新潟のつかいかた

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ほっこりクリーミーな
「里芋と海老のクリーム春巻き」
にチャレンジ Posted | 2021/10/22

食通たちがそろって称える“美食大国”新潟。そんな新潟から、『ミシュランガイド新潟2020特別版』掲載店をはじめとしたスゴ腕シェフたちがネットでぞくぞくと贅沢レシピを発信中ってご存じでしたか? 新潟食材を取り寄せて、シェフのレシピを自宅で再現してみましょう。挑むのは、これまで周囲を震撼させてきた料理ベタ女子。新潟からはるばるやってきた旬の「里芋」の命運は……。

縄文ガールも大好物!? 里芋さん、いらっしゃ〜い!

イモ界においてはちょっとマイナーな印象があるかもしれない、里芋。でも、実は縄文時代に中国から来日し、稲作より先に日本人とのおつきあいが始まった野菜だとご存じでしたか?

しかも、あのプリッと膨らんだ可食部、根でもなく果実でもなく、なんと茎! 意外性の塊みたいなお芋ですね。

美食で知られる新潟県にも、おいしい“ブランド里芋”がいっぱい。そのひとつ、〈帛乙女(きぬおとめ)〉をJA新潟みらいのオンラインショップで注文してみました。

数日後にやってきたのがこちら。

お取り寄せした里芋の段ボールを開封

ひゃー、どこの恐竜が産んだ卵? って聞きたいくらいのビッグサイズ。S・L・Mでいうところの2Lサイズを選んだのでした。ゴロンゴロン。

届いた里芋

サイズの衝撃もさることながら、普通の里芋よりもふっくらしてモジャモジャ。まるで今朝掘ってきたかのような湿った土がついています。野生的な姿を前に、縄文っ子たちのワクワクを追体験。まさに地中から出てきたワイルドなお宝です。

電子レンジでチンしてみました!

里芋の調理といえば、よく聞くのが「皮を剥くのが大変」という話。ぬめりでうまくむけなかったり、手がかゆくなってしまったり……。でも、よく洗ってラップに包み、電子レンジで数分温めるとむきやすくなるとのウワサも。さっそく試してみました。

里芋をラップで包む

電子レンジで加熱した後は、ヤケドに注意しながら、お尻のヘタのところを切り落とします。そして、ぎゅっと力を入れると、つる、つる、つるーん! 皮がすべるようにむけていきます。これは快感。

皮を手でむく
一口つまみ食い

おいしそうな湯気を浴びていたらもうガマンできません! かじりついてみると、じゃがいものようなホクホク感と、お団子みたいなムチムチ食感。ひとつまみの塩さえあれば、永遠に食べ続けられてしまいそうです。

一流シェフのレシピ動画を視聴

レシピ動画をスマートフォンで視聴中

さて、チンしただけでもモッチモッチとずっと噛んでしまいそうだった新潟の里芋。これを、さらにおいしく進化させたのが『ミシュランガイド新潟2020』に掲載された中国四川料理〈喜京屋(ききょうや)〉の5代目店主・疋田昭一郎さんです。

中華の枠を超えて、誰もが大好きな洋風の「春巻き」にアレンジしてくださいました。そのレシピ動画がこちら!

春巻きの中に飛び込むのは、「里芋」「海老」「クリームソース」。大地の恵みと海の恵み。個性も出自も違う里芋とエビが、ミルクのパワーで仲良く肩を組んでいるという、どこかほほえましい春巻きです。ただし、これには「揚げる」という難所が……。ゴクリ。いえ、覚悟を決めてレッツ・クッキング!

里芋を手にする矢口あやはさん

―――と、このときの私は知るよしもありませんでした。油のパチパチパンチで絶叫することになろうとは……。

「里芋と海老のクリーム春巻き」に挑戦!

【材料】(10本分)
・里芋 …… 皮つきで200g
・むき海老 …… 100g
【A】塩 …… 適量
【A】片栗粉 …… 適量
【B】塩 …… 1つまみ
【B】酒 …… 少々
【B】こしょう …… 少々
【C】片栗粉 …… 少々
【C】サラダ油 …… 少々
・卵 …… 1個
・春巻きの皮 …… 10枚
・ピザチーズ …… 50g

<クリームソース>
【D】牛乳 …… 200cc
【D】バター …… 10g
【D】塩 …… 1g
【D】小麦粉 …… 12g
【D】砂糖 …… 4g
【D】こしょう …… 少々

まずは里芋の下準備から!

拍子木切りに

加熱した里芋の皮をむき、おおかたの粗熱が取れたら、拍子木切りにします。

「春巻きの皮で巻きやすいサイズにするのがポイントです。あまり細かくしすぎるとホクホクの食感がわからなくなるので気をつけて。ベストサイズを探ってみましょう」とは、疋田シェフからのアドバイスです。

続いて、海老の下準備をスタート。

むき海老と塩、片栗粉、水を合わせる

むき海老を、適量の塩と片栗粉、水を入れたボウルに入れて、よく揉んで汚れを落とします。まるで洗顔のゴマージュみたい。細かい汚れまでしっかりかきだして、流水で洗ったら、海老たちはピッカピカ。気持ちいい。

「背腸(せわた)がある場合は爪楊枝で取り除いて。海老のサイズが小さければそのまま、大きければ春巻きに包みやすいサイズに切りましょう。量はお好みでどうぞ。海老がなければ、カニ、ホタテ、なんでもOKですよ」(疋田さん)

海老の水気を拭き取る

さて、海老の水気を拭き取ったら、今度は、塩、酒、こしょうをかけてよく揉みこみます。ねばりが出てきたら、卵白小さじ2を加えさらに揉み、片栗粉、油を加えて軽く混ぜましょう。

卵白を加え揉む
片栗粉、油を加える

「あーん、卵白とかめんどくさいぞ!」と思いきや、のちにこの工程がちゃんと効いてきます。ここでしっかりと味をつけておくことで、春巻きは何もつけなくてもサクサク、パリパリッといけちゃうのです。

終わったら、フライパンに油をひいて、海老の両面を焼きます。ここでしっかりと火を通すのがポイント。海老たちが半透明のモチモチの衣をまといました。

熱したフライパンに海老を投入
海老の両面を焼く

クリームソースをつくろう!

一方、クリームソースのつくり方がこちら。フライパンに牛乳、バター、塩、砂糖、こしょう、小麦粉を入れて、火にかけます。

片手鍋に牛乳を入れる
小麦粉も入れる

「火加減は中火で、焦げつかないように注意して。テフロン加工の鍋を使うといいですよ。加熱中はあまりトロみを感じないのですが、冷ますとちゃんと硬くなるので心配しないでくださいね」(疋田さん)

トロミがついたら器に移し、冷蔵庫でよく冷やします。

ソースをバットにうつす

「少なくとも3時間以上、長ければ半日以上は冷蔵庫で冷やして、しっかり固めておけば、油ハネが少なくなります。できれば前日につくっておくといいですね」(疋田さん)

巻いて巻いて♪ 春巻き職人、見参!

クリームソースがそこそこ冷えた気がしたので、30分間ほどで冷蔵庫から取り出しました。いざ成形! むふふ、これが一番のお楽しみです。

春巻の皮の中央やや手前に食材を配置
巻いていく作業

春巻の皮の表裏を確認して、皮の中央やや手前に、クリームソース、里芋、海老、ピザチーズを乗せて巻き、最後に全卵を塗って皮をとめます。くるくる。くるくる。もはや具を巻いているんじゃない、夢を巻いています!

10本巻き終わり

10本をつくり終わる頃にはなかなかの腕前に? お料理はこれが楽しいかも。

鍋の中で大暴れ! “油”という名のラスボス

さあ、揚げ物ビギナー、いよいよ鍋に向かいます。鍋さん、よろしくね。頼むから仲良くしようね。平和友好条約を結ぼうね。

「170℃くらいの中温の油でゆっくりと揚げましょう。温度がわからなければ、中温か低温で5分くらい揚げるといいですよ」(疋田さん)

よーし! せいっ! と春巻きを油に入れて……すると、なぜでしょう、一瞬で春巻きがコゲ茶色に!?

表面が焦げた春巻き

あ、もしや温度が高すぎるのでは? と思った瞬間には、キャイーーーーーン! 油がバチバチと跳ね始めました! 噴水かな? 灼熱の油ピュンピュン地獄。「春巻きを食べたくば俺を倒していけ!」とばかりに煽ってくる鍋。なんでなの?

離れたところでボーゼンと見ること数分、気づけばカリッカリに揚がっていました。や、やった! やったぞ! なんかわかんないけど、できたぞ!

ここで思い出したのは、「中身はすべて火を通しているので、皮さえ揚がればOKですよ♪」という疋田シェフの金言です。さっきよりも低い温度で、もう一度チャレンジ。

揚げ直し中

じゅわわ…ピチ、ピチ、ピチチ……。ふふ。小鳥のさえずりが聞こえますよ。って調子に乗り始めたとたん、またもやバチャバチャと絶対に油が立ててはいけない音がして、鍋からの灼熱の噴水が吹きあがるという地獄のデジャブ。

あっ、よくみたら皮のスキマからとろとろのクリームソースをおもらししてる春巻きを発見しました。おまえさんかーっ!

いろいろ試した結果、おもらしさえなければ、油ハネはありませんでした。やっぱりソースはじっくり冷やして、ちゃんと固めるのが正解。皆さんはどうかしっかり冷蔵庫で寝かせて、ハッピーにつくってくださいね。

ラスボス(油)と格闘しながら揚げた春巻きがこちら。気になるお味は……?

春巻きをのせた皿を持つ矢口あやはさん

五感を刺激する芸術的な味わい

完成した「里芋と海老のクリーム春巻き」

口に運ぶと、カリッとかたい歯応え。そこからとろりとこぼれだすクリームソースと、糸をひくトロトロのチーズ。まろやかな塩気とともに加勢してくるモチモチの里芋と、プリプリの海老! 味も、香りも、食感も、いろいろなバラエティが楽しくて、口の中がフェスティバルです。

なにより、“油ピュンピュン地獄”を乗り越えて見る、この極楽の鮮やかさ……! 春巻きの断面をのぞくと、そこには雪の色。これから新潟に訪れるであろう白銀の世界に思いを馳せて、もぐもぐ。なんておいしい冬でしょう。

実食中

今回は鍋でつくりましたが、フライパンで揚げ焼きにすれば、油の量も少なくてすみます。食べない分はラップに包んで、ジップロックに入れて冷凍庫で保存できるのもうれしいところ。

疋田さんに教えていただいた「クリーム春巻き」はもちろん、じゃがいもとはひと味違う「里芋コロッケ」、昔ながらの「煮っころがし」などにするのもおいしそう。しかもこの里芋、イモ類のなか中でも低カロリーで、食物繊維やカリウムも豊富だとか。体がふっくらしちゃいがちな秋冬も、スッキリとした巡りのいい体づくりに活躍してくれそうですよ。

ごちそうさまでした!

Recipe

里芋と海老のクリーム春巻き

【材料】 10人分
・里芋 …… 皮つきで200g
・むき海老 …… 100g
【A】塩 …… 適量
【A】片栗粉 …… 適量
【B】塩 …… 1つまみ
【B】酒 …… 少々
【B】こしょう …… 少々
【C】片栗粉 …… 少々
【C】サラダ油 …… 少々
・卵 …… 1個
・春巻きの皮 …… 10枚
・ピザチーズ …… 50g
<クリームソース>
【D】牛乳 …… 200cc
【D】バター …… 10g
【D】塩 …… 1g
【D】小麦粉 …… 12g
【D】砂糖 …… 4g
【D】こしょう …… 少々
【作り方】
1 里芋をレンジ600Wで4分加熱し、粗熱が取れたら皮をむき、拍子木切りにする。
2 むき海老に【A】を加えてよく揉み、水で洗い、水分をよく拭きとる。
3 海老をボウルに入れ、【B】を加えてよく揉む。粘りが出たら卵白を小さじ2加え、更に揉む。【C】を加え軽く混ぜる。
4 フライパンに油を少々ひき、海老の両面を焼く。火が通ったら取り出して半割りにする。
5 フライパンに【D】を入れ中火にかける。トロミがついたら器に移し冷蔵庫でよく冷やす。
6 春巻の皮の裏表を確認して、皮の中央やや手前にソース20gチーズ5g里芋15g海老1匹分を乗せ巻く。で余った卵を溶いて、皮をつなぎとめる。
7 170℃くらいの中温の油でゆっくりと揚げて完成。

矢口あやはさん

Profile 矢口あやは

大阪生まれ、東京在住。ライター・編集・イラストレーター。雑誌やWEB、書籍などの制作を中心に活動。料理が大の苦手。文化祭でゴマ団子を調理した際には破裂した団子が天井で跳ね返り、意中の人を直撃した。 Web|ayaha-yaguchi.amebaownd.com Instagram|@ayaha614

credit text:矢口あやは photo:やまひらく

新潟県産の里芋

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