在来種が11種も!? “なす”の知られざる産地、新潟
夏野菜の代表格である“なす”は、和食、洋食、中華、イタリアンなど、さまざまな料理に使える万能野菜です。その作付面積全国1位を誇るのが、新潟県。しかも過去10年を振り返っても変わらず1位というから驚きです(出典:農林水産省「野菜生産出荷統計」)。
新潟県は古くからなすの産地であり、5月中旬〜10月頃までさまざまな品種のなすを味わうことができます。各地域で異なる品種を育てていて、11種類が〈にいがたの伝統野菜〉に指定されているほど。なすの原産はインドだと言われており、栽培には水と暑さが必要ですが、新潟の夏は蒸し暑く、なすの生産に適しているのだとか。
色や形、味わいも異なる多品種のなかから、いくつかピックアップしてご紹介します。
● 十全なす
巾着型で皮がやわらかく、果肉がしまっている〈十全なす〉。新潟の夏の定番である“浅漬け”に適しています。新潟県民にとってなすの浅漬けは、枝豆と並んでビールのお供としてお決まりの一品。栽培の難しさから収穫量が少ないため、県内で消費され、県外で見かけることはほとんどないそうです。
お取り寄せ
新潟の夏の味覚〈十全なすの浅漬け〉はこちらからお取り寄せが可能です。噛みしめるごとにジュワッとおいしさが広がる“なす漬け”をぜひ味わってみませんか?
お取り寄せ:新潟・直送計画(十全茄子漬)
● 上越丸えんぴつなす
上越市の農家3軒のみで生産されているという稀少な品種が〈上越丸えんぴつなす〉。上越市の山間部で70年以上前から、種採りをしながら栽培し続けられています。先端が少し尖っていて、アクが少なく油や出汁との相性が良いので、調理するととろけるような食感と風味を楽しむことができます。2014年にはこのなすを守り普及していく目的で〈上越丸えんぴつナス研究会〉が発足しています。
お取り寄せ
日本野菜ソムリエ協会主催の「野菜ソムリエサミット」で、2017年に銀賞を受賞した〈上越丸えんぴつなす〉。減農薬・減化学肥料で栽培された新鮮ななすを産地から取り寄せることができます。
● やきなす
両手で持っても溢れんばかりの〈やきなす〉。その名の通り、焼いて食べるのが一番おいしいと評判です。昭和30年代に自家採種した〈えんぴつなす〉の種から大きいものだけを選び、オリジナルで育てたそう。大きくてもやわらかくジューシーで、網焼きにして生姜醤油で食べたら止まらないおいしさですよ。
ほかにも、長岡野菜ブランド協会の「長岡野菜」に認定されている〈長岡巾着なす〉や、十日町で栽培されている〈丸なす(梵天丸・ぼんてんまる)〉、新潟市西蒲区で育てられている色が真っ白な〈越後白なす〉など、珍しいなすを生産している新潟県。複数種がスーパーなどの店頭に並ぶと、新潟県民は夏が来たと実感するのだとか。
焼く、煮る、蒸す、炒める、揚げる、漬けるなどさまざまな調理法がありますが、地元では漬物と味噌汁に使うことが多いそうです。今回は定番の漬物に加え、3つの調理法「焼く、蒸す、揚げる」と、そこからのアレンジレシピをご紹介します。
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