新潟のつかいかた

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新潟はふるさと自慢が下手?
いいえ、恥ずかしがり屋の県民も
地元の魅力を発信し始めています! Posted | 2022/03/25

毎年10月頃、ニュースやSNSで話題となるのが、「都道府県別魅力度ランキング」(ブランド総合研究所)。各都道府県民がその順位で一喜一憂し、「自分の地元が一番だ!」とふるさと自慢をするなか、控えめな反応と言われているのが新潟県です。米や酒はもちろん、最近ではラーメンやカレーも注目されるグルメ王国で、海も山もあり自然豊かで観光スポットも多数ある同県。2021年のランキングでは、6つもランクアップしたものの、全国22位という結果となっています。

ラーメンの写真
「新潟5大ラーメン」の中でも人気の「燕背脂ラーメン」は、モノづくりのまち・燕のソウルフード。

新潟県の方言に「しょうしがり」という「恥ずかしがり屋」などを意味する言葉がありますが、この県民性がPR下手につながりランキング下位になっているのでは? という声も。新潟県民に向けたアンケート調査(コメジルシ総研/2021年)でも、「県民性をひと言で表すと?」という質問に「控えめ(1位)」や「恥ずかしがり屋(3位)」などがランクイン。まさに「しょうしがり」であることを自覚しているようです。

あの人も新潟県出身! 新潟スゴイかも!?

しかし、実は最近にわかに、奥ゆかしい新潟県民が、地元の魅力を発信しはじめています。例えば、記憶に新しい北京五輪の平野歩夢(村上市出身)選手の活躍。Twitterでは新潟県内からも平野選手を祝福するツイートが相次ぎ、「#新潟の誇り」というハッシュタグがトレンド入りしました。
新潟県出身の有名人の活躍で言えば、チャンネル登録者数1000万人超の世界的ユーチューバーのHIKAKIN(ヒカキン)さんも妙高市出身。四大SNSでフォロワー100万人突破というニュースも話題になりました。そして、現在メディアで引っ張りだこのCreepy NutsのDJ松永さんも長岡市出身です。現在、本サイト「新潟のつかいかた」のキャンペーンアンバサダーを務めるDJ松永さんを通して、新潟の魅力が広く伝わっているようです。

DJ松永さんの交通広告
卒業シーズンに新潟県内の各駅に掲出されたデジタルサイネージ広告。県内の若者たちの胸にも響いたはず。

最近の新潟県出身者の活躍のおかげで、県民も自信をもって「ふるさと自慢」ができる環境になっていると言えるのではないでしょうか。

新潟県庁も強く県民の魅力発信をバックアップ

もちろん、新潟県庁でも県民の魅力発信を応援しています。「自分たちの持っている魅力をあらためて見つめ直してもらい、積極的に発信・表現してほしい」と、「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」が2020年1月からスタート。これまで、フォトコンテストやワークショップ、ウェビナーなどの取り組みを行っています。

その中でも、新潟にゆかりのある100人が新潟県の魅力を発信した「にいがた当たり前品質100」は、多彩な魅力を再発見できる企画。新潟県民にとっては当たり前、だけど全国的に見ると全然当たり前じゃない、新潟の日常の魅力が、お笑い芸人からスポーツ選手、小学生まで個性豊かな視点で紹介されています。

にいがた当たり前品質100の一覧画像
お笑いタレントの横澤夏子さんやおばたのお兄さん、人気ユーチューバー・ゆきりぬさんなど、新潟県出身の有名人も選者として、当たり前品質を発信しています。

受賞作品はスタジアムの大型ビジョンや県民手帳、切手に採用!

じわじわと盛り上がりつつある新潟コメジルシプロジェクトですが、プロジェクト名のハッシュタグ「#新潟のコメジルシ」をInstagramで検索すると、すでに6万投稿を超える(2022年5月現在)投稿が集まっています。これは、2020年のスタートから毎年実施し、全9回を終えた「#新潟のコメジルシ」フォトコンテストなどによるもの。新潟県民が思う魅力が、四季折々のすてきな写真で表現されています。

切手シートデザイン
現在作成中の切手シートデザイン。今年2月末に終了した第9回の入賞3作品含めて過去の入賞作品が採用され、5月27日以降に新潟県内の郵便局で購入できます。

コンテスト入賞作品は、県庁舎入口や朱鷺メッセアトリウムなど新潟県内のさまざまな場所でパネル展示され、新潟の魅力を伝えています。

ほかにも新潟市にある国際級のスポーツを開催できる総合スタジアム〈デンカビッグスワンスタジアム〉の大型ビジョンで掲出されたり、新潟県の隠れたベストセラー〈新潟県民手帳〉の2022年度版に採用されたり、オリジナルのカレンダーや切手シート(2022年5月27日販売予定)になったりと、多くの県民の目に触れるところで活用されています。

「新発田」なんて読むかわかりますか? 難読地名あるあるをCMに

2021年で2度目となる「新潟ふるさとCM大賞」も新潟コメジルシプロジェクトの一環。新潟県の各市町村から、これぞ「ふるさと自慢」と言えるCM動画が集まっています。第2回のグランプリは、「ラブコメ」(新潟県魚沼市)。花束のような魚沼米の稲を捧げて、プロポーズする男のショートストーリーで、なんとも微笑ましい「ラブ米ディ」に仕上がっています。

準グランプリの作品キャプチャ
写真は準グランプリの作品。グランプリは年間100本、準グランプリは50本など、賞に応じて、地元テレビ局のスポットCM枠で放送されるそうです。

そして、準グランプリは、新潟県新発田(しばた)市の作品。「もう、しんはったって、呼ばないで。」というタイトルの通り、「しんはった」「しんほった」と誤って読まれるあるあるを軽快なメロディに載せて伝えています。
そのほかにも、個性豊かな全30作品が地元テレビ局のYouTubeチャンネルなどで紹介されています。

これからの新潟県を担う高校生たちも、魅力発信中!

もちろん、新潟県の魅力を発信しているのは大人たちだけではありません。県内の高校生たちも、主体的に地元の魅力を伝えています。
新潟県内で話題となっているのは、『佐渡に暮らす私は』という書籍。佐渡島の高校生たちが、島民をインタビューして周り、96人分の仕事ぶりや暮らしぶりを1冊にまとめています。そのほか、県内の高校では、授業の一環で新潟の紹介ポスターやCM動画をつくる活動なども行っているようで、コメジルシプロジェクトのサイトでも、その活動をレポートしています。
これから新潟の未来をつくっていく世代が、地元の魅力を知り、伝えることは、新潟県のみならず、日本にとっても大事なことかもしれません。

『佐渡に暮らす私は』の写真
センスを感じる『佐渡に暮らす私は』の装丁は、佐渡の海を思わせる淡いブルー。表紙の写真は生徒たちが撮影し、メッセージを書き添えているのだとか。

プロが手ほどき! 県民もライターデビュー

新潟の魅力発信を応援する新潟コメジルシプロジェクトは、県民の発信力を育てる取り組みも行っています。そのひとつが「地元をオモシロくする10人の発信力」と題して開催したウェビナー。新潟で注目のローカルプレイヤーを講師に、全5回のオンライントークセッションを開催しました。当初30名定員のところ100名近い応募となった初回から、リアル・オンライン併催となる最終回まで大盛況となりました。さらに、ウェビナー視聴者の中で、新潟県の魅力を発信してみたいと思った10名ほどが、記事作成体験ワークに参加。県民ライターとして、コメジルシプロジェクトの公式サイトに一般公開される記事を3~4か月かけて書き上げるもの。県民ライターは、マガジンハウス『コロカル』の編集者による指導のもと、企画から取材、執筆まで行いました。
今、その県民ライターが書き上げた記事たちが、新潟コメジルシプロジェクトの公式サイトに続々と公開されています。プロの添削を経て、最後までつくりきった参加者の記事は、WEBサイトでの公開だけでなく小冊子化され、修了証の代わりとして参加者の手元に届く予定です。

県民ライターの画面キャプチャ
県民ライターの多くが、本業を持つ社会人や大学生たち。忙しい合間を縫って最後までやりきった記事には、新潟愛がぎっしり詰まっています。

こうしてみると、シャイな新潟県民もさまざまな取り組みで、少しずつ地元の魅力を再発見し、それらを発信しはじめているようにも見えます。
他県に倣い、シンプルに「うどん県」や「おんせん県」のようなPRのほうが、インパクトがあるという見方もできます。でも、魅力あふれる新潟県は、県民ひとりひとりが感じる「新潟愛」を、それぞれのカタチで発信していくスタイルのほうがしっくりくるのかもしれません。「恥ずかしがり屋」で奥ゆかしさを持ちつつも、今後は、それぞれのスタイルで、「ふるさと自慢」する新潟県民が、少しずつ増えていくのではないでしょうか。