新潟のつかいかた

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〈大地の芸術祭〉を通して、
十日町の暮らしや文化を
自分の言葉で伝えていく Posted | 2022/03/29

地域おこし協力隊は週3日。民間の仕事と組み合せる

外の立場から地域に新しい風を吹かせるか、その地に根づき地元の人の仲間入りをするか。地域創生の現場では、どちらの視点も必要だからこそ、自分がどの立場で関わればいいか思い悩む人も少なくないのではないでしょうか。

新潟市出身で、現在、十日町市で地域おこし協力隊として活動する佐藤あゆさんもそのひとり。東京の会社で働きながら、〈大地の芸術祭〉のサポーター〈こへび隊〉として携わってきたものの、地域の内側から芸術祭に携わりたいと2020年4月に十日町市に移住しました。

大地の芸術祭とは、2000年から十日町市・津南町で開催されているアートの祭典。世界中から芸術作品が集まり、常設の展示もたくさんあります。アートによる地域づくりの事例としても注目されています。

クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの作品『最後の教室』
『最後の教室』クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン(photo:Kuratani Takuboku)

外から内へと軸足を移し、十日町市の地域おこし協力隊に赴任した佐藤さん。1年目は市役所の観光交流課芸術祭企画係で〈こへび隊〉の活動サポートなどを担当していました。大地の芸術祭は通年で鑑賞できる作品も多くあり、常に草刈りや清掃など作品のメンテナンスが必要です。こうしたメンテナンス活動の計画・運営も担っている〈NPO法人 越後妻有里山協働機構〉では、〈こへび隊〉や地元の人々と一緒に活動をしています。2年目からは「もっと芸術祭に関わっていきたい」と、より現場に近い〈NPO法人 越後妻有里山協働機構〉に出向して働き始め、ツアーの企画や営業、ガイドなども担当しています。

雲海の中で仲間と記念撮影

佐藤さんは、「ミッション型地域おこし協力隊」という十日町市の新しい制度と市役所の柔軟な受け入れ体制のもと、週3日の勤務形態で働き始めました。

残りの週2日は十日町市を拠点にした着地型旅行会社〈HOME HOME Niigata〉の仕事に従事。古民家を活用した宿泊施設の運営管理や地元の人と触れ合う観光ツアーの企画運営を実施しています。大手旅行代理店やレンタルスペースの活用を行うベンチャー企業にいた経験を生かしながら、十日町市の自然や人の温かさを伝えるために奔走する毎日でした。

2021年からは、今年開催される大地の芸術祭を見越して、芸術祭の仕事の比重を高めていった佐藤さん。協力隊に入った当初は、協力隊と旅行会社の仕事を明確に分けて活動していたそうですが、現在は、両方の仕事をパズルのように組み合わせて仕事をしています。

越後妻有里山現代美術館 MonET

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