東京駅から北陸新幹線に乗り2時間ほどと、アクセスのいい新潟県上越市。同市出身のひらりさん(@joetsu_hirari)は、現在、東京を拠点に上越市と妙高市を中心としたグルメ情報をインスタグラムで発信しています。投稿を始めたことで、それまで気がついていなかった上越の魅力、人の温かさを再発見。その魅力をいろいろな人に知ってもらいたいという思いが発信の原動力です。
激務を経て、
故郷の食と温かさが癒しに
ひらりさんがインスタグラムを始めたのは2020年3月。生まれ育った上越市の東隣、柏崎市の病院で看護師として働き始めたのとほぼ同時期でした。2020年春といえば、新型コロナが日本でも猛威を振るい始めた頃。勤務先の病院では対策に追われ、職場と寮、ドラッグストアの3か所だけを行き来する新社会人生活でした。
当時、食が唯一の楽しみになっていたひらりさん。インスタグラムのアカウントをつくったのはダイエットのためだったと振り返ります。外食を含めて、食べたものの記録として写真を投稿していました。
2022年に上越市にUターンすると、それまで気楽に出かけられなかった反動で、家族や友人と頻繁に外出。投稿が増えるにつれて上越在住のフォロワーが増え、上越を発信する人たちとのコミュニケーションが活発になっていきます。
ひらりさんのインスタグラムには、たびたび登場する上越市内のお店があります。それが〈レストラン ベニス〉という老舗の洋食屋さんです。
「インスタグラムで知り合った上越在住の人から『ベニスに行ったことがない』と言われたことがありました。私にとっては子どもの頃から家族全員で食事に行くお店なので、上越の人はみんな知っているとばかり思っていたんです」
〈レストラン ベニス〉は、ひらりさんにとって、曽祖父母の代から通い、今では生まれて間もない姪っ子さんも一緒に行く、家族5代にわたってお気に入りのお店です。
「ヒレ味噌カツ定食がおすすめで、山小屋風の店内で、お皿もかわいいんです」
自分にとって馴染みの店が、実は多くの人にはまだ知られていないと気づいたことから、ひらりさんの投稿はますます詳しく積極的に。
「上越は、お米がおいしいからお店全体のクオリティが高い、全国に誇れるラーメン店がある、長く愛されてきた歴史あるお店もある。そんな上越の魅力にあらためて気づいて、もっと上越のお店を巡りたい、もっと発信したいという思いが強くなりました」
グルメの投稿では、登場するメニューはできる限り名称を記載。お店の住所や営業時間、駐車場の有無といった情報も添えています。2025年の現在は、妹さんとそのお子さんを含めたお出かけが増え、個室や座敷、子ども用食器やオムツ替えシートの有無といった家族連れにうれしい情報も記載。同じように子連れで出かける機会が多い人にも喜ばれています。
投稿は、写真や動画に自作のイラストも加えるなど、つくっている自分も楽しいこと、見る人にも楽しんでもらえることを心がけています。また、グルメ投稿では料理を大きくダイナミックに見えるように工夫。お店の雰囲気やインテリア、季節に応じた飾りつけを見るのも楽しいからと、写真や動画からお店のイメージが伝わることも意識しています。
「何気ない情報でも『助かりました!』とか『まさに知りたかった情報です』というコメントをもらうことがあって、些細なことでも積極的に共有するようにしています」
海沿いの新スポットや
山の上でのアクティビティも
笹団子の名店からケーキ屋さん、ラーメン店に焼肉店、フランス料理店などさまざまな上越グルメを発信するひらりさん。県外から上越を訪れる人にもおすすめしたい新スポットとして〈DINING CAFE R8〉を教えてくれました。えちごトキめき鉄道の有間川駅舎を改修したカフェで、2024年にオープンしたばかり。目の前に広がる日本海を眺めながら、チョコチーズケーキや市内にある酒蔵の酒かすを使ったチキンカレーなどが食べられる絶景カフェです。
さらにえちごトキめき鉄道の線路が隣接していて「赤いリゾート列車の〈雪月花〉が通る時間をマスターが教えてくれます。本格的なカメラで列車を撮影している人もいますよ」とのこと。鉄道好きや電車好きのお子さんたちにもおすすめのスポットです。
また新潟らしくおいしいお米を食べたい人におすすめしてくれたのが、50年以上の歴史を持つ釜飯専門店〈千成〉。新潟県産のコシヒカリやこしいぶきを使った釜飯がおいしいと評判のお店で、春はタケノコ、秋は松茸や栗、冬には牡蠣など、そのとき旬の食材を店主が目利きして釜飯に仕上げています。ひらりさんは「私の推しは栗で、昨年は秋に2回もいただきました」とずいぶんお気に入りの様子です。小上がりや個室もあって、小さなお子さん連れでも安心で、0歳の姪っ子さんと一緒に訪れたときも「温かく迎えていただき楽しく快適に食事ができました」とも話してくれました。
グルメ以外の投稿では、四季折々の自然やイベントなど、魅力いっぱいの上越を紹介しています。「春は歴史ある高田城址公園の観桜会、夏は直江津の夕日や市民によるさまざまなアートを展示する『うみまちアート』、秋は蓮祭り、冬は雪景色と雪国らしい助け合いの精神があります。どの季節も特別で、上越に生まれ住んでよかったと感じます」というひらりさんの言葉にはふるさとへの信頼や誇りがにじみます。
ひらりさんが紅葉スポットとして訪ねてほしいと名前を挙げたのが、妙高高原にあるいもり池です。
「紅葉がすばらしく、池に妙高山が映った姿もきれいです。いもり池を一周できる遊歩道もあります」
いもり池の辺りにある〈妙高高原ビジターセンター〉もぜひ立ち寄ってほしいとのこと。
「〈妙高高原ビジターセンター〉には、いもり池と妙高山と空が見える大きな窓があって、冬も妙高山が雪をかぶっていて、雪の中に池がある風景もすてきです。〈Myoko Coffee ビジターセンター店〉があってコーヒーやソフトクリームも味わえます」
〈妙高高原ビジターセンター〉内にはいもり池周辺に生息する植物や昆虫の標本が展示されているコーナーもあり、妙高の自然への理解を深めることもできます。
癒される故郷・上越と、
東京をつなぐ存在になりたい
ひらりさんは2025年2月から東京で暮らしていますが、月に1度程度、上越に戻って発信を続けています。「上越出身者がUターンしたくなる投稿や、東京の人が上越を知るきっかけになる情報を発信して、東京と上越をつなぐ架け橋のような存在になりたい」とこれからも上越に関する発信には意欲的です。
そして、上越を初めて訪れる人に、ぜひとも行ってみてほしいと話すのは、やっぱり行きつけの〈レストラン ベニス〉。コロナ禍の病院勤務で疲れきった状態で訪れたときの、子どもの頃から慣れ親しんだ味噌カツ定食のおいしさや、お店の方の細かな気遣いややさしい言葉が忘れられないのがその理由です。
「そのときあらためて、上越の食や人の豊かさに気づき、癒されて、心が満たされていくのを感じました。上越は自然体のままでいられるお店が多いこともよさのひとつです」
新潟にはお米や海産物、お酒などのおいしいもの、海や山、豊かな自然や美しい風景があるのはご存知の通り。上越に行く機会があったら、そういった味や風景に加えて、ひらりさんおすすめの癒しスポットも訪ねてみてはいかがでしょうか? 日々の仕事や暮らしのせわしなさからしばし離れた特別な時間が過ごせるかもしれません。
Information
ひらりさんと「新潟のつかいかた」とのコラボ動画を投稿予定! ぜひチェックを!
ひらり/上越グルメ/上越カフェInstagram:@joetsu_hirari
新潟のつかいかたInstagram:@howtoniigata
credit text:野崎さおり