1枚の笹の葉を丸めてつくる、箕の形
笹箕寿司の特徴は、なんといってもそのユニークな笹の形。これはぜひともマスターしておきたいところです。
まず最初に、笹の茎の部分をハサミで切り落とします。続いて、笹の葉の表側の上部を1.5センチほど山折りにします。
続いて、笹のツルツルの表側が内側にくるように円すい状に丸めます。尖った先端が上にくるように180度回転させ、円すい状の先端を笹の葉の隙間に差し込んで完成です。
コロンとかわいい箕の形をした笹の葉の入れ物ができました。一番最初につくったものはやや不格好ですが愛らしく、4個、5個とつくっていくと形がだんだんと整っていきました。
笹の入れ物ができたら、そこに酢飯を詰めていきます。手にお酢を少しつけ、別皿に用意された酢飯をひと握りとり、笹の中に詰め、軽く押さえます。
お手本を見ながら酢飯を詰めていきますが、なかなか上手にいきません。すると、孝子さんから、「笹の葉の先のほうへと酢飯を薄く伸ばすようにするとよいですよ」とのアドバイス。なるほど! これで酢飯をきれいに詰めることができました。
新しい具材も積極的に取り入れる姿勢
酢飯の準備ができたら、次は具材をのせます。笹箕寿司にのせる具材は、地元・妙高の食材を使ったものばかり。地域や家庭によって異なりますが、ぜんまいの炒め煮やくるみの甘煮、椎茸の甘煮、根曲がり竹など、どれも郷土の味です。
「具材ののせ方はご自由に。でも、ご飯が少し見えるぐらいがちょうどいいですよ。絵手紙を描くイメージでのせてみてください」(均さん)
具材がおいしいからといって、欲張ってのせすぎてはいけないわけですね。これは気をつけないと。
まずは、「根曲がり竹煮」から。妙高の特産でそのまま食べると歯ざわりがよく、とても良い香りがします。根曲がり竹は、粕汁の具にしてもおいしいのだそう。
続いて、甘辛く炊いた「ぜんまいの炒め煮」。炊きたてのご飯にのせて食べてもおいしそうです。ほかに「鮭のそぼろ」や「薄焼き卵」など、比較的、最近に考案されたという新しい具材もあります。
黙々と酢飯に具材をのせる〈ごはん同盟〉のふたり。無言で作業を進めていますが、私たちにとってお米料理を学ぶひとときは楽しい時間です。
「郷土料理といっても古くから伝えられた食材だけにこだわるのではなく、新しい食材も積極的に取り入れています。だって、せっかく食べるならおいしいほうがいいからね」(孝子さん)
郷土料理だけれど、新しい食材を試していいというのはとてもおもしろいですね。手巻き寿司に使う魚介類や塩気の強い生ハムなどを合わせたら、おいしそう。具材を笹の葉に詰めた酢飯の上に置くだけなので、家族や友人たちと一緒につくったらとても楽しそうです。