全国随一の枝豆王国・新潟。枝豆の作付面積全国トップにもかかわらず、出荷量は順位を落として全国7位——その理由は新潟県内での消費量が多すぎるあまり、県外に出回らないからだと言われています。新潟県民がいかに枝豆好きかということを証明する数字です。
4年ぶりの開催となった「世界えだまめ早食い選手権」の本戦が7月16日、アオーレ長岡(長岡市)で開催されました。申し込み数が過去最多となった今大会は、これまで抽選方式のみだった本戦出場者の選出が応募多数により、出場枠を追加して予選大会も開催されることに。東京での予選大会をはじめ、今年からは競技ルールに基づいて動画撮影をしてSNSにアップすることで本戦出場のチャンスを得られるSNS予選も行われ、全国どこからでも参加できるようになりました。
ひと粒たりとも無駄にしない“枝豆愛”の心得
枝豆好きたちが集結した本戦には、今年初開催の各種予選を勝ち抜いた猛者を加え、団体戦・個人戦合わせて210名が参加。基本ルールは以下の通り。
①食べるときは必ず豆の鞘(さや)を口に運ぶこととします。先に豆を出してからまとめて食べる行為は禁止です。
②枝豆を鞘(さや)ごと全部食べる行為も禁止です。
③ほかの選手の妨害、大会全体への迷惑行為は、失格となります。
④故意の遅延は選手精神に反するとみなし、特別賞その他各審査外となります。
⑤集合時間厳守でお願いします。集合時間に集まれなかったチームは、試合放棄とみなし失格となります。
これを踏まえて、制限時間100秒間の間にどれだけの枝豆を食べられるかを競います。団体戦と個人戦の2種目が行われ、最初に盛られた枝豆の重さから残った枝豆と殻の重量を引いた重量が成績となります。
また、スピードも重要ですが、床に枝豆を落とすと−5グラムのペナルティが科されるなど、「ひと粒たりとも無駄にせず、誰よりも強い“枝豆愛” を持って、大会に挑戦します」という、えだまめ早食い選手権の選手精神になぞらえたルールも設定されています。
優勝者は100秒間で114グラムを完食!
団体の部45チーム、個人の部は75人が参加し、出場者は緑色の全身タイツや枝豆のコスプレなど、思い思いの「枝豆愛」を身に纏い、口いっぱいに枝豆を頬張ります。
もともとは地元農家の長岡産枝豆をアピールするために始まった本大会。回を重ねるごとに知名度が上がり、新潟県内外から集客する大規模なイベントに成長しました。会場入り口で開かれたマルシェでは地元グルメに多くの人が列をなし、大盛況。新潟の夏を告げる枝豆シーズンの到来に多くの人が集まりました。
個人戦で優勝した長岡市の会社員、吉田拓磨さん(26)は、100秒間で114グラムを完食。賞金と副賞の枝豆が贈られ、「初出場で優勝できてとてもうれしい。長岡の枝豆はとても味が濃いので、おいしくいただけました」と語りました。
新潟県から枝豆に関する重大発表!
2023年の夏は、「世界えだまめ早食い選手権」だけではなく、枝豆王国・新潟からもうひとつ枝豆に関するトピックが発表されました。その内容は、「枝豆と言えば新潟」とのイメージを定着させ、知名度向上を図るために、ザルやお皿などに枝豆を大盛にすることを「新潟えだまめ盛」と命名したというもの。
新潟県外の方からしてみると、大盛の枝豆をそう見ることはないかもしれませんが、新潟県民にとって大盛の枝豆は夏の風物詩。新潟県民は、初夏から秋にかけて品種ごとに順番でやってくる枝豆の食べ頃を、季節の変化とともに楽しむほどの枝豆好きです。
「新潟えだまめ盛」という呼称は、新潟県内だけでなく、東京や神奈川、埼玉で協力する居酒屋などで同名のメニューとして使われる予定です。まだまだこれから旬を迎える枝豆もあるなか、頻繁に新潟を訪れることができなくても、居酒屋から新潟を応援することもできそうです。
credit text:山田卓立