関川村の農産物が絶品スイーツに
「猫ちぐら」をモチーフにしたモンブラン、とちの実のフィナンシェ、バジルのクッキー。主役は、関川村で栽培された木の実や果物。シンプルでいて洗練された味わいに、思わず顔がほころびます。
手がけるのは、都内でパティシエとして活躍していた𠮷田美香さん。2021年、地域おこし協力隊としてご主人とともに関川村に移住しました。朗らかな雰囲気が印象的です。
新潟と山形を結ぶ街道の要衝として栄えた宿場町、関川村。国指定重要文化財である〈渡邉邸〉をはじめ、豪農・豪商の邸宅が軒を連ねます。𠮷田さんの主な任務は、渡邉邸の分家である邸宅〈東桂苑(とうけいえん)〉のスタッフとして、同館の喫茶スペースで提供するスイーツを開発すること。東桂苑が休業となる冬期は、村の食品加工センター〈雲母里(きらり)〉が活動場に。
2月某日、雲母里に𠮷田さんの姿がありました。調理場には鬼ぐるみ、とちの実、いちじくの赤ワイン煮など、村の人たちから届けられた食材がずらりと並んでいます。
「『これで何かつくってみて!』と、持ってきてくれるんです。たとえばこの鬼ぐるみは、すごく殻が硬いので、しっかりと炒ってから割り、実を取り出します。クッキーに入れたり、プラリネにしてケーキに飾ることも」
初めて使う食材もあり、悩むことも多いそうですが、新しい発見も。
「とちの実は、粉末にしてフィナンシェの生地に加えてみたところ、ふんわり香ばしくなって、自分でもびっくり。今は山椒を使ったお菓子を考え中です。村の人からいろいろなお題が与えられ、パティシエとして鍛えられている感じです(笑)」