新潟のつかいかた

spot-inn-022-ec

新潟・中越の温泉5選!
洞窟風呂から絶景の渓谷の湯まで
温泉密集エリアの秘湯を
厳選してご紹介 Posted | 2024/01/10

冬の新潟といえば、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツもいいですが、温泉にゆっくり浸かって日頃の疲れを癒すのはいかがでしょうか。

実は新潟は、全国3位の温泉県。「宿泊施設のある温泉地数」は、北海道、長野に次いで137か所もあります(※)。また、新潟県内の全30の市町村から温泉が湧出しているのもポイント。つまり、新潟県内ほぼ全域で温泉に入れるということです!

この記事では、新潟県中越エリアの温泉を5つ厳選してご紹介します。監修していただいたのは、新潟県長岡市出身で温泉エッセイストの山崎まゆみさん。日本三大薬湯から世界的に珍しい泉質の温泉まで、新潟らしい温泉をセレクトいただきました。

温泉利用状況「令和3年度温泉利用状況」(環境省)

山崎まゆみさん

Profile 山崎まゆみさん

新潟県長岡市生まれ。温泉エッセイスト・跡見学園女子大学“観光温泉学”講師。VISIT JAPAN大使(観光庁任命)として日本の温泉文化を国内外に広く発信。国の観光政策の重要な会議に参画し、また「観光庁長官表彰」審査員や「新潟の魅力を考える懇談会」委員、「新潟プレミアサロン」のコーディネーターも務める。著作に『女将は見た 温泉旅館の表と裏』『温泉ごはん 旅はおいしい!』ほか。

『雪国』のモデルになった温泉は中越の越後湯沢温泉

中越エリアの温泉地マップ
出典:「新潟県の温泉地」(新潟県観光協会)をもとに作成(地図に表示の温泉地は、新潟県内の「宿泊施設のある温泉地数」全137か所より抜粋し掲載しています)

全国3位の温泉数を誇る新潟県のなかでも、もっとも温泉の数が多いのが中越エリアです。とくに長岡市、南魚沼市、湯沢町には多くの温泉があります。

川端康成の小説『雪国』のモデルになった温泉地も、南魚沼郡湯沢町の越後湯沢温泉だといわれています。「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」という、同小説の書き出しはあまりに有名ですが、主人公・島村が芸者の駒子と出会い、惹かれていく物語は湯沢の温泉町が舞台となっています。

そのほかにも、旅行サイトなどでの新潟の温泉ランキングで例年上位に名前のあがる松之山温泉や越後湯沢温泉、舞子温泉も中越エリアに位置しています。十日町市に位置する松之山温泉は、有馬温泉(兵庫)、草津温泉(群馬)と並んで「日本三大薬湯」として有名で、現在は温泉を利用した持続可能なエコビレッジとしてさまざまプロジェクトが立ち上がり、新たな試みを続けています。

また、南魚沼温泉郷にある六日町温泉は新潟県内で一、二を争う湧出量の温泉で、全国で79か所のうち新潟県からは4か所が選ばれている「国民保養温泉地」に指定されています。〈魚沼産コシヒカリ〉の産地であり、首都圏からのアクセスの利便性も良いことから、毎年多くの観光客が訪れる人気の温泉地です。

このように中越エリアの温泉は、十日町および魚沼地域の豪雪地帯にある温泉地もさることながら、近年は掘削技術の向上にともない、長岡市や三条市など平野部でも多くの温泉が分布しています。

新潟・中越の温泉①松之山温泉郷
かつての湯治場がエコビレッジとして新たな魅力を創出

湯守処 地炉の足湯
写真提供:(一社)十日町市観光協会

新潟県十日町市にある松之山温泉は、草津温泉、有馬温泉に並ぶ「日本三大薬湯」のひとつです。お湯は「天然和風アロマ」と言えるほど、独特な匂いをしています。泉質は殺菌効果、温浴効果が期待できる塩化物泉なので、とにかく体が温まるところが特徴です。

松之山温泉は、地殻変動により海水が地層に閉じ込められ、それが高い圧力によって高温で噴き出すジオプレッシャー型の化石海水温泉で、その化石海水は起源がおよそ800~1200万年という、太古の時代の海水といわれています。

雪の積もった松之山温泉郷の遠景
写真提供:(一社)十日町市観光協会会

また、松之山温泉は「持続可能なエコビレッジ」を目指しているところも特徴のひとつ。「湯治豚」やバイナリー発電などの温泉を活用した取り組みもその一環で、地域が一体になってさまざまな取り組みを行っています。

「湯治豚」とは津南町、十日町市の養豚業者が育てるブランド豚〈妻有ポーク〉を松之山温泉の熱で真空低温調理した豚肉のこと。バイナリー発電とは、高温で湯量豊富な松之山温泉を資源として活用した発電のことで、かつて湯治場として栄えた温泉地にまた新しい魅力が生まれようとしています。

Information

【松之山温泉郷】MAP・12
address:新潟県十日町市松之山
access:ほくほく線まつだい駅からバスで約30分
泉質:塩化物泉
主な効能:神経痛、関節痛、筋肉痛、五十肩、慢性消化器病、冷え性、疲労回復、健康増進、切り傷、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人病など
入浴できる主な温泉施設:ひなの宿 ちとせ酒の宿 玉城屋白川屋山の森のホテル ふくずみ和泉屋野本旅館素泊まりの宿 みよしや など
web:松之山温泉郷

新潟・中越の温泉②逆巻温泉
別名「めいそうの湯」とも呼ばれる洞窟風呂

川津屋の洞窟風呂
写真提供:川津屋

「日本の秘境100選」のひとつ、秋山郷の入り口にある秘湯が逆巻(さかさまき)温泉。一軒宿〈川津屋〉は文豪・吉川英治ゆかりの温泉宿です。吉川英治はこの宿の温泉に浸かり、歴史小説の大作『新・平家物語』の構想を練ったといわれています。

お湯は無色透明のラジウム含有硫黄泉。浸かるとお肌がまったりするやわらかなお湯が特徴です。眼病、アトピー性皮膚炎、胃潰瘍、骨膜炎などに効能があります。

川津屋の外観
写真提供:川津屋

〈川津屋〉には、新潟県内では珍しい洞窟風呂があり、浴室の扉を開けると小さな洞窟が広がっています。壁と天井は、天然の岩盤がむき出しになっていて、岩が崩れてこないように固められています。岩間から源泉が染み出しているため、新鮮なお湯に浸れるところも魅力のひとつで、その雰囲気から洞窟風呂は「めいそうの湯」とも呼ばれています。

紅葉で色づいた山の中に建つ川津屋
写真提供:川津屋

宿内にはもうひとつ〈展望の湯〉があり、こちらはやや小さめの温泉。秘境ムードが漂う中津川渓谷を見下ろすことができ、絶景を眺めながら入浴できます。

Information

【逆巻温泉】MAP・20
address:新潟県中魚沼郡津南町大字結東丑84-1(川津屋)
access:JR津南駅から車で20分
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物硫酸塩温泉
主な効能:皮膚病、水虫、神経痛、リウマチ、通風、胃腸病、骨膜炎など
入浴できる温泉施設:川津屋
web:逆巻温泉

新潟・中越の温泉③栃尾又温泉
伝統の「長湯」が伝わる「子宝の湯」

したの湯
写真提供:自在館(したの湯)

「子宝温泉」として知られるのが栃尾又温泉。開湯は奈良時代と、歴史ある古い温泉地です。お湯は無色透明ですが、実はその薬効パワーは強く「万病の湯」ともいわれています。

世界的にも数少ないラジウム含有量が多い温泉で、ぬる湯なので長時間入浴することができ、ゆっくりと体を温めます。35度くらいの湯に1~2時間入るのが栃尾又温泉の伝統的な入浴法「長湯」で、ぬる湯に長時間浸かることで副交感神経に切り替わり、体の緊張がほぐれます。

薬師堂
写真提供:自在館(薬師堂)
おくの湯
写真提供:自在館(おくの湯)

入浴するなら、〈自在館〉〈神風館〉〈宝巌堂〉の3軒の宿が共同で運営している共同浴場「うえの湯」「したの湯」「おくの湯」がおすすめです。

温泉以外の名所もあります。〈自在館〉の裏手に小さなお薬師様・薬師堂があるので、ぜひこちらも訪れてみてください。この境内にある御神木・夫婦欅をくぐり、子持杉と呼ばれる大きな杉の根元をまたぐと子宝に恵まれると言い伝えられています。

Information

【栃尾又温泉】MAP・9
address:新潟県魚沼市上折立68
access:JR小出駅からバスで約25分
泉質:単純ラジウム泉
主な効能:リウマチ、婦人病など
入浴できる主な温泉施設:自在館宝巌堂、神風館 など
web:栃尾又温泉

新潟・中越の温泉④清津峡温泉郷
秋は紅葉、冬は雪見。渓谷を眺める絶景の露天の湯

清津館の露天風呂
写真提供:清津館

日本三大峡谷のひとつ清津峡の麓にある、清津峡温泉郷。SNSで人気の清津峡渓谷トンネルからほど近い場所にあります。山あいの静かで風情のある温泉街は秘境らしく、雰囲気が抜群です。

温泉宿のひとつ〈清津館〉は、本館正面にある宿泊者専用の貸切露天風呂からの眺めが絶景です。秋の紅葉のシーズンには清津峡の紅葉を見ることができ、空気の澄んだ冬の露天風呂では、山傘をかぶり、雪の中で入浴する雪見風呂を体験できます。この露天風呂では薬師の湯と小出2号泉のふたつの自家源泉を楽しむこともできます。

露天風呂のすぐ横を川が流れている
写真提供:清津館
清津館の外観
写真提供:清津館

そして、室内にある内風呂は単純硫黄温泉で、上杉謙信公ゆかりの薬師如来像のお告げによって掘り当てられた天然かけ流しの薬湯です。アルカリ性の硫黄泉でお肌がツルツルになります。効能は慢性皮膚病、神経痛、婦人病、筋肉痛、疲労回復など。

Information

【清津峡温泉郷】MAP・14
address:新潟県十日町市小出
access:JR越後湯沢駅からバスで約30分
泉質:単純硫黄温泉
主な効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
入浴できる主な温泉施設:清津館いろりとほたるの宿 せとぐち清津峡渓谷トンネルエントランス など
web:清津峡温泉郷

新潟・中越の温泉⑤五十沢温泉
湧出量豊富・立派な岩風呂

〈五十沢温泉 ゆもとかん〉の大露天風呂
写真提供:五十沢温泉 ゆもとかん

新潟県南魚沼市にある五十沢(いかざわ)温泉は、湯量が豊富で100%源泉かけ流しのアルカリ性単純泉の新鮮なお湯が人気の温泉です。お湯の色は透明でほのかに硫黄の香りがします。

五十沢温泉の温泉宿〈五十沢温泉 ゆもとかん〉にある大露天風呂は広く、県内でも珍しい立派な岩風呂となっています。混浴ですが、時間帯によって女性専用・男性専用で利用可能です。景観がすばらしく開放感があり、のんびりとくつろげます。

天然/小露天風呂と書かれた看板
写真提供:五十沢温泉 ゆもとかん

大露天風呂のほかに、男女別の内風呂や女性専用露天風呂も。女性の脱衣所にはベビーベッドがあるなど、小さな子ども連れの家族でも温泉が楽しめるようになっています。周囲はのどかな田園風景に囲まれ、冬になると見渡す限りの雪原が広がります。

Information

【五十沢温泉】MAP・18
address:新潟県南魚沼市宮
access:JR六日町駅からバスで約25分
泉質:アルカリ性単純温泉
主な効能:自律神経不安定症、不眠症、うつ状態など
入浴できる主な温泉施設:五十沢温泉 ゆもとかん萌気園さくり温泉健康館 など
web:五十沢温泉

洞窟の中で温泉が楽しめたり、豊かな自然がつくり出した絶景を眺められたり、どれも新潟ならではの情緒あふれる温泉ばかり。温泉ごとにそれぞれ興味深いポイントがあり、知れば知るほど行ってみたくなります。

今年の冬は白銀の世界のなかで冷えた空気と、静寂のなかでぬくぬく温まる雪見風呂を堪能してみてはいかがでしょうか。きっと心も体もリフレッシュできるはずですよ。

credit text:藤岡あかね