夏の夜空を鮮やかに彩る日本の一大イベントのひとつ、花火大会。煌めく光と音が一体となって奏でる一夜限りのショーは、訪れるすべての人々に感動と喜びをもたらします。夜空を埋め尽くす色とりどりの花火が、きっとあなたの夏の思い出を一層輝かしいものにしてくれることでしょう。
新潟県の花火大会といえば、日本三大花火に数えられる「長岡まつり大花火大会」が全国的にも有名ですよね。でも、実はこれだけじゃないんです。この記事では、新潟県の「越後三大花火」とその魅力をご紹介します。
三者三様!「越後三大花火」とは
「越後三大花火」は、自然豊かな新潟県らしく、海、川、山とそれぞれ異なるロケーションで開催されるのが特徴です。「海の柏崎、川の長岡、山の片貝」と言われており、花火大会とともに開催されるお祭りでは地域の伝統行事も開催され、どれも歴史ある夏の風物詩として長く愛されています。
「海の柏崎」こと、「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」は、その名の通り、京都の八坂神社にルーツを持っています。山車や神輿が繰り出して、勇ましいかけ声とともに踊り手も見物客も一緒になって、柏崎の夏の夜を盛り上げます。
第二次世界大戦中の長岡空襲(1945年)からの復興祈願が始まりとされているのは、「川の長岡」こと、「長岡まつり大花火大会」。現在でも、新潟県中越大震災(2004年)や東日本大震災(2011年)の“復興のシンボル”として、「復興祈願花火フェニックス」が多くの人を魅了しています。
そして、「山の片貝」こと、「片貝(かたかい)まつり浅原神社秋季例大祭」の最大の特徴は、なんと言っても世界最大級の打ち上げ花火「正四尺玉」。「越後三大花火」のなかでももっとも歴史が古く、三尺玉発祥の地でもあることから、花火を奉納する伝統行事が現在も受け継がれています。
ぎおん柏崎まつり海の大花火大会
名物は大迫力の「尺玉100発一斉打上げ」
「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」は、柏崎市で開催される夏の一大イベント。その起源は、江戸時代末期にさかのぼります。当時、京都の八坂神社の影響を受けた柏崎市の八坂神社が、祭礼の一環として花火を打ち上げたのが始まりとされています。
そして、「海の柏崎」と言われるだけあって、海上から打ち上げられる花火は迫力満点。海岸線1500メートルにわたって100発の花火が一斉に打ち上がる景色は圧巻です。日本海を望む柏崎の美しい海岸線を舞台に、夜空を埋め尽くす色とりどりの光が幻想的な世界をつくり出します。
長さ600メートルの堤防を利用した「ワイドスターマイン」や、海上に浮かび上がる「海中空スターマイン」、そして、一番のハイライトは海岸線1500メートルにわたって2連続で一斉に打ち上げられる「尺玉100発一斉打上げ」。
そのほかにも、「柏崎市民一同」の名がついた大花火など次々と夜空に花開き、1時間30分の間に約1万6千発の花火が柏崎の夜空を鮮やかに彩ります。
京都・祇園にルーツをもつ「ぎおん柏崎まつり」
海の大花火大会が行われる「ぎおん柏崎まつり」は、柏崎市で1950年まで京都の八坂神社祭礼として行われていた「柏崎祇園祭」と、柏崎市が行っていた「商工祭」が合同で開催されることになり、誕生しました。
「祇園祭」とは疫病や災難を払うためのお祭り。7月7日から14日にかけて京都の八坂神社の流れを汲む柏崎市西本町の八坂神社で行われており、当時柏崎でも疫病が流行するたびに御輿と奉納花火が打ち上げられていたそうです。
現在では、民衆の生活を唄い踊り伝える市民参加型の「民謡街頭流し」や、山車や御輿が繰り出す「たる仁和賀(にわか)」、ソーラン節などを行うようになりました。
「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」は、毎年7月24日から26日にかけて開催され、子どもたちの晴れ舞台である「マーチングパレード」で幕を開けると、県内外から例年約20万人が参加。最終日の「海の大花火大会」でフィナーレを迎えます。
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長岡まつり大花火大会
戦後復興にルーツをもつ「川の長岡」
「長岡まつり大花火大会」は、新潟県長岡市で行われる日本を代表する花火大会のひとつ。2日間にわたって約30万人(2023年)の観覧客が訪れ、全長約2キロにわたる打ち上げエリアから、信濃川に沿って次々と打ち上げられる花火の迫力と美しさは圧巻です。
また、秋田県大仙市大曲の「全国花火競技大会」と茨城県土浦市の「土浦全国花火競技大会」と並んで、「日本三大花火大会」のひとつに数えられています。
「日本三大花火大会」のうち、大曲と土浦の花火大会は花火師の競技大会ですが、長岡の花火大会は慰霊・復興・平和への祈りを込めた花火大会です。目玉となる「復興祈願花火フェニックス」は、2004年に発生した中越大震災の翌年2005年が「復興元年」と位置づけられたことが始まりとされ、現在でも“復興のシンボル”として継承されています。
長岡花火は2日間にわたって開催され、日本一の大河・信濃川を舞台に、視界に収まりきらないほどの大型花火が夏の夜空に打ち上げられます。
直径650メートルもの大輪を咲かせる正三尺玉3連発や、平原綾香さんの代表曲『Jupiter』に乗せて打ち上げる幅1.7キロにもおよぶ「復興祈願花火フェニックス」、尺玉100発を打ち上げる「米百俵花火」などの迫力満点の花火が魅力です。
長岡空襲の「長岡復興祭」として
「長岡まつり」の起源は、1946年8月1日に始まった「長岡復興祭」にあります。前年の1945年8月1日の夜、B29爆撃機による襲撃で市街地のほぼ8割が焼け野原と化し、1488人が亡くなりました。この悲劇的な出来事を忘れず、まちの再建を願い、「長岡復興祭」が翌年から始まり、それが今日の「長岡まつり」へと発展しています。
「長岡まつり」は、例年毎年8月1日から3日にかけて行われ、後半の2日間に大花火大会が開催されます。
2024年の「長岡まつり」は、8月1日(木)にオープニングイベントとして「平和祭」や「灯籠流し」が開催され、2日(金)の「ふれあい広場」では〈アオーレ長岡〉で中越エリアの観光PRイベントを開催。そして、3日(土)の「わんぱくおまつり広場」ではステージイベントや飲食ブースが設けられるなど楽しいイベントが目白押しです。
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片貝まつり浅原神社秋季例大祭
世界最大級の大玉! 大迫力の「正四尺玉」
「片貝まつり浅原神社秋季例大祭」は、新潟県小千谷(おぢや)市片貝町(かたかいまち)で毎年9月第2金曜・土曜に三尺玉発祥の地である片貝町で開催される伝統的な祭りです。浅原神社の秋の例大祭として行われ、花火を奉納するなど、花火に由来する伝統行事が行われるのも特徴のひとつ。
そして、なんといっても最大の魅力は、四尺玉の打ち上げ花火。ギネスブックにも登録された世界最大級の大玉が夜空に浮かび、直径800メートルの大輪の花は、小千谷市民自慢の夏の風物詩です。
片貝町は三尺玉発祥の地とされ、その歴史は江戸時代後期にまでさかのぼります。1985年には四尺玉の打ち上げに成功し、ギネスブックにも掲載されるなど、名実ともに世界最大級の打ち上げ花火として有名です。
四尺玉の花火は直径800メートルにもなり、重さ420キロの花火玉を地上800メートルまで打ち上げるために、高さ5.2メートル、厚さ1.8センチの鋼鉄製の筒が使用されます。打ち上げ場所の背後が山に囲まれていることから、聞き応えのある豪快な破裂音も「片貝まつり」の楽しみのひとつです。
そして、地域に根ざしたお祭りならではの慣例として、地元の中学・片貝中学校の卒業生たちによる「大スターマイン」の打ち上げも見どころのひとつ。片貝中学校を卒業した「同級会」が、20才、33才、42才、50才、還暦になるとお金を出し合って大スターマインを打ち上げます。
400年の伝統を誇る「片貝まつり」
「片貝まつり」では、浅原神社に花火の玉を奉納する「玉送り」や、花火打ち上げの成功と無事を祈る「筒引き」など、花火に由来する伝統行事が行われるのも特徴です。
約30の団体が笛や太鼓で「しゃぎり」を演奏しながら、地域の若者や子どもたち、同級会の有志を中心に賑やかに行進します。「片貝まつり」はこうした地域の伝統を次世代に伝える役割も担っています。
片貝まつりの花火は奉納煙火として知られ、個人や企業がさまざまな想いを込めて花火を奉納します。最近では地元以外にも、新潟県内や関東、関西、東北、九州など全国各地からも多くの人々が花火を奉納するようになっています。
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「越後三大花火大会」を一生の思い出に
どの花火大会もそれぞれ歴史があり、知るとますます興味が湧いてきますね。肝心の花火も迫力満点で感動すること間違いなしです。人生で一度は見ておいて損はありません。ぜひ今年は「越後三大花火大会」に足を運んでみてください。
ただし、混雑が予想されますので、公共交通機関でアクセスするのがおすすめ。「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」と「長岡まつり大花火大会」には臨時列車も運行される予定なのでダイヤのチェックをお忘れなく。
credit text:藤岡あかね