刺、フライヤーの制作から、モーショングラフィックスやアニメーションを活用した映像編集まで手がけている。Instagram|@output_design
Information
【新潟ふるさとCM大賞】
web:新潟ふるさとCM大賞
credit text:矢島容代 photo:川瀬一絵