新潟のつかいかた

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“奇跡のニット”を生んだ、
五泉ニットの
ファクトリーブランド
〈WRAPINKNOT〉 Posted | 2018/10/19

新潟から発信される、世界レベルのニット技術

新潟県のほぼ中央に位置し、良質な水資源に恵まれた五泉市。江戸時代から戦前までは、京都の丹後、滋賀の長浜と共に「全国三大白生地産地」として、絹の織物産業で栄えた五泉市。現在では婦人ニット製品の生産で日本一を誇る “ニットのまち”として知られています。

さまざまな編み目を組み合わせたニット生地。
さまざまな編み目を組み合わせたニット生地。

糸の染色にはじまり、ニット生地の編み立てから縫製、そして加工まで、さまざまな工程を経て完成するニット製品。五泉市には各工程を担う工場がそろっており、工場同士が連携し合うことによって、市内だけでニット製品を完成できるという、ニットの産地としてほかにはない大きな強みを持っています。

市内の大手メーカー〈ウメダニット〉の外観

また、長年培われてきた編立技術と縫製力も、五泉市でつくられる五泉ニットの特徴。ほかの産地では難しいとされる細い糸を使っての編立や、布はくなどの異素材とニットを組み合わせる製品を得意とし、その高い技術力にほれこむデザイナーも多いのだそう。

五泉ニットをさらに知るなら

Gosen Knit 五泉ニット工業協同組合(オンラインストアもあり)

ジャージなどの生地を編む丸編機
ジャージなどの生地を編む丸編機。五泉市のニット工場でこの編機があるのは〈ウメダニット〉だけなのだそう。

現在では五泉ニットならではの魅力を生かした、市内の大手メーカーによるファクトリーブランドも登場しています。その中でもひときわ目を引くのが、高い技術力と洗練されたデザインが融合した、〈ウメダニット〉によるブランド〈WRAPINKNOT(ラッピンノット)〉。

1キロ巻きの糸
1キロ巻きの糸。編み機にセットされる前には、ワックスがけや巻きなおしの作業が。「編むことは機械が自動でしてくれますが、その前の準備はすべて人間の手で行わないといけない。自動化できない部分が、実はかなり多いです」

独自のコレクションだけでなく、有名セレクトショップとのコラボレーションも数々手がける〈WRAPINKNOT〉。ファッションの流行に敏感な方なら「〈奇跡のニット〉シリーズを手がけているブランド」と聞けばピンとくるかもしれません。

新技術の導入で広がった“ニット”の可能性

1947年に〈ウメダメリヤス〉として創業し、1961年に現在の社名となった〈ウメダニット〉。ニット素材の開発から縫製まで一貫した生産体制を持ち、五泉市の中でも最大級の規模を誇るニットメーカーです。その基盤ができたのは、ニットの新技術の導入がきっかけだったそう。

ディレクターでもあり、〈ウメダニット〉常務取締役の梅田大樹さん
〈WRAPINKNOT〉ディレクターでもあり、〈ウメダニット〉常務取締役の梅田大樹さん。

「70年代から80年代にかけて、大手アパレルメーカーさんと組んで、当時ヨーロッパで確立されていたパターンドニットの手法を学ぶ機会があり、それが会社としての飛躍となりました」と教えてくれたのは〈WRAPINKNOT〉のディレクターであり、〈ウメダニット〉の3代目でもある梅田大樹さん。

平らな状態で生地を編み上げる横編機
筒状に生地ができあがる丸編機に対し、平らな状態で生地を編み上げる横編機。取材をした9月下旬は秋冬の生産ピーク時で、50台あるという横編機はフル稼働。

それまで主流だったのが、袖や身ごろの形に編まれたパーツを縫い合わせて、一着のニットに仕立てる手法でした。それに対しパターンドニットは、四角く編んだニット生地にパターン(型紙)をあてて裁断するという、まったく新しい手法。

このパターンドニットによる立体裁断仕立ての確立により、トップスだけでなく、パンツやスカートなどをニットでつくることが可能に。“ニット”という素材による表現や可能性がグンと広がっていったのでした。

生地の状態を見極める現場の人たち
素材によって裁断の方法が変わるニット生地。また生地の両端に出やすい傷の具合や、湿気による縮みに合わせたうえで裁断を行う必要があるため、現場の人たちには生地の状態を見極める能力も求められます。

「いろいろなアイテムがつくれるように〈ウメダニット〉の技術や設備が拡大していったのが、この時期だったと聞いています。ただ当時はニットよりもコートやジャケットといった縫製の仕事のほうが多く、昔の〈ウメダニット〉を知らない人には『なんで社名が“ニット”なのですか?』と聞かれることもあったそうです」

編み目をチェックする職人さんの手元

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