期待の星!
ルーキー・井神選手と寺戸選手
今年の4月、ふたりの選手がFC越後妻有に入団しました。
ひとりは小笠原諸島母島出身の寺戸選手。高校までサッカーを続けたのち、横浜の幼児教育の専門学校へ。たまたま川崎のフットサル場でFC越後妻有の存在を知り、「サッカーと農業って、どういうこと!?」と、ほかでは聞いたことのないライフスタイルに興味を持ったといいます。
「ただただ、サッカーと農業の両立って不思議だな……って疑問から始まって。その答えを知りたくて、坂口さんにお話を聞きに行ったら『見学だけでもおいでよ』っておっしゃってくださったので、昨年の秋頃に新潟を訪ねたんです。そこで、この地域の雰囲気がすごく好きだな、って思って」(寺戸選手)
もうひとりのルーキー・井神選手は、西川選手と同じ神戸出身。小学2年生から大学までサッカーを続けてきた彼女は、大学でFC越後妻有の存在を知り――
「まだメンバーが揃っていないからこそ、サッカーチームを一からつくることに携われることに魅力を感じました。農業は経験ないけれど、それも挑戦してみる価値があるんじゃないか、と思ったんです」(井神選手)
縁はあっても、ゆかりがあるわけではない新潟への移住に、家族が心配するのは当然のこと。一時は反対されたことも。それでも、「サッカーを続けたい」という思いが溢れる一方で、最終的には家族もその思いを受け止めてくれたといいます。
「15年くらいサッカーを続けさせてくれて、クラブチームに入団させてもらったこともありました。私は怪我も多くて、親には本当にいろいろと迷惑をかけたんですけど、どんなときでも、いまでも、私のやりたいことを優先的にサポートをしてくれて。本当に親には感謝しています。だからこそ、ここで結果を残さなきゃ、って気持ちはありますね」(井神選手)
新潟に来てわずか1か月のふたりですが、すでに地元の輪に溶け込んで、夕食に誘われたり、「お茶を飲んでいきな」と声をかけてもらったり。また、いろいろな発見がある毎日をめいっぱい楽しんでいるようす。
「チームのみんなで地元のおじいさんと山菜採りに行ったとき、私たちはまだ易しいコースだったんですけど、先輩方は考えられないような斜面をサササ~って降りて行って(笑)。それも80歳くらいのおじいちゃんが! 平坦な場所では、私たちのほうが歩くのは速いのに山に入ると元気になるみたいで、どんどん進んでいくのがおもしろくて。山のプロ、本当にすごいんです!(笑)」(寺戸選手)
オフの日にはいつもふたりで買い物へ出かけ、ときには好きな俳優やドラマの話で盛り上がる彼女たちは、サッカーや農業から離れれば、ごく普通の女の子。でも、ひとたびサッカーの練習が始まれば、眼差しは鋭い。
これまで暮らしてきた環境とは大きく異なる新潟で、時には不便を感じつつも、発見と驚きの毎日に楽しさを見出しながら暮らす彼女たち。
一刻も早く11名の選手が揃い、なでしこリーグにFC越後妻有の名を刻みたい――そう願うのは選手や関係者だけでなく、地元の人たちも同じ。
そしてこの地を訪れた人も、彼女たちの情熱にひとたび触れたなら、きっと、心の底から応援せずにはいられなくなるはずです。
〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018〉開催!
今年は、3年に1度の〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ〉の開催年。2018年7月29日(日)~9月17日(月)の51日間、越後妻有の里山、廃校、古民家などが、国内外のアーティスト作品で彩られます。新作も加わり、見どころたっぷり。
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土を耕し未来を拓く、サッカー選手募集中!
新潟県十日町市・津南町に住み、農業に従事しながら、仲間と一緒にサッカーをする女性を募集しています。サッカー経験のある高校生、大学生、専門学校生、サッカーの夢が忘れられない社会人など、我こそは! という方はぜひ。プロの指導のもと、本気で〈なでしこリーグ〉を目指しています!
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Information
Profile FC越後妻有
2016年結成。現在は、青森県上北郡七戸町出身の大平理恵(おおだいらりえ)さん、兵庫県神戸市出身の西川美里(にしかわみさと)さん、兵庫県神戸市出身の井神志織里(いかみしおり)さん、東京都小笠原諸島母島出身の寺戸愛海(てらどまなみ)さんの4名。十日町市のクラブチームと連携して新潟県リーグに出場中。11人でプレーできる日を夢見てサッカーと農業に励む日々。
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credit text:林貴代子 photo:在本彌生