新潟のつかいかた

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粟島の魅力は
「自分らしさを表現できる場所」
〈おむすびのいえ〉オーナー
青柳花子さん | Page 2 Posted | 2018/08/31

粟島のおばあちゃんと会話する青柳花子さん

人との縁を結べる「場」がつくりたかった

粟島に移住後は保育士をしながら民宿の手伝いをしたり、その後は観光船のスタッフなどをしながら、島民や観光客とふれあっていった青柳さん。そこで会ったたくさんの人たちは、青柳さんの人生に少なからず影響を与えたようです。

ゲストハウス〈おむすびのいえ〉の中でインタビュー

「わたしみたいに、漠然とした“正解”にとらわれて息苦しくなっている人も楽になってほしい。そんな出会いのある“場”がつくりたいと思いました。それが叶うのがゲストハウスだと思ったのです。名前は、日本のソウルフードであるおむすびと、縁を結ぶことをかけて〈おむすびのいえ〉と名づけました。自分らしく、自分のペースで過ごせる粟島にそういう“場”があったらぴったりだと思ったのです」

あの頃の自分に「好きにしたら?」と伝えたいと、青柳さんはいいます。そしてその言葉は、現在、粟島を訪れる人たちへの思いにつながっていくのです。自分が感じた経験を、今度は次へと受け継いでいくようです。

ゴールは「卒業」すること

ゲストハウス〈おむすびのいえ〉がオープンして2年。構想から改装、そして現在までたくさんの人の協力があったといいます。

2階の廊下の寄せ書き
2階の廊下にはたくさんの寄せ書きが。関わった人たちの笑顔が見えるようだ。
ゲストハウス〈おむすびのいえ〉のゲストルーム
ゲストルームのリネンまわりは清潔感がある。

「ここはゲストハウスなので食事の提供はありません。ですが、希望があればとなりの〈食事処善三郎(ぜんざぶろう)〉さんをはじめ、島内の様々な飲食店を紹介したりもします。お客さんを紹介したお店からは『はなちゃんのところのお客さん来たよ〜』とか『はなちゃんありがとね〜』と声をかけられたりします。また、ゲストハウスの1階はサロンスペースにしていて、宿泊者とふらっと立ち寄った地域の人たちとの交流の場になっていてうれしいです」

〈おむすびのいえ〉1階のサロンスペース
宿泊者と地域の人が混じり合う1階のサロンスペース。

“はなちゃん”は、6年の粟島生活で、すっかり島民の仲間入りをしたようです。みんなが協力をし、声をかけてくれます。だから「ゲストハウスを運営し続けることが当面の目標」というのもうなずけます。〈おむすびのいえ〉はすでに粟島のハブ。旅行者だけでなく、島の人にとっても必要な存在のようです。

一方で、一生暮らす場所じゃないとも思っているんですよ、ともいいます。

「いつか“卒業”することがゴールだと思っています。地域の人たちにとって、移住者への印象はここ5年で大きく変わりました。何をもって“卒業”になるのかわからないですけど、いつかその日が来たときに、地域の人たちに笑顔で見送ってもらえるようになりたいです」

卒業とはなんでしょうか。それが何を指すか明確にはわからないけれど、きっと島の人にとっても、観光客にとっても、そして青柳さんにとっても、新たな一歩となることでしょう。

島で見つけた「贅沢」、魅力は「自分発信」

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