一番伝えたいことは、日々の営み
現在は新型コロナウイルス感染症の影響で県外・海外からの来場が難しい状況になっていますが、そのなかで増えたのが、新潟県内の学生。地元の高校生や新潟市内の学生など、授業の一環で芸術祭の取り組みを学ぶ機会が多くなったそうです。
「学生さんに『新潟ってこんなにいいところだったんですね』と言われると、すごくうれしくて。地元の高校生がサポートを買って出てくれたり、将来、卒論で芸術祭について書きますと言ってくれたり。今までは首都圏や海外のサポーターが多かったのですが、これからは県内の人にどう関わってもらうかも考えていきたいです」
文化的な日々の営みを伝えるひとつの手段がアート
十日町に移住して約2年。佐藤さんは時間さえあれば、地域のいろいろな場所に足を運んだり地域の人と会って話すなかで、そこで培われてきた文化や暮らしに惹かれるようになったといいます。
「日常のひとつひとつの営みに文化的なものを感じます。季節で変わる田園風景の美しさや豪雪に負けない越後妻有地域の人たちの力強さ。こうした日々の美しさを伝える入り口として、アートがある。そんなことを考えるようになりました。2022年は大地の芸術祭の本祭年。伝える難しさを感じることも多いですが、この地域に根づく日々の営みを伝えることは諦めずに続けていきたいですね」
外の立場から地域の内側へ軸足を移した佐藤さん。地域に入り、暮らしを営むようになったからこそ、自分で話せる言葉も増えてきました。受け継がれてきた地域の文化を大切に伝えていくために。穏やかながらも強い信念を持つ佐藤さんの挑戦はこれからも続いていきます。
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credit text:長谷川円香 photo:永島実樹