「ワーク」に主眼を置いたワーケーション
2020年に大きな広がりを見せた「ワーケーション」は、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」をかけ合わせた造語として知られています。ところが、実際の事例では「バケーション」に主眼が置かれたワーケーションが多く、「実際、仕事はできるの?」といった疑問を抱く人は少なくないかもしれません。
新潟県の上越地域は、いちはやく「ワーク」としてのワーケーションに取り組んできたエリア。なかでも、世界的にも珍しいヒスイや景勝地など自然の魅力で知られる糸魚川市は、2019年よりワーケーションの調査・研究を始め、2021年に本格的にワーケーションプランの提供を開始しました。
「糸魚川市がワーケーションを推進したのは、加速する人口減少への対策でした」と、糸魚川市総務部企画定住課人口減対策係の宮路省平さんは語ります。
「関係人口を創出するための手段としてワーケーションに注目したんです」
糸魚川市は、北陸新幹線で首都圏から約2時間という好立地にあり、市全域がユネスコ世界ジオパークに認定されるほど多様な自然環境に恵まれた場所。水深1000メートルの深海から標高約3000メートルの北アルプスまでの高低差があり、またフォッサマグナの西端としても知られ、古生代・中生代の地層と新生代の地層が重なり合った土地には多種多様な動植物が生息しています。海と山のおいしい食べ物と温泉があり、都会からちょっと足を延ばしてリラックスしながらワーケーションするには絶好の地だといえるでしょう。
そうした地域の特徴を生かし、当初は「バケーション」寄りの一般的なワーケーションを目指していたそうですが、次第に、ターゲットを絞ったワーケーションスタイルに方針転換するようになりました。そのひとつが、親子で地方に移動してワーケーションをする「親子ワーケーション」です。