新潟のつかいかた

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DJ松永×駒形宏伸 (DJ CO-MA)
師弟トークライブ
世界一と世界一が語る
ふるさと・新潟 | Page 3 Posted | 2022/03/30

地元に帰ることをためらわなくていい。
どんな選択も間違いじゃない

松永 最後に、みなさんから事前募集した質問メールに応えていきましょう。

質問メール「最近、地元の駅が大きな改修を行い、新しい駅ビルが建ちました。地元民としては便利になってうれしいのですが、上京した友人が帰省した際、地元が変わってしまったことに寂しさを感じるといいます。一瞬のエモのために変化を嘆くなんて、なんて身勝手なんだと感じてしまいました。変わることはそんなに寂しいことでしょうか?」(カスタードパイ大盛りさん)

松永 これは難しい問題ですね……。僕もたまに帰省して景色が変わっていると「変わっちゃったなあ」と思うし、でも、そこで生活しているわけではない自分がそう思うことは勝手だなとも感じます。

駒形 自分が見続けた景色だから変わってほしくない気持ちがあるんでしょ?

松永 そうなんですよね。最近、うちの実家が引っ越したんですよ。ボロ家だったから新しい家に移ってくれてよかったと思う反面、あの実家にもう帰れないんだと思うと、むっちゃ寂しくはなります。でも、年老いた母親を自分の哀愁のためだけに古い家に住まわせ続けるのは、さすがにおこがましいですよね。そこはやっぱり、住んでいる人のことを考えたほうがいいと思います。それに、変わるのは地方だけじゃない。東京だって変わり続けるから。

質問メールに答える駒形宏伸さん

質問メール「地元を離れてひとり暮らしをしていると、特に夕方に、どうしようもなくホームシックになることがあります。もう7年も経つのに。ホームシックをラクに解消する方法はありますか?」(燕の番長さん)

松永 コマ君は金沢時代、ホームシックになりました?

駒形 なった。これは本当にわかる。夕方になると寂しくなるの。寂しくて寂しくて、TRFを聴きまくってた。好きな音楽を聴いて気持ちを紛らすんだよね。松永はホームシックにならなかったの?

松永 そうなる前に帰省していましたね。東京での生活がうまくいかなすぎて月2回くらいは帰っていたので。普段はある種のマインドコントロールというか、無理やり自分の気持ちをマヒさせて考えないようにしていました。それでもたまに正気に戻ってしまう。そうなったら即、深夜バスで帰省していました。

駒形 帰れないときもあったでしょ? そういうときは寂しくならなかった?

松永 なりましたね。ただ、DJに集中すればするほどホームシックは忘れていきました。目の前にある「DJをうまくならなければ」という現実が、何よりも大きかったから。優先すべきことができると自然と忘れていくんだと思います。ほかの悩みも同じ。お金がない、服がない、部屋が狭い、そういうことは、何かに没頭していると忘れるものです。

トーク中のDJ松永さん

質問メール「最近、従兄弟が“コロナ禍でどこでも仕事ができる時代だから”と、仕事を変えることなく東京からUターンしました。自分は何かをしたいわけではないけれど、仕事の選択肢が多そうだから、大学を卒業したら上京したいと思っていました。でも、地元で過ごすのも悪くないのかなと思い始めています。よっぽどの目的がない限り、東京に出る必要はないのでしょうか?」(花瓶の花さん)

松永 明確な意志があるわけではなく、漠然と東京に行ったほうがいいのかなと思っている方ですね。そういう人って多いと思います。

駒形 俺は、20代で人生設計なんてできなかったけどね。漠然とでもいいからやりたいことを探して、やれるだけやってみたらいいんじゃないかな。人生1回なんだし。

松永 同感です。僕は最近、見たことのない景色があるのは損だと感じるようになってきました。曲づくりも同じで、今まで聴かなかった音楽をあえて聴くようにしたら、それがいい影響を及ぼすようになったんです。自分にとって新しいもの、感動するものが増えて、価値観が広がっていく。だから今、幸せなんですよね。
それに、その従兄弟みたいに、東京に行ってから地元に戻るのはアリだと思います。人生経験は積んだほうがいいですからね。もしかしたら、地元に帰ることにうしろめたさを感じる人がいるかもしれません。僕の場合も、DJで勝負しようと東京に出てきたわけだから、うまくいかなくて帰ったら負けだと思ってしまうかもしれない。でもそれってたぶん、勝ち負けではなく「変化」なんですよね。だから、新しいチャレンジを決断したという誇りを持って地元に帰ってほしいし、僕がそうなったときには、ちゃんと自信と勇気を持って新潟に帰りたい。
メールに話を戻すと、一度フラットに考えてみてもいいかもしれません。コロナ禍で進歩した技術もたくさんあるから、大抵の仕事は地元でもできるだろうし、逆に、もっと軽い気持ちで東京に行ってもいいかもしれない。どんな選択をしても間違いではないと思います。

「ニッポン放送 imagine studio」の廊下を歩くDJ松永さんと駒形宏伸さん

質問メール「新潟といえばバスセンターのカレーが有名ですが、おふたりが思う、新潟ツウぶれるグルメがあれば教えてください」(なにぬねノーブラさん)

松永 新潟ツウぶれるグルメって何ですかね? コマ君に聞きたかったんですけど、いちばんうまい米の食べ方って何だと思います?

駒形 やっぱり塩むすびだと思う。できれば塩も、米の味を邪魔しない塩にするといい。村上市の笹川流れの塩や佐渡の塩は本当においしいからおすすめです。普段のごはんなら、まずはご飯だけの味を何口か味わってほしいし、おかずを食べたら一度水を飲んで口直ししてから、またご飯を食べてほしい(笑)。

松永 どんだけ自分の米を味わってほしいんですか(笑)。でもたしかに、コマ君の米を食べたときは「めっちゃ味する!」と思った。パッケージに書いてあった通りに炊いたら本当においしくて「大変な戦いを経たからこそつくれる米だな」と納得しました。
じゃあ、いちばんツウなのは塩むすび。たしかに新潟のおすすめグルメで「塩むすび」って答えたらかなりのツウだと思いますよね。で、塩は笹川流れか佐渡と。

駒形 できればお米はこまがた農園でお願いします(笑)。

ふたりの出会いやDJへのめざめ、米づくりの難しさとおもしろさ、そして地元への想い。師弟として、同郷の友だちとしての語り合いは熱を帯び、1時間半があっという間に過ぎてしまいます。おひらきの時間になると、松永さんは「出会ってからの話もたくさんあるし、スイカの話も聞きたいんだよな……」と名残惜しそう。Twitter上では、もっとふたりの話を聞きたいという声もあがっていました。

かねてから、「新潟に恩返しがしたい」と語っていた松永さん。故郷を想いながら自分の人生を生きることが、なによりの恩返しになる。そう思わせてくれるトークライブでした。

※この師弟トークライブの模様は、以下の動画でご覧いただけます

新潟のつかいかた キャンペーン
DJ松永×駒形宏伸(DJ CO-MA)師弟トークライブ

Information

イベント概要
日時:2022年3月12日(土)17:00開場、18:00スタート
会場:ニッポン放送 imagine studio
出演者:DJ松永(新潟県長岡市出身)、駒形宏伸(DJ CO-MA)(新潟県南魚沼市出身)
主催:新潟県
企画制作:株式会社マガジンハウス/株式会社ニッポン放送
配信:新潟県公式YouTubeチャンネル

credit text:山田宗太朗 photo:ただ(ゆかい)