新潟のつかいかた

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DJ松永×駒形宏伸 (DJ CO-MA)
師弟トークライブ
世界一と世界一が語る
ふるさと・新潟 | Page 2 Posted | 2022/03/30

DJは直前まで修正できるけれど、農業はそうはいかない

松永 帰省して一緒に食事に行ったときや東京から電話したときに聞く、米づくりのマニアックな話がおもしろいんです。コマ君が米づくりをめちゃくちゃ研究しているのがすごく伝わってきます。2020年には〈お米日本一コンテスト in しずおか〉で最高金賞を受賞して日本一の米農家になるわけですけど、信じられないくらいおいしくてびっくりしました。まずツヤが全然違いますよね。南魚沼っておいしい米の産地として有名だけど、コマ君のほかにもこんなにおいしい米をつくっている人がいるんですか?

トークイベント中の会場の様子

駒形 実は、南魚沼の〈関農園〉に米づくりの師匠がいるんだよね。国際大会で金賞を何回もとっているレジェンド級の米農家で、30代半ばの元プロスノーボーダー。最初は俺も自分の力でがんばろうと思っていたんだけど、あるとき限界を感じて。本当においしい米のつくり方は各農家が秘伝のレシピを持っていて公開していない。でも農業は1年に1回しかできないから、あまり遠回りしたくなくて、通いまくった。

トークの進行をするDJ松永さん

松永 コマ君の米のつくり方って、どういう特徴なんですか?

駒形 ぼかし肥料というものを使っているんだよね。米ぬかに魚かすやカニ殻などの有機物を混ぜて、さらに有用微生物を混ぜる。それを密閉して、1年ぐらい寝かせて。

松永 えっ? 1年寝かせる? すっげえ時間かかるじゃないですか? 本気で没頭しないと絶対できないですね。以前、コマ君が「1年に1回しか米を収穫できないってことは、たぶんあと40回くらいしかできない。40回で極められるわけないもんな」と言っていて。ナチュラルにそういう言葉が出てきたから、やっぱり普通の人とは違うと思いました。

イベント開始前に観覧席で談笑するDJ松永さんと駒形宏伸さん
久しぶりに会ってもすぐに馴染む「地元仲間」の雰囲気。

駒形 極論を言えば、DJは本番直前まで修正できるじゃん。でも農業は肥料の采配ひとつで取り返しがつかないことになる。そこが難しい。だから今、DJと同じくらい農業がおもしろいんだよね。

松永 そっか、序盤のミスで1年を棒に振っちゃうこともあるんだ……。ちなみに、コマ君のお米はどこで買えるんですか?

駒形 〈こまがた農園〉のウェブサイトはもちろん、『食べチョク』、『ポケットマルシェ』、『ツナギ』などのECサイトでも買えます。あとはふるさと納税の返礼品かな。米のほかには、スイカとカリフラワーも収穫しているよ。

松永 農家って、ぶっちゃけ、儲かります?

駒形 やり方次第だと思う。自分の場合は、元を辿ればご先祖様が与えてくれた地盤があったし、親父が相当がんばったんだよね。そもそも新潟は米づくりに向いている場所。特に南魚沼は水もきれいだし、盆地だから昼夜の寒暖差が大きくて、それが米づくりにプラスに働く。土地に恵まれていることは大きいと思う。

ステージでトーク中のDJ松永さん

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