新潟のつかいかた

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「しょうしがり」な新潟県民が
内なる思いを可視化した
〈新潟のコメジルシ〉イベントレポート Posted | 2023/12/15

新潟人といえば、古くから「我慢強く、口下手」と評されてきました。「しょうしがり(恥ずかしがり屋)」という新潟県の方言が示すように、地元への想いの丈を伝えたくても恥ずかしいと思う人が多いようです(新潟県民に向けたアンケート調査「コメジルシ総研/2021年」)。

そんな照れ屋な新潟人自らが、「新潟のいいところ」を熱く発信する「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」をきっかけに、県民性にも変化の兆しがありました。2023年からは、同プロジェクトからの呼びかけによって、新潟の魅力発信を後押しする応援団が結成され、企業や、教育機関、地域の垣根をこえて一丸となっています。そんな応援団の取組のなかから、今回は上古町の百年長屋〈SAN〉が主催したふたつのイベントをピックアップして当日の様子をレポートします。

雄大な自然を五感で感じながら妙高の魅力を再発見

〈ロッテアライリゾート〉のジップライン

最初に紹介するのは、2023年9月2〜3日に妙高市で開催された「新潟の魅力を“撮りにいく” ※(コメジルシ)フォトツアー in 妙高」です。

このフォトツアーは、新潟各地を巡りながらその魅力を見つけて発信する予定の第1弾企画。今回は、「新潟のいいところ」を自分たちの言葉と写真で表現しようと、日本有数のスノーリゾート地として知られる妙高の〈ロッテアライリゾート〉を訪れました。

ツリーアドベンチャー

〈ロッテアライリゾート〉は、宿泊はもちろん、全14コースあるスキー場をはじめ、ジップラインやボルダリングなどのアクティビティ施設、スパ、プールとアジアでもトップクラスの規模を誇るレジャー施設。昨今、夏から秋にかけて平地よりも涼しく過ごせる避暑地として、また首都圏からの距離の近さや、雄大な自然の環境下で働けるワーケーションエリアとしても注目されています。

そんな夏の妙高ツアーを主催したのは、上古町の百年長屋〈SAN〉の金澤李花子さんです。ほかにも、新潟県の20代から30代が中心となって運営するオンラインコミュニティ〈Flags Niigata〉の後藤寛勝さんが周辺でのアクティビティなどをコーディネートし、プロカメラマンの吉田航太さんには写真撮影のテクニックを教わりました。

写真撮影のテクニックを教わるイベント参加者
ツリーアドベンチャーを体験中

フォトツアーでは、〈ロッテアライリゾート〉の広大な森の中で鳥のさえずりを聞きながら、ジップラインやツリーアドベンチャーなどで体を動かして心身ともにリフレッシュ。参加者それぞれが思い思いの妙高の魅力を切り取って写真に収めていきました。

新潟県民同士で確かめ合う新潟県の魅力

〈ロッテアライリゾート LIGHT PARKS〉の看板前でポーズをとるイベント参加者

〈ロッテアライリゾート〉にある7つのレストランのうち、夕食をともにしたのは〈The PLATE〉。上越で育てられた野菜や地酒をいただきながら、ツアー参加者の交流会が行われました。

参加者のみなさんから発表された「本日の写真」には、ツアー中に集めた妙高の魅力がたっぷりと写し出されていました。初秋を感じさせる昆虫、大毛無山に咲く草花、ツリーアドベンチャーで大はしゃぎする瞬間……。どの思い出も撮影者の言葉とともに妙高の魅力を伝えていました。

モニターに映し出された写真を見るイベント参加者たち
グランプリ写真を選定中

その写真を1枚ずつ確かめながら講師を務めた吉田さんは「写真でその一瞬を切り取ったり、ストーリーを伝えたり、さまざまな手法があるなかで、今回はツアーでしか撮れない作品を選びました」とグランプリ作品を選定。その写真を眺めながら参加者同士が交流を深めて夜がふけていきました。

「やっぱり、リアルでの出会いに勝るものはないと感じます」と金澤さん。参加者たちが現地で見つけた魅力をその場で分かち合うことが、地域の魅力を発見するヒントになると感じたようでした。

参加者が撮影したカエルの写真

イベントの最中に何度も聞こえてきたのは「最高のメンバーが集まったよね」という参加者同士のつながりです。フォトツアーを通して、「新潟の魅力を発信したい」というベクトルをお互いに確かめ合いながら魅力を再発見することで、SNSなどを通して新潟県外にも波及させていこうという熱量にもつながると肌で感じるフォトツアーでした。

新潟県の魅力の発信者たちが一堂に会するイベント

イベント「新潟※(コメジルシ)プロジェクト ミートアップ」の様子

続いてピックアップしたのは、10月27日に新潟市の〈SHARE LOUNGE 新潟万代〉で開催された「新潟※(コメジルシ)プロジェクト ミートアップ」です。

このイベントの運営に携わる新潟コメジルシ編集部は、年間100本近くの新潟人自らからつづった「新潟のいいところ」を記事にして発信してきました。そのなかで数年前から温めてきた企画が、学生から60代の先輩たちまで、実際に執筆した人たちが一堂に会するリアルイベントです。

ミートアップイベントの参加者たち

このイベントではまず、過去に新潟県が実施した県民アンケート調査の結果が発表されました。新潟県民のうち8割が地元に愛着を持ち、6割が新潟を魅力的な県だと感じています。一方で、1割未満がその新潟の良さを発信していないという状況が述べられました。

「新潟※(コメジルシ)プロジェクト ミートアップ」の会場の様子

調査結果を踏まえて、「新潟県庁は、新潟の魅力発信を応援しています。この会場に集まったみなさんが魅力的に思う、『新潟のいいところ』をプロジェクトで発信していただきたい」と会場に集まった人たちにエールを送りました。

イベント会場のテーブルに置かれた新潟の日本酒とビール

「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」の特徴、それは県民自ら魅力を発信するうえで、文体や写真のセレクトまで記事を書く人らしさを残しながら制作されている点です。会場では、その執筆者の“手垢”を話題に、ワイワイと語り合うようなアットホームな雰囲気で会が進みました。

編集部もプロジェクトを通して新潟の今を発見

スクリーンに映し出された新潟コメジルシプロジェクトのWebサイト記事

ミートアップでは、編集部のいち推しの記事も発表されました。

金澤さんが紹介したのは、佐渡市出身で公益財団法人鼓童文化財団の上之山博文さんの「鬼太鼓」にまつわるお話。インタビューを重ねるうちに、自分たちも知らなかった新潟の姿を発見したそうです。

佐渡の鬼太鼓についての記事のキャプチャ

同じく編集メンバーの齋藤華さんも、この話に付け加えるようにいち推し記事を紹介。

「新しい発見という意味では、私からは〈新潟Komachi〉編集長の佐藤亜弥子さんによる「冬グルメの帝王〈ズワイガニ〉と日本酒で乾杯♪」から広がったお話を。この記事で佐藤さんからズワイガニへの想いを聞いてカニが食べたくなり、金澤さんから柏崎市にあるカニの直売所〈カニ長福丸〉を教えてもらうと、すぐに現地に向かったことを覚えています」と、編集部同士でも情報交換が行われていることを教えてくれました。

ズワイガニと日本酒についての記事のキャプチャ

小日山隼輔さんからは、小千谷市生まれで新潟大学に通う福島彩友美さんの「地元愛」にまつわるお話が紹介されました。そんなコメジルシ編集部からの推し記事を聞き、イベント参加者の方々も大きく頷き、「新潟のいいところ」が広がっていく様子を目の当たりにしました。

小千谷市の織物についての記事のキャプチャ

「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」を通して、県民同士で「新潟のいいところ」を確かめ合い、県の魅力が可視化されたことで、故郷への自信につながっているように見受けられました。

「ふるさと自慢」をする新潟県民を見ていると、その姿は「しょうしがり(恥ずかしがり屋)」から、堂々と胸を張って「新潟のいいところ」を語る新たな姿へと徐々に変わっていっていると予感させるものでした。

credit text:水澤陽介