新潟のつかいかた

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商店街の空き店舗をギャラリーに。
廃材アートで栃尾地域を盛り上げる Posted | 2022/03/23

不要になった木の端材が動物に変身

“廃材再生師”という肩書きを持つ加治聖哉さんの正体は、芸術家。廃材を使って立体的な作品を生み出すジャンク・アーティストです。

作品制作中の加治聖哉さん

活動拠点は、長岡市栃尾の谷内(やち)商店街にあるギャラリー〈白昼堂堂〉。この日は体長約3.5メートル、高さ約1.3メートルという大きなトラの作品が置かれていました。角張った木の端材から生まれたとは思えない、美しい肢体が目を引きます。

「大人が乗っても大丈夫なんですよ」と、ひょいっと乗って見せてくれた加治さん。「解体もできるんです」と、今度は頭部をごそっと外してくれました。大人の体重に耐えられるのは、動物が本来持っている理にかなった骨格ゆえだそう。機会があれば、こういったことを気さくに見せて説明してくれるため、作品を見た子どもたちは興味津々なのだとか。

トラの作品と加治さん
学生時代からつき合いのある栃尾の知り合いから地域おこし協力隊の募集を教えてもらったといいます。

新潟県村上市出身の加治さんは、長岡造形大学でアクセサリーなどをつくる彫金を専攻。卒業後は埼玉県にある現代美術家の村上隆さん率いるアートカンパニー〈カイカイキキ〉の制作スタジオで働いていました。そして2019年7月、地域おこし協力隊として長岡市栃尾へ。

「このギャラリーはもともとここに住んでいたおばあちゃんが、取り壊しを考えていた空き店舗でした。でも、まちの人たちは、なんとかして残したいと、地域おこし協力隊を呼んで活用することにしたんです」

ギャラリー〈白昼堂堂〉の入口
白を基調としたコンクリート打ちっぱなしの無機質な空間が特徴的。ギャラリー名〈白昼堂堂〉には「保守的にならないで、昼間からアバンギャルドな世界を出していこうという想いが込められています。

加治さんの主な任務は、空き店舗をギャラリーに改装して運営すること。そして作品を通して地域を盛り上げていくこと。

「仕事内容を聞いたとき、地域に貢献しながら独立を目指すのは、やりがいがあって、おもしろそうだなと思いました。いつかは長岡に戻ってアーティストとして活動したいと考えていたので、協力隊になることに迷いはなかったです」

着任後は休耕田を利用して作品づくりをしたり、栃尾エリアの飲食店などを借りてワークショップを開催したそう。ギャラリーは2020年9月にオープン。作品展やイベントのほか、ギャラリースペースの貸し出しも行っています。

作品の設計図と端材

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