米や酒に欠かせない良質な水は、魚たちにも必要なものだった
険しい山が多く、雪解け水が豊富な新潟には、手つかずの自然が生み出す渓流が数多く残っています。
良質な水は米づくりや日本酒にとって大切なように、生き物たちにとっても重要なもの。今回は趣味のフライフィッシングが高じて、海外まで出かけることもあるという釣り人・加藤 俊さんをガイド役に、市街地から車で1時間も走れば出会える新潟の自然と、その中に身を置きながら美しい魚を釣り上げる渓流釣りを体感してきました。
人里離れた自然の渓流をそのまま利用した管理釣り場
アウトドア用品店〈WEST 長岡店〉でストアマネージャーとして働く加藤さん。アウトドアの楽しみ方とともに、キャンプフィールドとしての新潟の魅力を伝えています。
釣りのなかでも渓流を舞台とするフライフィッシングがメインということで、加藤さんの普段の渓流釣りでは、源流域を目指して山登りやカヤックからスタートすることも多いそう。
そんな加藤さんが今回案内してくれたのは、新潟県三条市吉ヶ平にある〈吉ヶ平フィッシングパーク〉。JR燕三条駅から車で約1時間のところにあり、守門岳を源流とする守門川の一部区間(約1キロ)をそのまま利用した管理釣り場です。
管理釣り場はいわゆる釣り堀のことですが、できるだけ自然の環境を生かすことを考えながら、むやみに魚を大量放流するのではなくキャッチ&リリースを徹底することで、野生の魚を増やしながら、自然や魚の大切さを伝える役目を担っています。
こちらでは年に数回、イワナやヤマメの放流が行われ、昨シーズンは40センチオーバーのイワナが釣れたという報告も。気軽に本格的な渓流釣りを体験できると、県外からの利用者も増えています。
この吉ヶ平は1970年に集団離村があった地域。周囲に人家はなく、携帯の電波も届かない本物の秘境です。遊漁券の販売を行う〈吉ヶ平自然体感の郷〉は、かつての校舎があった場所に建てられています。
それでは、さっそくフライフィッシングに行きましょう! と気持ちははやりますが、渓流釣りは足場の悪いところや流れが速い川を渡ることもあるため、事前の準備は念入りに。吉ヶ平フィッシングパークでは、ウェーダーの着用が義務づけられています。ウェーダーとは腰上までを覆う胴長靴のこと。川の中に入って釣りをすることもありますから、渓流釣りではマストアイテムです。
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癒やしがいっぱい! 】