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北欧発祥の野外幼児教育。大自然の中で過ごす
〈森のこども園 てくてく〉ってどんなところ? | Page 2

2023.10.4

子どもたちひとりひとりの役割を大切にする

先生と一緒に火をおこす子どもたち

取材に訪れたこの日、森の散歩で木登りや虫取りを楽しむ3~4歳の子どもたちと、お昼に食べる“お汁”をつくる5~6歳の子どもたちとが、それぞれ分かれて活動していました。
マッチで火をつけて、火を焚くのも子どもたち。包丁を使って、園の畑で収穫したにんじんを切るのも子どもたち。「豆腐を切るときは、手のひらを使うんだよ」と子ども同士で教え合いながら調理が進んでいきます。

火にかけた鍋の番をする男の子
子どもたちが手を動かして火を起こすからこそ、「どうすれば熱くならないか」「危なくないか」を自分で考えるようになります。
集中してにんじんを切る男の子
にんじんを好きな大きさに切る子どもたち。包丁も、正しく使えば危なくないことを知っています。

大事にしているのは「自然を感じる・暮らしをつくる・子どもの力を信じる」の3つの思い。
自然に触れているから、子ども同士の関わり合いが生まれると小菅さんは言います。

「日々変化していく様子に子どもは引きつけられます。自然に動くものがあふれているからこそ、大人が介して子ども同士をつなげなくても、『虫があっちに行ったぞ』『よし、見に行ってみよう』などと子どもたちの対話が生まれる。私たちが必要以上に関わらなくても、自然の生き物や木々の変化が保育を担ってくれています」

また、「暮らし」を通じて育まれる心の成長にも、小菅さんならではの思いがあります。

「〈森のこども園 てくてく〉の給食は、管理栄養士さんによる自園調理の献立で、園で育てた野菜もたくさん使われています。また、自分たちで調理して食べる活動も、定期的に行います。ガスや電気のない森の中で、生きるための食事を、子どもたちが自分の手を使ってつくっていきます。子どもたちひとりひとりに役割があって、暮らしをつくることで、自分たちに価値があるという自己肯定感が高まっていくんです」

野菜、大豆、小魚、海藻を中心とした給食
野菜、大豆、小魚、海藻を中心とした給食。子どもたちは主食のみ持参し、おかずとお汁をよそったら「いただきます」。
好きな場所に座って給食を食べる子どもたち
お汁をつくってくれた友だち含めみんなに「ありがとう」を伝えて食べるお昼ごはん。木のベンチで食べる子、ツリーハウスに登って食べる子など、それぞれが好きな場所で食べます。

自由に過ごす子どもたちの姿に、入園を希望して見学にくる保護者から「集団行動が苦手になるのでは……」と質問されることも少なくないと小菅さんは笑います。

「私は、個に力があることが大事だと思うんです。主体的に動ける力を持った“個”が集まれば、集団は強くなる。子どもたちが、自然に教え合ったり、助け合ったりする姿を見て、そう感じています。大人が決めたやり方を指示するのではなく、『どう思う?』『何をしたい?』と、きちんと意見に耳を傾けることが、子どもの力を引き出していくと考えています」

協力して木登りをする子どもたち
園のいたるところで、お互いに教え合ったり、協力し合ったりする姿が見られます。
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