上越のクリエイティブ醸成地として
実際、利用者との縁でコラボレーションが始まっているといいます。たとえば、小学生向けのスクール事業がその一例です。これまでビビットでは、利用者のクリエイターが講師となり、デザインやウェブ制作の基本を学べるワークショップを開催してきました。これをスクール事業として本格化させるつもりだと滝澤さんは言います。
「自分で動画をつくってみたい、デジタルでイラストを描いてみたいと思う子どもは多いけれど、東京と違ってこの地域では、実務レベルでやっている人があまりいないんです。子どもたちは何から始めればいいのかわからないし、どのデバイスを使えばいいのかわからない。美術部に入っても、パソコンで3DCG(立体的なCG)を動かすようなことはあまりしませんよね。つまり、やりたいけどやれない状況なんです。だから、こうしたクリエイティブスペースで実際にプロが使っているものを触りながら技術を覚えていく。そうすれば、地域のデジタルを使ったデザインやアートの文化を担うこともできるかもしれないと考えたんです」
また、新規事業を立ち上げる起業体験イベント「Startup Weekend」や勉強会、スナックイベントや交流会などを定期的に開催するなど、ITやデザインにとどまらない、広い意味でのクリエイティブな意志を持つ人に向けた試みにも力を入れています。
オープン当初は周辺地域に住む人たちの利用が多かったものの、徐々に県外や首都圏からの利用者が増え、ワーケーション利用も増加中。さらにリノベーション中の2.5階にはサテライトオフィスとして東京のIT会社とゲーム制作会社の2社が入居予定です。
「今後は、業務委託のコミュニティ・マネージャーを増やして、いろんなコミュニケーションが生まれる場所にしようと考えています。近場の人たちも県外から来る人もどんどん融合して、上越や東京のクリエイターと交流できる拠点にしたいです」
利用者同士の交流を促し、それを通したシナジーが生まれる場所をビビットは目指します。ハードとソフト両方を兼ね備えたコワーキング施設として、人と人をつなぎ上越の文化の発信地になるだけでなく、まちと外部をつなぐハブにもなるでしょう。
「クリエイターさんに集まってもらって仲間になるという思いから始まっているので、利用者さんとは濃いつき合いがしたいです。実はコワーキングの売り上げだけではなかなかペイできません。キャッシュポイントをもっと奥のほうに置いて、その先のイノベーションにつなげていく。そうすることで『上越に行けば何かおもしろいことができそうだな』と都市部の人に思ってもらえるようになるのが理想ですね」
商店街にありながら、15分も車を走らせれば山にも海にも行け、30分走らせればキャンプ場にも行ける好立地であるため、都市部人材のワーケーション利用地としても今後注目です。
上越市にあるほかのワーク施設
【フルサットアップス】
【NEST-ONE】
【JM-DAWN】
【高田町家こめつぶ】
Information
Information
【上越ワーケーションWEEK】
web:上越ワーケーションWEEK
2023年2月20日から3月10日まで、上越エリアの3市(妙高市、上越市、糸魚川市)のコワーキング運営者有志による『上越ワーケーションWEEK』が開催されました。イベントはすでに終了していますが、ホームページには3市のコワーキングスペースなど情報が掲載されています。
credit text:山田宗太朗 photo:ただ(ゆかい)