新潟のつかいかた

越後妻有を横断する「カモシカぴょんぴょんコース」

世界最大規模の芸術祭
〈大地の芸術祭 越後妻有
アートトリエンナーレ2018〉
の見どころをチェック! | Page 3 Posted | 2018/08/18

越後妻有を横断する「カモシカぴょんぴょんコース」

もうひとつのツアーが「カモシカぴょんぴょんコース(里山・土木編)」。こちらは傾斜地に築き上げられた棚田や、蛇行する河川の流路を変えてつくった「瀬替え田」を見ながら越後妻有を横断するコースです。

必見は越後妻有を代表する名所、清津峡渓谷トンネルを、中国のマ・ヤンソン/MADアーキテクツが改修した《ライトケーブ》。全長750メートルのトンネルの途中では、清津峡の絶景を望むポイントがあり、終点では景観を反転して映し出す「水盤鏡」の幻想的な光景が待っています。

マ・ヤンソン/MADアーキテクツ《ライトケーブ》
マ・ヤンソン/MADアーキテクツ《ライトケーブ》(photo:Osamu Nakamura)

これまでも越後妻有の大地をテーマにした作品を発表し、この芸術祭の象徴ともいえる作家、磯辺行久。長年かけて調べた越後妻有の地形、気候、風土を可視化した「信濃川 水の路プロジェクト」を複数の作品で展開します。新作《サイフォン導水のモニュメント》は、地下に280メートルにわたり流れている水力発電用の水の動きと音を可視化した作品です。

磯辺行久《サイフォン導水のモニュメント》
磯辺行久《サイフォン導水のモニュメント》(photo:Keizo Kioku)

ランチは、閉校した小学校の校舎を利用した「奴奈川(ぬながわ)キャンパス」にある食堂〈TSUMARI KITCHEN〉で。東京・六本木の〈Jean-Georges Tokyo〉総料理長を務めた米澤文雄シェフ監修のレストランです。地元食材にこだわり、地元の食文化を生かしたランチをどうぞ。

食堂〈TSUMARI KITCHEN〉のランチ料理
photo:Mikihiko Shinohara

途中、十日町市を代表する絶景「星峠の棚田」も見られます。大小約200の棚田が広がる光景は、脈々と続く大地の中での人の営みを想起させます。

星峠の棚田
撮影:在本彌生

その星峠の棚田の近くにある《脱皮する家》は、鞍掛純一+日大芸術学部彫刻コース有志による作品。壁から床、天井にいたるまで、約2年半かけて古民家をまるごと彫刻刀で掘り上げた、圧巻の作品です。一棟貸しの宿泊施設にもなっていて、泊まれるアート作品というのもユニーク。

鞍掛純一+日大芸術学部彫刻コース有志《脱皮する家》
鞍掛純一+日大芸術学部彫刻コース有志《脱皮する家》(photo:Kazue kawase)

芸術祭の拠点のひとつ、まつだい「農舞台」の周辺にはさまざまなアートが点在しているので、自然とアートが一体となった風景が楽しめます。また会期中、農舞台では『イダキ・ディジュリドゥとオーストラリアの大地の音』展を開催。アボリジニの人々の楽器、ディジュリドゥや南オーストラリア博物館のコレクションを紹介しています。

農舞台と草間彌生《花咲ける妻有》
農舞台と草間彌生《花咲ける妻有》(photo:Osamu Nakamura)

今回は松代商店街でも作品が展開されています。そのひとつ、モロッコ出身のムニール・ファトゥミは、暖房器具をたくさん使った家《カサバラタ》を発表。作品名は、彼が生まれたまちの名前だそう。越後妻有の家に作家の幼少時代の記憶が重なります。

ムニール・ファトゥミ《カサバラタ》
ムニール・ファトゥミ《カサバラタ》(photo:Keizo Kioku)

また金氏徹平は、冬のあいだしか使われない除雪車をモチーフに《SF(Summer Fiction)》というインスタレーションを展示。夏は倉庫で眠っている除雪車が、音や照明とともに作品として覚醒します。

金氏徹平《SF(Summer Fiction)》
金氏徹平《SF(Summer Fiction)》(photo:Keizo Kioku)

カモシカぴょんぴょんコースは、越後湯沢駅発、越後湯沢駅と十日町駅着で会期中毎日2コース運行、8月の日曜日と9月の土曜日は上越妙高駅(高田駅)発着もあります。

今回ご紹介した2コースはいずれも1日のツアーですが、半日のセレクトバスツアーも複数あるので、それらを組み合わせてもよし、レンタカーなどでマイペースにめぐるのもよし。いずれにしても、数日滞在してゆっくり楽しむのがおすすめです。

駆け足でツアーをご紹介してきましたが、いかがでしたか? ここで紹介したものは、まだまだたくさんある作品のほんの一部。そして何より大地の芸術祭の醍醐味は、作品だけでなく、そこにたどり着くまでに美しい景色や特色ある風土に出会えること。そこでしか感じられないものこそが、忘れられないアート体験となるのです。

ぜひ、現地で作品に触れ、越後妻有の里山をまるごと体感してみてください。

Information

【大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018】

会期:2018年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

開催地:越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)

料金:パスポート 一般3500円/高校・専門・大学生 3000円/中学生以下無料

ツアー料金:9800円(バス代、昼食代、保険代、ガイド代含む、パスポート代別途)

web:www.echigo-tsumari.jp/triennale2018/

credit text:コロカル編集部 写真提供:大地の芸術祭実行委員会