手ぬぐいを染める「注染」の作業工程をご紹介!
ここで、藤岡染工場が継承する伝統的な3つの染色技術をご紹介。
まずは、布の上から染料をかける「注染(ちゅうせん)」。藤岡染工場の手ぬぐいは、この技法で染められています。また、刷毛で布に染料を塗る「引染(ひきぞめ)」は、暖簾や大漁旗に。そして、染料に布を浸して染める「浸染(しんぜん)」は、酒屋の帆前掛けの染色に。
製品や生地によって、この3つの技法を使い分けています。
取材当日、注染で染められる手ぬぐいの工程を見学させてもらいました。新潟県で注染の技法を継承している染物屋は、いまは数軒しかないそうです。
まずは、手ぬぐいの生地となる晒(さらし)に糊をつける「糊付け」という作業から。糊がついているところが防染され、白く残ります。
晒に型紙を置き、大きなヘラで糊を置いたら型紙を持ちあげ、手ぬぐい1枚分の長さで折り返し、ジャバラ状に重ねます。こうすることで、晒の両面に糊が付着し、表裏のない柄になるという仕組み。
この際、少しでも晒がずれると余計な部分に糊がつき、商品になりません。職人の腕がものをいう、難しい作業です。
一度に4反分(1反=約10メートル)の晒に糊付けしたら、おがくずの中に晒を置き、糊の余分な水分を吸わせます。
おがくずから引きあげた晒を染台に置き、たっぷりと染料をかけていくのですが、その際に使われる道具は、大小さまざまな薬缶。
「柄の大きさによって、使う薬缶の大きさを変えます。染料の温度はだいたい65度くらい。毎回同じようにしていても、色が違ってくるので、感覚や手探りで調整していきます」
均等に染料をかけないと色ムラの原因に。ピンと張りつめた緊張のなか、慎重に、丁寧に、上下裏返しながら染料を注ぎます。
余分な染料と糊を落とすため、大きな水槽に晒を投入。
3つある水槽のひとつめには、阿賀野川から引き入れた水が。昔から染物屋がある地域にはきれいな川があるといわれますが、阿賀野市も然り。現在も昔ながらの伝統に則り、川の水で糊を落とします。
この糊を落とす作業、竹竿を使って晒を広げていくのですが、糊付けされた晒は重いだけでなく、広げるにもひと苦労。さらに、水面に晒を叩きつけ、糊をはがしていく作業の激しさといったら! 新米職人は、体力をつけるためにも、この作業からスタートするそうです。
次の水槽には水道水が満たされ、最後の洗い上げを行い、脱水したら竿にかけて干します。
この通り、手ぬぐいをはじめとした藤岡染工場の製品はすべて手作業で染められ、仕上げられます。使われる染料は、鮮やかになりすぎない昔ながらの染料を使用。やさしい色彩が、藤岡染工場の手ぬぐいの特徴ともいえます。
新しい商品を開発するときに常に心がけているのは、代々受け継いできた技術を必ず用いること。270年の歴史を大切に継承する野﨑さんたちの思いが、各製品に込められているのです。
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〈新潟手ぬぐい〉のデザインは誰が? 】