アート作品だけではない芸術祭の楽しみとは?
〈越後妻有 大地の芸術祭〉開催に先駆け、運営メンバーであるNPO法人越後妻有里山協働機構の事務局長である原 蜜さんが都内で講演を行いました。
第1回目から運営に携わってきた原さんは、講演のなかで本芸術祭の特徴である離散型の作品展示について語ってくれました。
「本芸術祭は東京23区より1.2倍も広い場所にアート作品をあえて離散させて展示させています。多方面の方から『田んぼに現代アートを置いてどうするの?』『なんで1か所に集めないの?』『効率が悪い』と、開催当初からよく言われましたね(笑)。
でも、僕たちとしてはその効率の悪さをあえて狙っています。芸術祭なのでアート作品を観ていただくのはもちろんなんですが、開催地域の風景を見てもらうことが本当の目的でもあるんです」
「みなさん、『休日に田んぼを観にいこう!』とはならないですよね。アートはひとつのきっかけであってその背景にある里山や田んぼを観てほしいと思っています」
〈大地の芸術祭〉は20年ほど運営されていますが原さんたちが目指しているのは、アートというものを通した地域づくり。それが冒頭でも触れた“地域”芸術祭の先駆けとして広く知られている理由なのかもしれません。
「僕たちは、芸術祭の運営、作品の管理・修繕のほか地域の風景を守る活動をしていますが、地域の課題をまちの人たちと一緒に解決できればいいな、前より少しだけでも変わればいいな、と思いながら活動しています」
前回までは夏の期間だけの開催だった〈大地の芸術祭〉ですが、今年は4月29日(金・祝)から11月13日(日)まで行われます。季節ごとに展示される作品が変わったり、作品によっては公開時期が異なったりするので、お出かけ前にオフィシャルサイトを確認するのがおすすめです。
また、公式のランチ&ガイド付きのバスツアーもいくつか実施されているので合わせてチェックしてみてください。
春から夏、秋へと移り変わる里山と現代アートの共演。季節ごとの風景がいつもとひと味違う新しい〈越後妻有 大地の芸術祭 2022〉の魅力を引き出してくれることでしょう。
Information
credit text:石田絵美