3人の旅の達人たちが、思い出深かった新潟旅を綴ります。第2回は、旅先で出合った美しい情景を写真で切り取る、奄美大島育ちのフォトグラファー・オリンさんが、とある年の3月に訪れた上越妙高の旅です。
初めての新潟旅。キッカケは……
初めて新潟へ行くきっかけとなったのは、とある年の3月に、2人組の女性から卒業式の撮影の依頼を受けたことだった。私が暮らしている神奈川はすでに春の陽気で、ジャケットの中は半袖でも少し暑いくらい。電車と新幹線を乗り継いで約3時間の道のりを揺られながら、未踏の新潟の風景やこれから出会う人を想像してはワクワクしていた。
雪が降ったとも知らず半袖で駅に降り立つハプニング
目的地の上越妙高へ着く頃、新幹線の中がひんやりする感覚があった。
気のせいかと思い窓の外を眺めると、トンネルを越えた先の光景は想像を覆すような真っ白な雪国が待っていた。
駅に到着すると、目の前には人生2度目の積雪が壮大に広がっていたのだ。
興奮して雪を触っては「かき氷にして食べたい……」と夢のようなことを考えていたが、ふと冷静になったところでジャケットの中が半袖だったことを思い出す。寒さと闘いながら近くの服屋を探すことにした。
不安になりながら服屋に訪れ、優しさに触れる
しかし、周りを見渡すと一軒家ばかり。少し不安になりながら歩くと、その中に味のある服屋〈市川呉服店〉がポツンと建っていた。
中に入ると年配の女性がお出迎え。足元が冷え切っていたので温かいタイツを購入したのだった。
置いてある服は若者向けではなく50代向けの服が並んでおり、「若い子向けじゃなくてすみませんね」と声をかけられたので、「寒さが凌げるので大丈夫ですよ」と私は神奈川から出張で来たことも一緒に話をした。すると、「わざわざ遠くから~!」と笑顔で上越妙高の話をしてくれた。
お店の方のお話と笑顔に癒され、最後には「これもよかったら持って行って」と赤いマフラーをいただいた。店を出る時には心身共に温まり、お礼を言って店を出た。
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駅中の〈えちご食処〉で熱々「カツカレー」を頬張る
撮影前に腹ごしらえと、駅前の〈えちご食処〉で「カツカレー」を注文。
20分後にはバスに乗らないといけないなか、出てきたのは火傷しそうなほど揚げたて熱々のカツと中辛のルーがかかったカレーだった。慎重に、かつスピーディーに完食。「もっと味わって食べたかったな」と時間に余裕を持たなかった自分に反省し、無事バスに乗車した。“お母さんの味”のようでどこか懐かしく、最高においしかったのでぜひ立ち寄ってほしい……!
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