十日町市・津南町でアートの祭典〈大地の芸術祭〉がコロナ禍を経て4年ぶりに開催されています。
〈大地の芸術祭〉は、広大な里山を舞台に2000年から続いている芸術祭。世界各国のアーティストが参加し、地域芸術祭の先駆けとして知られていて、各方面から注目されています。
今年は38の国と地域から263組が参加。常設210点に新作123点(先行公開作品含む)が追加されることが発表されています。
著名な作家の作品はもちろん、今年も多数のパフォーマンスがあるとのこと。作品展示だけではない点も、この芸術祭の見どころのひとつです。
注目作品をご紹介!
〈越後妻有 大地の芸術祭 2022〉はコロナ禍の充電期間を経て4年ぶりに開催となった今年。
昨年完成し、先行公開されている作品や今年完成する新作のなかから編集部が注目する施設・作品をピックアップして紹介します。
〈越後妻有里山現代美術館 MonET〉が誕生!
十日町の〈越後妻有里山現代美術館[キナーレ]〉も2021年に〈越後妻有里山現代美術館 MonET〉としてリニューアルオープン。
越後妻有の作家たちの特別展をはじめ日本人アーティストの名和晃平や、森山大道、中谷ミチコなどの作品も展示されています。
施設内の数ある作品のなかでも注目は、中央の回廊に囲まれた大きな池で行われる予定の田中泯によるパフォーマンスです。
レアンドロ・エルリッヒが制作した『Palimpsest:空の池』という作品でもあるこの池で、中谷芙二子の霧の彫刻『霧神楽』が7月30日より披露されます。その霧を用いた作品のなかで田中 泯が『場踊り』を行うというもの。国内外でコラボレーションしてきたふたりのアーティストの共演は見逃せません。
森山未來がパフォーマンスを披露
秋には俳優・ダンサーとして活躍する森山未來が2006年にクリスチャン・ボルタンスキーとジャン・カルマンが手がけた『最後の教室』で、パフォーマンスを行うことも予定されています。作品や現地の習俗などからインスピレーションを受けたパフォーマンスは必見。
また、『最後の教室』の作者のひとりであるクリスチャン・ボルタンスキーは昨年7月に生涯を終えましたが、遺族の了承を得て彼の新作を残されたプランを元に制作・展示が予定されているそう。こちらも完成が楽しみですね。
絵本の世界を再現! 親子で楽しめる美術館
2009年に発表された〈鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館〉は、廃校となった小学校の校舎を使った絵本『学校はカラッポにならない』を空間絵本として体感できる美術館。
ファミリーに人気の施設ですが、今年は春と夏で展示内容が変わるとのこと。校舎外にもさまざまな仕掛けがされている施設なので、春から夏へと移り変わる季節も合わせてお子さんと一緒に体験できる、貴重な機会となりそうですね。
急遽決定したウクライナの作家による作品が展示
ジャンナ・カディロワはウクライナの首都キーウで活動するアーティスト。避難生活を行っている山間部の川で集めた石を使い、『パリャヌィツャ』を制作。〈越後妻有 大地の芸術祭 2022〉での展示が急遽決定しました。
『手をたずさえる塔』で灯される平和への祈り
イリヤ&エミリア・カバコフの作品は新旧合わせて全9作品が展示されています。
塔の上にあるモニュメントは通常、世界で悲しいニュースがあったときは青、希望を表すときは黄色など、世界情勢に呼応して色を変えてライトアップされるそうですが作家の要望を受け、現在の世界の状況から会期中は数日おきに青と黄色にライトを変えて平和への願いを表現することが予定されています。アートが映し出す、平和への想いをぜひ現地で体感してみてください。