新潟のつかいかた

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新潟のおいしいお米と水が育んだ
世界中で愛される新潟の日本酒。 | Page 2 Posted | 2019/03/08

日本文化と出会い、身ひとつで新潟へ留学

中国出身で、母国語として中国語を、母語として韓国語を身につけた李さんが日本に興味を持ったのは高校時代。「高校生になり、日本のドラマを見て、日本人の礼儀正しさやサービス精神を良いなと思って。それが日本に興味を持つことになった最初のきっかけです」

入り口に吊るされた酒林(別名、杉玉)
2018年より予約制で一般公開が始まった〈菊水日本酒文化研究所〉。その入り口に吊るされた酒林(別名、杉玉)。新酒ができたことを知らせる役割を果たしています。

そして高校卒業後、すぐ新潟の日本語学校へと留学します。「当時は平仮名を書けるくらいで、日本語をまったく話せませんでした。親戚や友人が東京と大阪にはいましたが、誰も知り合いがいない場所のほうが勉強になると思い、新潟を選びました。まだ若くて怖いものしらずだったこともあり『行けばなんとかなるんじゃないかな』と軽い気持ちでしたね」

日本語学校を卒業後はホテルブライダルの専門学校へと通い、さらに大学へと進学して異文化コミュニケーションを学んだ李さん。大学時代、2年間休学をして中国で日本語教師の仕事に就き、その仕事をそのまま続けることも考えたのだそう。

「日本に戻って大学で学んでいるうちに『中国と日本の架け橋になれる仕事がしたい』と思うようになって。そのとき菊水酒造の髙澤大介社長の話を聞く機会があり、この会社で想いを叶えたいと思いました」

〈菊水日本酒文化研究所〉1階
自然に囲まれた〈菊水日本酒文化研究所〉1階の眺め。研究所内には創業者の名を冠した節五郎蔵が設置され、研究・開発活動における試験醸造などが行われています。

“日本酒=おじさん”のイメージを一変させた、蔵での酒造り

当時は日本酒業界で働くことを考えたこともなく、“日本酒=おじさんが飲むお酒”というイメージしかなかったという李さんでしたが、日本酒の酒造りを知り、そのイメージが一変します。

「入社した新入社員は最初の1年間は全部署で研修をするのですが、その中で4か月間にわたり蔵で日本酒をつくったんです。精米から始まる酒造りをひと通り体験したのですが、これをきっかけに日本酒に引き込まれていきました」と李さん。

節五郎蔵
自動制御機器などを使用せず、伝統的な手作業の酒造りが行われている節五郎蔵。ガラス越しに、その様子を見学することもできます。

「お米の中のでんぷんが麹によって糖化し、その糖を酵母が食べてアルコール発酵する様子や、味わいが毎日変わっていくのを見るのが本当に楽しくて! 原料となるお米はもちろん、水や酵母がひとつ違うだけでも異なる味わいや香りが生まれるので『日本酒って、なんて奥深くてすばらしいものなのだろう』と感動しました」

瓶貯蔵庫
各年代につくれた日本酒が、少量ずつ保管されている瓶貯蔵庫。一般には販売されていない、貴重な熟成酒が眠っています。

すっかり日本酒好きとなった李さんに新潟の日本酒の魅力を尋ねると「日本酒をつくるうえで重要なポイントとなるのがおいしいお米とお水、そしてきれいな空気です。日本酒は空気に触れさせながら発酵させるので、きれいな空気が良いお酒づくりには不可欠なんです。おいしいお米が育ち、山から降りてくる雪どけ水があり、雪が降ることによって空気が澄む新潟でつくられるお酒は、間違いなくおいしいと思います」

菊水酒造オリジナルの杯台と杯

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海外の人へと伝えるために


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