にぎやかな声が再び響き渡る場所に
雪原学舎を管理・運営している組織の母体は、地元・十日町市の〈丸山工務所〉という建設会社。移住定住の推進を目的に同市が主催した、「第1回雪国居住空間コンテスト」でグランプリを受賞したのが、雪原学舎のアイデアでした。
「うちの代表がここの小学校出身で、社員に与えられたお題が、この学校を再利用できるような空間の創出でした。リコーダーの全国大会に何度も出場経験のある学校だったのですが、またみんなが集まれるような空間にしたかったようです」と雪原学舎の上村仁さんは説明します。


「リノベーションなど施工に関しては、我々の本業ですが、宿泊や飲食など接客業のノウハウはありませんでした。それでもコンサルの力を借りるのではなく、わからないなりにやっていこうと、地元のさまざまな事業所さんにご協力いただくかたちで成り立っています」
たとえば、十日町市に醸造所のあるクラフトビール〈妻有ビール〉をカフェで提供したり、新潟発のアウトドアショップ〈WEST〉のサテライトショップを併設したり。

グランピングの夕食では、地元のブランド豚〈妻有ポーク〉を使ったポトフ鍋が好評で、訪れた人が新潟らしさ、十日町らしさを随所に感じることができます。

「実は私たち丸山工務所とともにこの雪原学舎の運営をしているのが、枝豆専門農家の〈柳農産〉で、現場のスタッフは冬季以外は農業をしています。接客のプロではないのですが、その距離感にむしろお客様が喜んでくださることが多いのは意外でした。農家のスタッフがつくった枝豆を、ここに滞在したお客様が夏場にわざわざ買いに来てくれたりなど、うれしいつながりも生まれています」

雪原学舎に集うのは、宿泊を目的とした人だけではありません。今シーズンは、雪原学舎の敷地でどんど焼き(正月飾りなどをお焚き上げする、小正月の伝統行事)が初めて行われました。そのあとは、地元の人と宿泊者が入り混じって餅つきが行われ、小学校として使われていた頃を彷彿とさせるような、元気な掛け声が響き渡っていました。

「ほかにもシーズンの最初と最後は、地域のみなさんへのごあいさつも兼ねてイベントを開催するのが恒例になっていて、ビールや焼き鳥などの屋台を出したり、福餅まきをしています。今年のクローズイベントは、地元の高校生のアイデアで文化祭をやる予定で、さらに盛り上がりそうです」

長い冬の新たなアクティビティ、雇用の創出、住民との交流……。雪原学舎はかつて学校だった場所にふさわしい、さまざまな可能性を秘めた地域の拠点となっています。

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credit text:兵藤育子 photo:ただ(ゆかい)

