ここでしか撮れない、冬のフォトジェニック旅〈松之山温泉編〉
新潟の冬景色を切り取りに、津南・十日町エリアへ。旅するモデル・斉藤アリスが、Instagramに投稿必至のフォトジェニックポイントを巡ります。今回は、十日町の〈松之山温泉 酒の宿 玉城屋〉で日本酒ペアリングを堪能してきました。
Profile 斉藤アリス
雑誌『Hanako』(マガジンハウス)のライターで、世界のカフェめぐりをまとめた本『斉藤アリスのときめきカフェめぐり』(エイ出版)を著書に持つ。
新潟・十日町の山間にある松之山温泉。
実はここ、松之山温泉は、群馬の草津温泉や兵庫の有馬温泉と並ぶ“日本三大薬湯”のひとつで、温泉成分が基準値の約15倍も含まれている濃厚な薬湯なんです。
川のほとりを歩いていると、岩肌から温かい鉱泉が湧き出ているのを発見。
早く温泉に入って凍てついた体を温めたい!
まずは薬効高い松之山温泉で、心と体を整える。
今回のお目当てである〈松之山温泉 酒の宿 玉城屋〉に到着。
暖かな陽が差し込む玄関を上がると……
4代目当主・山岸裕一さんがお出迎え。
山岸さんはJSA認定ソムリエや利き酒師に加え、日本でも有数の酒匠の資格を持つ、お酒のスペシャリスト。夜はフランス料理に合う日本酒をメインにペアリングでおもてなしをしてくれます。
山岸さんは東京でビジネスマンとして15年勤務後、Uターンして実家の玉城屋を継ぎ、2018年3月に酒の宿としてリニューアルしました。
「昔は良くも悪くも普通の旅館だったので、もっと特徴をもたせて地域に発信できるようなことをやりたいと思ったんです。
新潟といえば日本酒。日本酒と旬の地の食材を使ったフランス料理のペアリングを軸に提供していくことを決めました。今晩はどうぞ楽しんでいってくださいね」(山岸さん)
これはごはんの時間が楽しみ!
まずは濃厚な薬湯で極楽タイムへ。
硫黄のような独特な匂いはせず、にごりもない。
一見普通の湯に見えますが、ゆっくり足を入れると、まったりとした湯ざわりが心地よく、思わず「ああ〜」と脱力した声を漏らしてしまうほど。旅の醍醐味を感じられる瞬間です。
特筆すべきは塩分濃度の高さ。まるで熱々の海水のような温泉なので、体の芯から温めてくれるそう。上がった後の肌はまるでむきたまごのようにツルツル。
温泉を楽しんだ後は、部屋でひと休み。
オススメのお部屋は〈露天風呂付き特別室〉。
ベッドへ寝転がったときに見える細窓からの雪景色は、まるで絵画のよう。リニューアルに伴い洗練されたデザインの和洋室は、ぜひ泊まりたい一室です。
くつろいだら、お待ちかねの日本酒とフランス料理のペアリングを楽しみましょう。
和食だけじゃない。フレンチにも日本酒は合う!
『ミシュランガイド東京』8年連続で星を獲得している、〈レストラン・リューズ〉の飯塚隆太シェフのもと修業を積んだ栗山昭シェフが自慢の料理に腕を振るいます。
実は日本酒とフランス料理のペアリングを展開してから、旅の目的地として玉城屋に来てくれる宿泊客が増えたといいます。
その多くが本格的な食事と日本酒のペアリングを楽しみにしてきてくれる方々で、女性ふたり組も多いのだとか。
さっそく山岸さんに、新潟の日本酒をいくつかご紹介してもらいました。
左から順にご紹介します。
〈真野鶴 吟うさぎ 生詰大吟醸/尾畑酒造〉
香り華やか。アルコール度数が強いため、ペアリングするときは食事に合わせて加水をして味を調整することも。
〈繋ぐ 祝 山廃純米大吟醸 雪中熟成原酒/君の井酒造×Niigata SAKE Lovers〉
ベイクドペアのような香りとなめらかな旨みがあり、スモークした料理と相性抜群。
〈秘蔵酒 麒麟/下越酒造〉
低温でゆっくりと5年以上貯蔵した大吟醸酒。ナッツのような香りと深い味わい。牛ヒレ肉のローストによく合う。
〈kamosu mori 純米吟醸 生酒/苗場酒造×酒の宿 玉城屋〉
苗場酒造と玉城屋が共同開発した日本酒。フルーティーで甘酸っぱく、普段あまりお酒を飲まない人も楽しめる。
〈鶴齢 特別純米 無濾過生原酒 美山錦/青木酒造〉
メロンのような香りとしっかりとした旨みがある。
〈オンナの辛口 QUEEN DRY 純米大吟醸/松乃井酒造場〉
旨みと酸味がまとまったすっきりドライな純米大吟醸。
〈夏子物語 しぼりたて純米吟醸/久須美酒造〉
すっきりと優しい味わいで飲みやすく、淡白な料理の旨みを引き立てる。
山岸さんは宿泊客とコミュニケーションをとり、どれくらいお酒が飲めるのか、どういったお酒が好みなのか、飲むペースなどヒアリングしながら、ひとりひとりにベストなものを提供します。
「あまりお酒が強くないけど、せっかく来たからにはいろんな種類を飲み比べてみたいという女性のお客様のニーズは多いので、量が少なめのハーフサイズのご用意もございます。ひと口ずつ飲んで日本酒のバリエーションを楽しんでみてください」と山岸さん。
日本酒好きでグルメなアリスさんには、いったいどんな日本酒が出てくるのでしょうか。
お待ちかねの日本酒ペアリングタイム。
まずは、先ほどピックアップした〈kamosu mori 純米吟醸 生酒〉に炭酸ガスを注入し、スパークリングに仕上げて乾杯を。
山岸さんのボトルをゆっくり振る手つきが妙に色っぽく、思わず見とれてしまいます。
きめ細かな泡が静かに弾けながら、ゆっくりと注がれていきます。
「フルーティーで飲みやすい! 後味がすっきりとした、ビターな甘さを感じます。確かに日本酒ビギナーの人でもこれならグイグイいけそう」と、大絶賛のアリスさん。
お次は前菜に合わせる日本酒を。
アリスのフォトジェニックポイント
日本酒瓶の陳列棚をバックに撮影すればグッと雰囲気が増します。距離をおいて撮影することで、背景がボケてクオリティ高い一枚に。
雪のように仕立てた大根のムースに、新潟・柏崎でとれた真鯛を添えたひと皿。
ふわふわで軽い口当たりの大根ムースは、オリーブオイルと合わさってコクが生まれ、まるでポタージュのような濃厚さ。
真鯛と一緒に食べて、日本酒をひと口含めば、甘さと塩気のバランスがとれた最高のマリアージュを楽しめます。
アリスのフォトジェニックポイント
大根ムースのふわふわ感がわかるように、思いっきり接写するのがベスト。
お次はこちら。
香りを楽しむ日本酒でもあるので、ワイングラスのような飲み口の広いグラスでいただきます。
なんとこの日本酒、デザートに合わせるんです。
そのデザートがこちら。
フレッシュなイチゴの下にはココナッツのパルフェと、お米を甘く煮たリオレが。
トッピングには卵白でできた軽い食感の生地がアクセントとして散りばめられています。
アリスのフォトジェニックポイント
大きな平皿に彩られたデザートは、まるでキャンバスに描かれた芸術作品。なるべく俯瞰で撮って、全体像を捉えた一枚にすると◎。
デザートに日本酒の組み合わせは意外性がありますが、醸す森は乳酸の酸味がきいた甘いお酒。クリーム系のデザートと相性が良くて、よりおいしく食べられるそうです。
見た目にもおいしい料理と、その料理の良さを引き立てる日本酒に心が踊り、自然と会話も弾みます。
こちらのペアリングコースは季節によってメニューや品数が変動するので、いつ来てもそのときにおいしい新潟の旬を味わうことが。
松之山温泉でパワーをもらって、最高のフレンチと日本酒のペアリングを楽しむ。極上の“酔い旅”、たまの贅沢にぴったりです。
Information
credit model:斉藤アリス photo:ただ(ゆかい)
text:藤田佳奈美