メイン写真:レアンドロ・エルリッヒ《Palimpsest:空の池》(photo:Osamu Nakamura)
芸術祭はここからスタート!〈越後妻有里山現代美術館[キナーレ]〉
3年に1度の世界最大規模の芸術祭〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018〉が開幕! 2000年から新潟県十日町市と津南町で開かれてきたトリエンナーレも今年で7回目。200を超える常設作品に加えて新作も登場し、越後妻有の里山にさまざまなアート作品が繰り広げられます。
全国でも数多く見られるようになった地域芸術祭の先駆けであるこの芸術祭は、里山の圧倒的な自然や美しい光景の中で作品に触れることで、より多層的なアート体験ができることが特徴です。
今回は、芸術祭のメイン拠点である〈越後妻有里山現代美術館[キナーレ]〉と、今年から新設されたオフィシャルツアーを中心に、見どころをご紹介します。
キナーレの回廊に囲まれた中央の池には、巨大な作品が出現。池の水面に光が反射し、建物や空をまるで鏡のように映し出しています。この作品《Palimpsest:空の池》をつくったのは、アルゼンチン出身のレアンドロ・エルリッヒ。昨年から今年にかけて東京・森美術館で開催された個展が入館者60万人を突破する人気ぶりを見せ、これまで大地の芸術祭でも作品を発表してきたアーティストです。不思議な感覚を喚起させる作品は、ぜひ現地で体験したいもの。
また今回キナーレでは、『2018年の「方丈記私記」建築家とアーティストによる四畳半の宇宙』と題した展覧会を開催。小さな庵に移り住んで世の中を見つめた鴨長明にならい、さまざまな建築家やアーティストが2.73メートル四方の小さな空間から、現代を捉え直すという企画です。
たとえばデザインユニット〈KIGI〉は、《スタンディグ酒BAR 酔独楽・よいごま》と題して、彼らがデザインした杯でお酒を提供するバーをつくり出しました。
ほかにも、東京藝術大学美術学部建築家藤村龍至研究室による、デジタル加工したダンボールを使ったコーヒーショップや、地元の和菓子屋さんや農家とコラボレーションした《越後妻有 コラボ甘味屋台》などが出現します。
また会期中毎日、EAT & ART TAROによる「ザ おこめショー」を開催。新潟といえば日本有数の米どころ。越後妻有の豊かな自然が育んだおいしいお米についての話を聞きながら、各地域のお米を食べ比べることができるプログラムです。こんな楽しみ方ができるのも、大地の芸術祭の楽しいところ。
ほかにも里山現代美術館には、トンネルとかまぼこ倉庫に着想を得たエルリッヒの作品《トンネル》や、十日町の織物道具や農機具の影を投影させるクワクボリョウタの《LOST #6》など、見応えある常設作品が。
さらにキナーレには〈明石の湯〉という温泉施設もあるので、ゆっくり楽しめますよ。
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