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東京から新幹線で2時間圏内の新潟県。南北に300キロを超える海岸線がもたらす海の幸、収穫量、産出額、作付面積ともに日本一の米どころとしての豊かな食文化、そして雪国ならではの保存の知恵・発酵文化といった多層的な食の奥行きを持つ土地です。
2026年3月13日、そんな新潟の食文化をけん引する168店を選出した「新潟ガストロノミーアワード2026」が開催されました。
今回は「初めての新潟ガストロノミー」をテーマに、新幹線停車駅を起点に駅から比較的アクセスしやすく、審査員からも高評価を得た受賞店をセレクト。越後湯沢、長岡、新潟の3つのエリアから、厳選したお店を紹介します。
雪と米と、山の恵みが交差する越後湯沢駅
日本屈指のスキーリゾートとして知られる越後湯沢ですが、食の面でもこのエリアは独自の魅力を持っています。南魚沼産コシヒカリ、雪国の保存食の知恵から生まれた発酵文化、山菜や川魚の山の幸など、越後湯沢には豪雪という厳しい自然環境が育んだ独自の”食の哲学”が宿っています。
越後湯沢駅は東京駅から最短66分。スキー旅行の滞在中はもちろん、食を目的とした旅の起点としても使えます。
〈魚沼キュイジーヌ料理 むらんごっつぉ〉|BRONZE

駅至近の宿〈HATAGO井仙〉の2階に構え、宿泊者以外も利用できるダイニング。店名は「村のごちそう(ごっつぉ)」を意味し、魚沼の食文化を象徴する言葉です。
“魚沼キュイジーヌ”と名づけられた料理の素材は、そのほとんどが湯沢、南魚沼などの地元のもの。魚沼の食材と発酵の魅力を、今の感覚で味わうことができます。
審査員コメントでは、「魚沼のごっつぉ(ご馳走)を再定義する美食処。地元の山菜、発酵食品、そして南魚沼産コシヒカリを主役に据えた、滋味豊かな料理が並ぶ。雪国特有の知恵を、洗練されたプレゼンテーションで現代につなぐ」 と評されています。
素材を地元産にこだわるだけでなく、ソースや調味料も自家製。日本酒(3種)のペアリングも提供しています。一皿一皿を通して、雪国ならではの暮らしや知恵に触れてみてください。

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〈早苗饗(さなぶり)〉|DIAMOND / 女性chef賞


里山に佇む、名宿〈里山十帖〉の中にあり、宿泊者以外も予約可能なレストラン。駅からは少し離れるものの、越後湯沢駅からタクシーを利用できます。女性シェフ・桑木野恵子さんが率いるお店で、今回のアワードで女性chef賞を受賞しました。
雪国の暮らしと食文化を、現代の料理として昇華させた〈早苗饗〉。審査員は「雪国の暮らしの知恵を再解釈し、保存食や伝統野菜を現代の感性でガストロノミックに彩る。単なる食事ではなく、その土地のテロワール(その土地の個性や風土・文化)を五感で学ぶ体験は格別のひと言」と述べ、「”ローカル・ガストロノミー”という概念そのものを国内外に定着させ、多くの料理人たちに影響を与えたという意味でも、極めて重要である」と高く評価しています。
店名の〈早苗饗〉の由来は、田植えが終わったあと、その年の豊作を祈るのと同時に、田植えに協力してくれた人々をもてなす饗応のこと。「ミシュランガイド」1つ星、「ゴ・エ・ミヨ」スコア15.5&テロワール賞、「Best Vegetables Restaurants」で世界13位にランクインした料理を、現地では体験できます。

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醸造の香りと、日本トップクラスの酒蔵数を誇る長岡駅
日本最多の酒蔵数を誇る新潟県。そのなかでも長岡には16の酒蔵があり県内最多です。古くから「醸造のまち」として栄え、市内には日本酒で乾杯することを促す「清酒による乾杯の推進に関する条例」があるほど、酒文化が深く生活に根ざしています。
摂田屋地区に代表される醤油や味噌の発酵文化、そして信濃川の豊かな恵みが育んだ伝統野菜。それらを最高の状態で味わえる居酒屋やバルが駅周辺に軒を連ねているのも、長岡ならではの魅力です。
長岡駅は東京駅から新幹線で最短88分。地元の料理人たちが腕を振るう名店で、食と酒を楽しみましょう。
〈割烹 魚仙〉|BRONZE

店主自ら蔵元を訪ね、味を確かめた新潟の「銘酒」が揃う割烹。地の魚の魅力を引き出し、酒とともに楽しませてくれる店。
審査員コメントには「新潟の海産物の魅力が詰まった、活気溢れる長岡の一軒。大胆かつ繊細に捌かれた刺身や焼き物は、素材の良さをこれ以上なく引き出されており、加えて日本酒のメニューの豊富さにも驚かされる。気取らない雰囲気のなか、新潟の食の醍醐味を強く実感できる名割烹」 と記されています。
地の魚と日本酒を気軽に楽しめる、長岡らしい割烹の入門として最適の一軒です。
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〈日本料理と蕎麦 魚哲〉|SILVER

日本料理の感性を軸に、蕎麦と一品料理・会席を組み合わせた独自のスタイルが評価されています。蕎麦と日本料理、そのどちらも主役として成立させる構成が特徴。
審査員コメントでは「高橋哲哉料理長が打つ外一(※)の蕎麦は香りが高く、喉越しも秀逸。蕎麦だけでなく、地産地消を軸にした一品料理や会席の完成度も極めて高い。料理と蕎麦、どちらもが主役を張れる構成であり、食の愉しみが重層的に折り重なる、まさに長岡の地域を代表する一軒」との評価を受けました。
※蕎麦粉10に対しつなぎの小麦粉を1の割合(10:1)で打つ、九割蕎麦の一種

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港町の懐の深さと、現代の感性が交わる新潟駅
日本海の魚介に恵まれ、日本酒文化も根づく新潟市。若いシェフたちによる現代的な解釈も加わり、伝統と新しさが同居するエリアです。
古くから北前船の寄港地として栄え、各地の食文化を取り入れてきた港町。その歴史的背景が、現在の多様さにもつながっています。今回のアワードではグランプリ・準グランプリから1店舗、新潟市の店舗が選出されました。
〈Osteria Benedetta(オステリア ベネデッタ)〉|BRONZE

シェフ自ら生産地に足を運び、厳選した食材をイタリア料理として表現するオステリア。新潟の野菜を中心とした生産者との対話により感じた思いやストーリーをコース料理に乗せて伝えます。
審査員は「食材の魅力を最大限に引き出す若林淳シェフの料理は、どれも美味かつ洗練されており、ワインのセレクションも料理の風味を引き立てるものばかり。エネルギッシュな空気に満ちた店内で、新潟の豊かな食材を巧みに取り入れた独自の”新潟イタリアン”を構築している」と高く評価しています。
新潟駅から徒歩5分以内と立地もよく、新潟ガストロノミー入門におすすめ。アルコールのペアリングにも対応しています。
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〈日本料理 あららぎ〉|DIAMOND / 準グランプリ

今回の準グランプリ2店のうちの1店で、市内中心部にありながら雑踏から少し離れた静かな場所に店を構える日本料理店。料理に使う器ひとつにも、どの食材でどんな料理を合わせるかを考え抜き、「今まで食べたことのない料理、味」を提供するため常に進化を続けています。
審査員コメントには「季節の移ろいを繊細に捉えた献立は、素材への深い理解と確かな技術に裏打ちされている。ひと皿ごとに佐藤大介料理長の職人としての誠実さが隅々まで伝わる。広々と落ち着いた空間は、選び抜かれた器や調度品と共に、新潟の旬の味わいを静かに、そして贅沢に堪能できるだろう」 とあります。
多種多様な旬の食材を駆使し、唯一無二の料理を提供する新潟の日本料理をじっくり味わえる名店です。

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〈登喜和鮨 新潟店〉|DIAMOND / グランプリ

今回のアワードの最高賞・グランプリを受賞。新発田で1954年創業の老舗〈登喜和鮨〉が、古町エリアへ出店した新潟店です。
審査員コメントでは「新潟の鮨を未知の領域へと誘う小林宏輔大将の探求心は、この新潟店でさらに加速度を増して、縦横無尽に表現の幅を広げている。食材のほとんどを地元新潟産で構築する徹底した姿勢は変わらない。鮨の伝統の継承と革新が同居する手本という意味でも、新潟のみならず日本が世界に誇るべき鮨の新名所という地位をも確立している」 と最高の賛辞が贈られました。
新潟店では、3代目の小林宏輔大将が月曜から金曜まで腕を振るい、土日は従来通り新発田本店に戻ってカウンターに立ちます。

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「新潟ガストロノミーアワード」で見つける、食旅のはじまり
新潟県の食や旅、酒やプロダクトの魅力を再発見し、応援する目的で設立された「新潟ガストロノミーアワード」。新潟ガストロノミーとは、大地と雪の恩恵に育まれた風土や文化、歴史を料理で表現したものであり、料理を通じてこの地域を体感することです。
同じ県内でも、新潟はエリアごとに食文化が異なります。雪国の保存の知恵が生きる越後湯沢、日本有数の酒どころで、信濃川と日本海の恵みが交わる長岡、港町として多様な食を吸収し、新しい感性が生まれやすい新潟市。「新潟ガストロノミーアワード」の受賞店では、それぞれの土地の風土や物語をひと皿のなかに見つけ、味わうことができます。
新幹線でのアクセスが便利な新潟県は、実は”食旅”の目的地として非常にバランスの取れた選択肢のひとつ。今回紹介した7店は、駅から訪れやすい新潟ガストロノミーの入口であり、新潟の食文化を牽引する注目のお店です。
ぜひ、あなただけの“食の旅のルート”を、ここから見つけてください。
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【新潟ガストロノミーアワード】
受賞168店と審査員コメントの詳細は公式HPをご覧ください。
web:新潟ガストロノミーアワード2026
credit text:井高あゆみ 写真提供:新潟県観光協会/一般社団法人ローカル・ガストロノミー協会

