信濃川に沿って縦断する「シャケ川のぼりコース」
今回から新たにふたつのオフィシャルツアーがスタート。作品がたくさんあってどこを回ったらいいのかわからない、自家用車がないので見て回るのが大変、という人はこういったツアーを利用するのもおすすめ。1日で芸術祭のダイジェストを見ることができ、ガイドつきなので、作品についての理解も深まります。
まずは「シャケ川のぼりコース(信濃川・河岸段丘編)」。ツアー名もユニークですが、約40万年前から始まったといわれる土地の隆起や、信濃川の浸食作用でできた河岸段丘を見ながら越後妻有を縦断するコースです。
台湾の人気絵本作家ジミー・リャオが、「JR飯山線プロジェクト」のひとつとして在来線の駅につくった作品がこちら。この地域でよく見られるかまぼこ型倉庫に、小さな男の子がおじいちゃんに会いに行くという絵本の世界が描かれています。
今年、オーストラリアハウス、中国ハウスに続く、新しいレジデンス施設「香港ハウス」が誕生。香港のアーティストやパフォーマー、研究者が滞在しながら創作活動をする文化交流拠点です。今後も継続的な交流プログラムが企画されています。
ランチがついているのもこのツアーの魅力。地元のお母さんたちがお芝居とともに食事を振る舞う「上郷クローブ座レストラン」か、焼きものミュージアム&レストラン「うぶすなの家」、「ザ おこめショー」のいずれかで、地元の食材を生かしたランチをいただきます。
メキシコのアーティスト、ダミアン・オルテガは、かつて機織工場だった空間で作品を発表。編むことは天国と大地をひとつにするという意味があるというメキシコの神話に着想を得て、複雑に織り込まれたカーテンのような作品を生み出しました。
廃校になった小学校の校舎全体を使い壮大なインスタレーションを展開しているクリスチャン・ボルタンスキーの《最後の教室》。その校舎に、新作《影の劇場》が誕生。ガイコツやコウモリ、天使などが踊る幻想的な影絵が暗闇に浮かび上がります。
韓国で17年間にわたり「自然芸術」を継続してきた韓国自然芸術家協会〈YATOO(野投)〉が手がける企画展『野投ースペクトラム展』も注目です。「人間と自然が共存する美しさ」をコンセプトに、8か国で活躍する10名の作家がネイチャーアートのいまを提示します。
中国を代表するアーティストのひとりシュー・ビンは、日本の水墨画をモチーフにした巨大な作品を展示。影絵のしくみを用い、表と裏でまったく違う表情を見せる作品です。
ほかにも、絵本作家の田島征三が集落の人たちと手がける「絵本と木の実の美術館」などをめぐります。
シャケ川のぼりコースは越後湯沢駅、十日町駅発着で会期中毎日2コース運行、8月の土曜日と9月の日曜日には上越妙高駅(高田駅)発着もあります。
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