新潟のつかいかた

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新潟のおいしいお米と水が育んだ
世界中で愛される新潟の日本酒。 | Page 3 Posted | 2019/03/08

日本酒の魅力を、海外の人へと伝えるために

世界各国に赴き、新潟の日本酒の魅力を伝えている李さんいわく「日本酒に対するイメージや、好まれる味わいは国によってまったく違います」とのこと。

「例えばアメリカですと、価格と味わいのバランスやコストパフォーマンスが良い日本酒が選ばれます。アメリカの次に取り扱いが多いのがタイですが、タイの方々、特に女性に好まれるのが甘口の日本酒。中国や台湾をはじめとする華僑の国では銘柄が重視されますね。『大吟醸か純米大吟醸なら間違いないだろう』と、名の知られた高級な日本酒が選ばれます。ちょっと良いワインやシャンパンを飲むのと同じ感覚で日本酒を飲まれている方が多い気がします」

酒文化情報資料室も設置
独創的な研究活動・開発活動の推進を目的とした酒文化情報資料室も設置されている〈菊水日本酒文化研究所〉。図書コーナーには、料理、郷土史、発酵など広範な領域の専門書が揃っています。

日本酒の繊細な味わいを説明するときも、それぞれの国の人が受け入れやすい手法に変えているそうですが「やっぱりていねいにコミュニケーションをとりあうのが一番ですね」と言う李さん。

「日本酒を売りにいっているわけですが、最初からお酒の話をするとやっぱり嫌がられることが多いです。まず新潟や新発田がどんな場所なのか写真を見せながら話をし、それから菊水酒造がどんな会社で、どんなお酒をつくっているかを説明すると、自然にとんとんと話が進むんですね。あとお客様との会話を通して『こういう見方もあるのか』と、逆に自分のなかになかった考えを教わることも多いのでとても勉強になります。

大学で学んだ異文化コミュニケーションもそうですが、専門学校で学んだホテルやレストランの知識も、どれも役に立っていて。実は全部つながっていたんだなと感じることもあります」

広範な領域の専門書

日本酒とともに、中国と新潟の架け橋になることを目指して

日本酒の魅力を世界に広めるために、努力を惜しまず邁進している李さん。そんな彼女が今一番待ち望んでいるのが、東日本大震災から続く中国による日本産食品の輸入規制が緩和され、李さんにとって“第二のふるさと”である新潟の日本酒が再び母国の中国へと輸出できるようになること。

資料展示コーナー
〈菊水日本酒文化研究所〉が収蔵する、約3万点もの資料を間近で見ることができる資料展示コーナー。江戸時代に使われていた酒器など、文化的に貴重なものがずらりと並んでいます。
約3万点もの資料を間近で見ることができる

「昨年11月に輸入規制のうち新潟県産米については解除され、輸出が再開されました。私が菊水酒造に入社した目的のひとつが中国に日本酒を広めることでしたので、一日でも早く日本酒についても輸入規制が解除されたらいいなと思っています。準備は進めているので、解除されたらすぐにでも中国へ行きたいです」

菊水酒造オリジナルの杯台と杯
長崎の伝統工芸「三川内焼(みかわちやき)」窯元の〈平戸洸祥団右ヱ門窯〉で、ひとつひとつ手作業で丁寧につくられる菊水酒造オリジナルの杯台と杯。中央に菊が浮き出た杯に日本酒を注ぐと、まるで本物の菊が水辺に浮かんでいるように見えます。

また「日本文化のひとつである日本酒をきっかけに、中国はもちろん世界中の方々と日本がつながればいいなと考えています。お酒がある席では国や文化をこえて心が通い合う。そういうのを見ると、お酒が持つすばらしい力を感じます。もちろん、飲み過ぎには注意しないといけませんけどね」

国や文化を超えて、人と人の心をつなぐ、おいしい日本酒。新潟の日本酒とともに、さまざまな国と新潟の間に橋を渡す李さんの活躍は、まだまだ続きそうです。

壁にかけられた「SAKE」の書

Information

【菊水酒造】

address:新潟県新発田市島潟750

tel:0254-24-5111

web:菊水酒造|新潟県新発田市の酒蔵

credit text:林みき photo:斎藤隆吾