新潟のつかいかた

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“奇跡のニット”を生んだ、
五泉ニットの
ファクトリーブランド
〈WRAPINKNOT〉 | Page 2 Posted | 2018/10/19

ニットだからこそ表現できる、ほかにない独自性

〈ウメダニット〉の3代目として生まれた梅田さんですが、意外にも〈ウメダニット〉に入社したのは11年前の2007年。東京の大学を卒業した後は、大手アパレルメーカーと商社で働いていたのだそう。

〈ウメダニット〉の従業員の約半数が所属する縫製部
〈ウメダニット〉の従業員の約半数が所属する縫製部。工場の心臓部ともいえる存在。さまざまな種類のミシンが並ぶ縫製部。数が多いのは生地の端を処理するロックミシンや、本縫い用のミシンですが、中には刺繍メーカーにしかないような特殊なミシンも。

「小さい頃に工場のまわりで遊んでいた記憶はあるのですが、つくっているものの内容はまったく知らずにいて。父に言われて新潟に戻り、初めて『こんな仕事をしていたのか!』と知りましたね、自分の実家なのに」

アイロンがけの様子

入社し、アパレルメーカーのOEM(他社ブランドの製品の製造)やODM(他社ブランドの製品設計・開発・製造)の営業をしていた梅田さん。同時に大手メーカーのものづくりの拠点が、国内から海外へとシフトしていくのを目の当たりにします。

そんななかで「付加価値のあるものを生み出すしかないと思った」という梅田さん。「糸を買って、いろいろな編み方や見せ方を考えるニットは生地づくりに近く、オリジナリティを出しやすい。そこでもう一回、会社としてニットに力を入れようとなったのです」

ニット特有のリンキングと呼ばれる、パーツを継ぎ合わせる縫製
ニット特有のリンキングと呼ばれる、パーツを継ぎ合わせる縫製。
リンキングに使われる機械
手前の細かい針に、ニット生地の編み目ひとつひとつをさしていきます。編み目が細かくなればなるほど、緻密な作業を求められます。
リンキングの様子
細い糸で編まれたハイゲージのニットや黒いニット生地の場合、編み目がまったく見えなくなるので、さらに作業のレベルは高くなります。

「ただ、ニットにシフトしてしまうと縫製の仕事が少なくなり、技術力が落ちてしまう。でも技術の継承は、絶対に必要だと感じていました。そこで考え始めたのが自社ブランドを立ち上げることでした」

身近すぎて気づけなかった、高い技術力

2011年の春、自社ブランド立ち上げの企画書を製作していた梅田さん。ちょうどその頃、有名ブランドで働く同級生が梅田さんのもとを訪れます。

「『梅田の家の工場を見たことがないから、今度帰省したときに行くよ』と言われていたので案内したところ、『いろいろな工場を見てきたけど、この規模でニットから縫製まで一貫してできる工場は国内ではそうそうない。絶対に自社ブランドをやったほうがいい!』と後押しをもらったんです」

出荷を待つ〈ウメダニット〉生まれのニットたち
出荷を待つ〈ウメダニット〉生まれのニットたち。周りには大手アパレルメーカーのロゴが入った段ボールや伝票が。

信頼できる同級生からの心強い後押しをもらい、企画書を完成させた梅田さん。でも、すぐには社長の理解を得られませんでした。

「うちの会社は、ほぼレディース製品の生産だけできていたので、メンズとレディースのブランド両方を立ち上げたいと伝えたところ『メンズなんて!』と大反対に近かったです。でも、やってみないわからないというところで押し切り、2011年の秋に2012春夏コレクションで〈WRAPINKNOT〉をスタートさせました」

2018年春夏シーズンにつくられたコートの生地

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