地域芸術祭の先駆けとして知られる〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024〉が、いよいよ7月13日(土)より開催されます。
世界各国のアーティストが参加するこの芸術祭。今年は、広大な里山を舞台に41の国と地域から275組(恒久作品含む)の五感を体験するアート作品が展開されるとのこと。
9回目を迎える今回は、大きく「世界とつながる」「地域を深掘りする」「個々の五感を通して美術を体験する」の3つの柱で構成。
なかでも見逃せない施設・作品をピックアップして紹介します。
世界とつながる:
創作活動70年間の軌跡を辿る
昨年惜しまれつつ没した世界的アーティストのイリヤ・カバコフ。これまで〈大地の芸術祭〉にも数多くの作品を出品してきた人物のひとりです。今回はドローイングを中心に展示され、そのなかには初公開となる1950年代の卒業制作まであるのだとか。過去の作品に新たな描写を加えた晩年の作品も発表されます。70年という長いキャリアで制作された数々の作品は美術ファンならずとも必見です。
世界とつながる:
手の届かない「遊び場」が見せるもの
ウクライナの現代美術シーンを担うアーティストのニキータ・カダンは、東京電力信濃川発電所連絡水槽に、鏡面仕上げの金属を使用した作品を展示。
公園をイメージしてつくられていますが、水槽のなかには入れず、離れた場所からでないと鑑賞することができない空間に。入ることのできないこの公園(作品)は、手の届かない幸福な空間とかつて過ごした幼少時代を想起させる場所という作家の意図がこめられています。
世界とつながる:
渓谷美とアートが融合
MADアーキテクツの創始者でもあるマ・ヤンソンが手がけた『Tunnel of Light』は大地の芸術祭でも人気作品のひとつに数えられます。
日本三大峡谷として知られる清津峡のトンネルを潜水艦に見立てたこの作品は、全長750メートルのトンネルを歩いた先に見えます。この美しい風景は、一度見たら忘れられないでしょう。
※会期中は、混雑緩和のため事前予約が必要。
そんな人気作品を制作するマ・ヤンソン/MADアーキテクツの新作もお披露目されます。
民家から噴き出す巨大な泡が目を引く不思議な作品は、建築を通して人・まち・自然の新たな関係性を生み出す彼らならでは。
泡の中にも入ることができるので半透明フィルム越しに見る非日常感をぜひ体感してみてください。
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まだまだ続く体験するアート 】