新潟のつかいかた

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冬の日本海夕日ラインを巡る。
美しい風景を胸に刻む、クルマ旅 Posted | 2024/05/24

旅の達人たちに、新潟の思い出深い旅を振り返ってもらう連載。第6回はウェブマガジン『カエライフ』で車中泊&アウトドアをテーマにしたイラストエッセイを連載中のイラストレーター・いとうみゆきさんが綴る、日本海夕日ラインの思い出です。

旅のスタイルは「クルマ旅」!
冬の新潟巡り旅、装備のアレコレ

私の好きなこと。
知らない場所をクルマで駆け抜けること。
きれいな風景をたくさん見ること。
おいしいものを食べること。

それをぜーんぶ叶えられたのが、新潟での3日間でした!

私の旅のスタイルはクルマ旅。

相棒のクルマ(白いクルマなので「白くま」という名前)の後部座席を簡単なベッドにして、いつでも寝られるスタイルの旅をしています。
そこにたくさんの荷物をつめこんで飛び出せば、家の分身の完成。

車中泊用の車内と洋服装備を解説したイラスト

寒い時期の車中泊はいつもより身構えてしまいますが、ごはんがおいしかったり意外と寝やすかったり、と楽しいこともいっぱいなので大好きです。虫もいないし、汗もかきにくいし、温泉のありがたみも増しまし!

日本海夕日ラインを旅したのは、2023年の冬。実はその夏にも友だちと越後湯沢に行ったので、半年ぶりの新潟でした。
夏は緑がいっぱいできらきらした新潟でしたが、ひとりでじっくり楽しむには秋冬もぴったり。

車内で暖をとりながら食事をする様子のイラスト

明け方の「瓢湖」で白鳥ウォッチング

小雨の降る冷たい冬の朝、最初に向かった先は阿賀野市水原(すいばら)地区にある瓢湖(ひょうこ)。
ラムサール条約の登録湿地であり、白鳥の飛来地として全国的にも有名な湖です。

瓢湖の遠景

ここの白鳥はシベリアから越冬しにきているそう。多い時には5000羽を超える白鳥に出合うことができます。

瓢湖の水面で泳ぐたくさんの白鳥

まだ薄暗い明け方、湖の上にぼうっと浮かび上がる白い白鳥たち。
この日は4000羽を超える白鳥がいたそうで……湖面は白鳥で埋め尽くされ、あちこちから鳴き声が聞こえてきました。

曇っていたので日の出は見られませんでしたが、次第に周囲が明るくなってくると、1羽、また1羽と飛び立っていきます。

日中は近くの田んぼで餌を探すので、瓢湖で会えるのは明け方と夕方とのこと(車を走らせていると田んぼにたくさん白い塊が見えます)。

飛び立った白鳥

私は旅鳥や渡り鳥が大好き。
居心地の良い場所を求めて遠いところから海を渡ってきて、好きなだけ過ごしたら帰っていく……自由に見えるその姿に憧れてしまうのです。

とはいえもちろん、渡りは命がけ。広い海を渡るのですから、危険もたくさんあります。それでも一生を賭けながら身ひとつで海を超えて旅をする姿は本当に美しく、体もしなやかで、かっこいいのです。

そして毎年正確に渡りを行えるのは、すぐれたナビゲーション能力を備えているから。
渡り鳥たちは地球の磁気を感じ取ったり、太陽や星座の位置を頼りにしたりしながら、海を渡ってくるらしいのです。

体内コンパスと天測……それって昔の船旅みたい!

生き様だけでなく、旅のスタイルもかっこいいのが渡り鳥。
やっぱり大好きです。

空を飛ぶ白鳥たち

そういえば、旅をしている時にいちばん出合う動物って鳥かもしれない。

車を走らせている時、遠くで飛んでいる鳥が見えたり、道を歩いている時、軽やかな声が横から聞こえたり、ふとした時に近くにいたりして、お互いにびっくりすることもしばしば。
それが普段見かけない種類の鳥だったりすると、自分が今旅をしていることをあらためて実感します。

楽しいだけじゃなくて大変なこともたくさんあるけど、その先にあるものに向かってとにかく羽ばたいていく、鳥。そして旅。

朝の訪れとともに飛び立っていく白鳥たちに勝手に共感し、励まされ、先に進む力をもらったのでした。

白鳥たちが群れをなしている瓢湖の湖面

白鳥が飛来するのは10~3月の間だけ。そのほかの時期はまたシベリアのほうに行ってしまうのでしょう。

それでも、季節が一巡りしたらまた会えるの。やぁ、また会ったね、って。

新潟の海の夕焼け

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