ワーケーションは、新しい働き方の入り口である
ーー働き方の多様性につながるとすれば、ワーケーションはもっと手軽になるべきなのでしょうか?
平原 そういう傾向にあると思いますね。出張がビジネスシーンで当たり前になったように、ワーケーションもおそらくそうなっていくのではないかと思います。ただ、その速度に対して、地域側がもっと意図的にアクションしないともったいないと思っています。
竹内 働き方はすでに変わってきていると思うし、大きな声では言わないけれども実はやっている「隠れワーケーター」のような人もたくさんいると思います。どちらにしろ、この先どんどん人口が減っていくと、労働力をシェアしない限り企業も地域ももたなくなってしまうだろうし、多くの人が介護や子育てなどをしながら働くことになるだろうと考えられます。
つまり、楽しいからワーケーションしようというよりも、必然的にそうなるだろうということ。だから、そういう働き方ができる人からどんどん実践していかなければという課題感があります。
伊藤 ものすごく納得です。結婚・出産・育児をきっかけにフリーランスになる人がいますが、なぜフリーランスになるかといえば、自宅で自分の裁量で仕事ができるから。もしも企業に属しながらそういう働き方ができるのであれば、人生で一時的に何かに時間を割かなければいけないタイミングで労働力を失わずに済みますよね。
ーーワーケーションは、そういう働き方が当たり前になるまでの入り口になりますよね。
伊藤 そう思います。最近、首都圏の若手ビジネスパーソンから、今の仕事を続けながら地方の課題解決に関わりたいという声を結構聞くんです。
平原 だんだん増えていますよね。40代、50代で親の介護のために地元に帰ってきた人でも、自分で何かを始めようと思い立つ人が増えている気がします。そういう選択に前向きになれる時代になってきたのではないでしょうか。
竹内 企業が社員を定年まで抱えることが難しくなっているなか、副業をすることも必然になってくると思うんです。そうすると、都市部の仕事をしつつ地域の仕事にも関わることが普通になるんじゃないかと思います。その地域が自分の生まれた場所だったらうれしいですよね。
伊藤 外から来る人を幸せにという以前に、ここに住んでいる人や出身者が幸せを感じられる地域にしないといけませんね。
ーーその地で暮らしている人が豊かでないと、そこに 住みたい・遊びに行きたいとは誰も思わないですよね。だからこそ、地域の教育や暮らし方、働き方をアップデートすることは必要だと思っています。ワーケーションはその入り口として使い勝手のいい言葉。いずれはこうした働き方が当たり前になり、「ワーケーション」という言葉が自然と消えてなくなるくらいになればいいのかなと思います。
Information
【上越ワーケーションWEEK】
web:上越ワーケーションWEEK
2023年2月20日から3月10日まで、上越エリアの3市(妙高市、上越市、糸魚川市)のコワーキング運営者有志による『上越ワーケーションWEEK』が開催されました。イベントはすでに終了していますが、ホームページには3市のコワーキングスペースなど情報が掲載されています。
credit text:山田宗太朗 photo:ただ(ゆかい)