自然に溶け込む渓流釣りは癒やしがいっぱい!
フライフィッシングをよく知らないという人のために、ほかの釣りとどこが違うのか簡単に説明しましょう。まず、エサの代わりに昆虫の形を模した疑似餌「毛ばり」(フライ)を使います。
そしてこの綿のような毛ばりを、重りを使わずにライン(糸)の重さだけで狙ったポイントに着水させるため、ほかの釣りでは見られない独特なキャスティング(投げ方)をするんです。
写真中央のロッドの先からラインが伸び、加藤さんの真後ろに毛ばりがあるのがわかりますか? ロッドの先が完全に川を向いてすでに投げているように見えるのに、まだ毛ばりは後ろにあります。毛ばりそのものが軽いため、ただ川に向かってロッドを振るだけでは、毛ばりは飛んでいかないのです。
そこでロッドを前後に何度もしならせて、ラインに推進力を与えます。そうすることで毛ばりを目的の水面に着水させることができるのです。何度も何度もロッドが振られ、そのたびにラインが美しい弧を描く姿は、ほかの釣りにはないフライフィッシングの魅力のひとつといえるでしょう。
加藤さんの後に続いて川の中に立ったとき、渓流に入って釣りを楽しむことの魅力の一端を感じることができました。絶えず流れる川のせせらぎ、鳥たちの声、吹き抜けていく爽やかな風。眼前にはまぶしいほどの新緑と、美しく弧を描くラインの軌跡。流れていく毛ばりを追う魚の姿が、肉眼ではっきりと見えることも。
周囲の光景に夢中になっていると、パッと水面が弾け、ロッドが大きくしなります! 渓流の女王とも呼ばれるヤマメです。体に美しいまだらの模様がありますね。
海外ではパープルトラウトとも呼ばれ、世界中のフライフィッシャーにもあこがれを込めて認知されている貴重な日本の固有種だそうです。
次はイワナを狙おうということで、管理釣り場の上流まで進んでいきました。狙うポイントは大きな岩のそばや流れの遅いところだそう。そして見事、イワナをゲットしました。
フライフィッシングは、釣りのなかでも道具は少ないし、釣り方自体もいたってシンプル。自然に身を投じて、できるだけ自然のままに遊ぶからこそ、その没入感はとても深く、日常を忘れるのに十分なものでした。
この日は約2時間の釣りで、イワナとヤマメを10匹以上も釣り上げた加藤さん、上々の釣果となりました。
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