新潟のつかいかた

spot-artisan-004-paged2

はじまりは戦国時代!?
一流の花火師たちが情熱を燃やす
「打ち揚げ花火」最前線へ | Page 2 Posted | 2022/11/11

火気厳禁! 打ち揚げ花火の玉づくりの現場を歩く

〈小千谷煙火興業〉の敷地内を歩き、製造工程を追ってみました。

〈小千谷煙火興業〉の敷地内風景と「火の用心」と書かれた水の入ったバケツ
広い敷地内はリスク管理が徹底されている。

歩き出すと、まず目に飛び込んでくるのは分厚いコンクリートづくりの建物群。高くそびえる避雷針や「火気厳禁」の立て札も各所にあります。

火薬を扱っているため、万一、引火してもほかには被害が出ないように、製造の工房や貯蔵庫などは複数に分けて管理しているといいます。冬場や春先はニット類の静電気にも細心の注意を払うというから、まさに命がけの作業。

「星」をつめる瀬沼さん
瀬沼さんの工房。

「作業をしながら考えるのは、無事に揚がるように、きれいに丸く開くように、ということです。机に向かって作業するからデスクワークに近いけれど、常に緊張感があるという意味では珍しいかも。気持ちを引き締めながら、ひと粒ひと粒並べていきます」

瀬沼さんの手のひら
半球にびっしりと「星」を敷き詰めていく瀬沼さんの手。

いつまで経っても難しいと思う工程は? と尋ねると、「やっぱり『星』の配合かなあ」と瀬沼さん。「星」は、色の組み合わせやトーンを変えたり、点滅させたりと無限にデザインできるからこそ、おもしろくて難しいといいます。

中が見えるよう半分に割られた「星」
これは燃えると白い層が紅色に、中心部が銀色に光るタイプの「星」。紅色から銀色に変色しながら輝く。

「よくいわれるのが『男性は形を見る、女性は色を見る』ということ。花火師というと男性のイメージが強いかもしれませんが、女性もいて、デザインする際は貴重な意見を出してくれます。聞けば、女性って男性の3倍以上の色彩が見えている人もいるそうですね。僕は女性ほど色の違いがわからないので、やっぱり花火師は男女どちらも必要です」

さて、玉の中身を詰め終わったら、「玉はり」の工程へ。専用の作業場では、この道20年のベテラン・篠塚和美さんが10層目の紙を貼っているところでした。乾かしては貼り、貼っては乾かし……を繰り返して、玉の強度を上げるといいます。

「玉はり」作業中の篠塚和美さん
幾重にも紙を貼り重ねる「玉はり」の光景。

紙を貼り終えた玉を持って、篠塚さんが向かったのは「乾燥室」。ポカポカと温まった棚の中には、大小さまざまな玉が並んでいました。

乾燥室の外観
灯油で暖められた「乾燥室」。
網棚に並べられた玉
乾燥中の玉。

こうした工程を経て、完成した花火は貯蔵庫へ。中をのぞいてみると、「今(10月上旬)はほとんど空っぽです。今年の花火は打ち尽くしました」という瀬沼さん。これからまた夏に向けて、貯蔵庫いっぱいに花火を蓄えていくのだそうです。

三尺玉や花火の入った箱が並ぶ貯蔵庫
貯蔵庫の内部。

ワンシーズン分の花火をつくるのに、かかる期間は10か月。冬場は数メートル積もった雪を掘り進み、作業場に入り、静電気に気をつけながら根気よく作業を続けて、夏に日の目を見るまではガマンの日々だとか。

「本当に好きじゃないとできない仕事です。今、うちに勤めてくれているスタッフも、花火が好きな人ばかり。『日本一になろうな!』と、いつもみんなで話しています」

花火の玉を装填する筒が数多く並ぶ

次のページ:進化する
打ち揚げ花火の最前線


次のページへ →