牛2頭のモニュメントが出迎える、酪農発祥の地
新潟県の北東部に位置する阿賀野市は、標高1000メートル級の山々が連なる五頭連峰や阿賀野川が流れる自然豊かな場所です。阿賀野市にある旧安田町は「新潟県酪農発祥の地」とされ、おいしい牛乳の安定的供給地として広く知られています。
そんな阿賀野市には、質の高い牛乳や濃厚ジェラートなど、牛乳を使った製品を味わえる酪農スポットがあります。今回はこの地域ならではの酪農の秘密と、おいしいスイーツを求めて阿賀野市へ。
国道49号線(若松街道)を会津から阿賀町方面に車を走らせていると、久保北信号の交差点右手に「新潟県酪農発祥之地」と書かれた石碑と、乳牛2頭のモニュメントが見えてきました。

新潟県の酪農は、明治時代の後期に阿賀野市(旧安田町)の大地主が海外を視察した際、「日本人の体格を欧米人並みにするには乳製品が必要だ」と考え、乳牛3頭を購入したことが始まりです。その後、安田ツベタという場所に牧場を開設し、新潟県での酪農をスタートさせました。
しかし、バターやチーズなどの乳製品は当時の日本では消費が伸びず、牧場の経営は行き詰まってしまいました。その後1920年(大正9年)に、安田地域に残っていた飼育農家が〈六野瀬地区牛乳販売利用組合〉を設立し、再び酪農を開始。食生活の欧米化や生活水準の向上による乳製品の消費の増加に合わせて、このエリアでは酪農が再び広がっていきました。

米どころとして知られる新潟ですが、旧安田町には「だしの風」と呼ばれる乾燥した強風が吹き、農作物が育ちにくかったというのも酪農が広まった理由のひとつでした。牧草であれば、風で倒れても問題なかったのだそうです。
こうして旧安田町では、酪農が定着し、現在も良質な牛乳の生産地として引き継がれています。

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〈神田酪農〉 】

