新潟のつかいかた

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〈ごはん同盟〉がつなぐ、
ふるさとのレシピ
米どころ・魚沼のご当地おむすび
「けんさん焼き」 Posted | 2022/01/05

文・シライジュンイチ(ごはん同盟)

おむすびは、昔から農作業や山仕事の食事やお弁当として、その土地ならではの食材を生かして独自に進化してきました。全国各地で愛され続けるご当地おむすびは、まさに郷土を代表する料理のひとつです。

新潟にも数々のご当地おむすびがありますが、今回ご紹介するのは、魚沼地方に古くから伝わる、おむすびに味噌を塗って焼いた「けんさん焼き」です。

お茶漬け風の「けんさん焼き」

魚沼地方といえば、新潟県内はもちろんのこと、日本を代表するコシヒカリの産地。この米どころで愛されてきた「けんさん焼き」を味わうために、南魚沼市塩沢へと向かいました。

江戸情緒を感じさせる旧塩沢宿のまち並み

JR塩沢駅に降り立ち、駅前から5分ほど歩いて進むと、「雁木(がんぎ)」のまち並みが見えてきます。雁木とは、冬場、雪で通路が塞がらないようにするために家屋の一部やひさしなどを延長したもので、豪雪地ならではの生活の知恵です。

この雁木が続く通りは、「牧之通り(ぼくしどおり)」。江戸と越後を結ぶ三国街道の宿場町として栄えた、塩沢宿のメインストリートです。

塩沢宿の牧之通り(ぼくしどおり)

以前は道幅の狭い商店街でしたが、20年ほど前に道路の拡幅を行う工事が決まった際、「これは数百年に1度のまちづくりの機会だ!」と、地元の人々は考えたのだそう。沿道の建物の外観やデザインを統一して、色彩も制限。道幅を広げた部分には雁木を設置するなどの独自の建築ルールを設け、伝統的な雪国建築を生かしたまち並みを復元させました。

牧之通りを歩くごはん同盟の二人

江戸情緒が漂う通りを歩くと、書店も、薬局も、ラーメン店も、信用組合も、お土産屋さんも、すべて雁木と白壁で統一され、その美しさにほれぼれします。通りには一般の住宅もあり、単なる観光地ではなく、生活に根づいたまち並みであることがわかります。

「牧之通り」の名称は、江戸時代後期の文人、鈴木牧之(すずきぼくし)の名前にちなんだもの。塩沢の織物仲買商の家に生まれた鈴木牧之は、幼い頃より俳諧や文筆、書画をたしなんだ人物です。彼がまとめた雪国の生活を描いた『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』は、江戸時代のベストセラーとなりました。

越後の古地図

通りを歩いて進むと、道の途中に江戸時代の越後の古地図が。もちろん、旧塩沢宿の場所も描かれていました。こんなところからも、古き良き文化を大切にする塩沢の人々の心意気が感じられます。

まち並みを散策しながら到着したのは、〈お米の楽校〉というお米の体験ミュージアム。お米の選別工程ごとに実際に使う機械の展示があり、おいしいご飯が食卓に届くまでをわかりやすく学べる施設です。

〈お米の楽校〉の外観

魚沼産コシヒカリのご飯をいただけるほか、お米の食べ比べ体験やぬか釜炊飯体験、餅つき体験などもできるそうで、お米好きにはたまりません。

それでは、中に入ってみましょう!

Information

【お米の楽校】
address:新潟県南魚沼市塩沢229-1
tel:025-782-5105
access:JR塩沢駅から徒歩約8分
営業時間:10:00~16:00
定休日:不定休
web:お米の楽校

米俵を持ち上げる

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