暴れる鮭の力強さに圧倒される!
三面川での鮭釣りシーズンは10~11月ですが、特に鮭の遡上が増え、サイズも大きくなるのは11月とのこと。大きいと8キロを超えることもあるそうです。私たちがお邪魔した10月は、数は多くはないものの味がいいとのこと。もちろん大物が釣れることを期待して、いざ挑戦!
釣り竿をしならせるように前へ倒すと、大きな放物線を描いて釣り糸が伸びていきます。川の真ん中にポチャンとエサが落ちたら、ここからがサーモンフィッシングの楽しみどころです。
「鮭は川底のあたりを泳いでいるので、それに合わせてエサも川の底のほうに漂い続けるように操作するのがコツ。エサが水面に落ちたら、それが川底に着くのを待って、川底を転がすようなイメージでゆっくり糸を引いてみてください」と佐藤さん。
しかし、頭ではわかっていても、「川底についた感覚って?」「このスピードで引いて大丈夫かな?」と試行錯誤の連続です。
「川の水面をよく見ると、水の流れがほかの場所と違っているところがあるのが見えませんか? 実はそこが狙い目。川の流れと違う動きをしている何かがいる、ということなんです。そこを目がけてエサを投げてみてください」
佐藤さんの手厚い指導を受けながら、何度も繰り返していくと少しずつ感触をつかめるように。慣れるにつれて、どんどんハマっていきました。
鮭がエサに食いつくのは、実はエサを食べたいからではなく、産卵期で神経質になり、ルアーやエサを邪魔なものとして認識しているから。敵としてみなした異物を攻撃するために食いついているのです。自分なりに頭を使いながら、釣り竿を操ったり投げる場所を変えてみたり。鮭との心理戦を繰り広げます。
ときどき「もしかして!」という手応えがあり、釣り竿を引っ張ってみますが、流木や川底の岩の間に針が絡んでしまっただけ……ということも。そんなときは、周りの釣り人たちから「地球釣ったかー」と声をかけられたり、アドバイスをもらったり。三面川のアットホームな雰囲気が、さらに釣りの楽しさを膨らませてくれます。
とはいえ、なかなか簡単には釣れません。釣り始めてから2時間ほど経った頃、グッと力強く糸が引っ張られる手応えが! 「きたきたー! 巻いて、巻いて、負けるなよ」と叫ぶ佐藤さん。
鮭の力強さに驚き! グイグイ引っ張られて、釣り竿を持っていかれないようにするだけで精一杯。「竿を立てて」「無理に引っ張ると逃げられるから様子を見て」とアドバイスをもらいながらしばらく格闘すると、ふと静かになる瞬間が。そこでグッと釣り竿を引くと魚影が見えてきました。タモですくうと、念願の鮭が!
魚をつかむと、ヌルッとした手触りとずっしりとした重みを感じます。釣った鮭は網に入れて、川の中にキープしておきます。そしてその10分後、立て続けにもう1匹ゲット! こちらも4.54キロ、全長約90センチメートルの大物!
この釣りは調査なので、鮭を何匹釣っても持って帰れるのは雄1匹のみと決められています。釣れなかった場合は、村上名産「鮭の酒浸し」をお土産にもらえます。釣った鮭は魚場で捌いてもらうことができますが、まれに対応ができない場合もあるので、その際は近隣のスーパーや鮮魚店に相談して捌いてもらうのがおすすめです(いずれも有料)。
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