新潟のつかいかた

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〈ごはん同盟〉がつなぐ、
ふるさとのレシピ
米どころ・魚沼のご当地おむすび
「けんさん焼き」 | Page 2 Posted | 2022/01/05

おいしいご飯が食卓に届くまで

〈お米の楽校〉の看板

〈お米の楽校〉で最初に目に入ったのは、「唐箕(とうみ)」という木製の大きな道具です。

唐箕(とうみ)

風力を利用して脱穀した米粒ともみ殻を選り分ける農機具で、私が幼い頃に実家に唐箕があったことを思い出し、なんだか懐かしい気持ちになりました。

さらに奥へ進むと、稲刈り後に使われる精米機や検査の機械がパネルとともに展示されています。

精米機や検査の機械がパネルとともに展示されている

収穫されたお米は、さまざまな選別や加工が行われて、白米として食卓に届くのですね。

こちらは未成熟米など色のついた米粒や小石などの異物を見分ける「色彩選別機」です。

色彩選別機

機械のなかを流れる米のひと粒ひと粒を光センサーとカメラで識別し、色のついた米粒などを検出したら、圧縮した空気で吹き飛ばすというすごい仕組み。お米が一等米として認定されるには、着色粒の割合を全体の0.1%以下にする必要があるため、この検査はとても重要です。

こちらは「食味分析計」。

食味分析計

等級検査では、色や形、お米の見た目の出来を調べますが、食味検査では、ご飯として食べたときのおいしさを調べるそう。実際に試してみることができました。

白米をケースに入れて、

白米をケースに入れる

食味分析計にセットし、

食味分析計に白米をセット

待つこと数十秒。

測定中

食味分析計で測定する項目は、水分、タンパク質、「アミロース」と呼ばれるでんぷんの割合などです。一般的に、水分がほどよくあり、タンパク質の割合が少ないものがおいしいお米とされています。

出力された診断結果

さすが、南魚沼産のコシヒカリ! 診断結果もよい数値です。

雪国ならではの知恵から生まれた「けんさん焼き」

展示されている米俵

ほかにもお米にまつわる展示がたくさんあり、ゆっくりと楽しみたいところですが、今回の取材の目的は、魚沼地方の郷土料理「けんさん焼き」について学ぶこと。さっそく、その由来についてうかがっていきたいと思います。

お話をお聞きしたのは、〈お米の楽校〉スタッフの小澤裕子さんです。

小澤裕子さん

「『けんさん焼き』は、『けんさ焼き』とも呼ばれて、その昔、上杉謙信の軍勢が兵糧として持っていたおむすびを剣の先に刺して、焚き火で温めて食べていたことに由来するそうです。『剣先焼き』から転じて、『けんさん焼き』になったそうですが、実は、ほかにもいわれがあって、『けんさん焼き』の始まりは、定かではないんですよ」(小澤さん)

文献を調べてみると、神仏への献上品として捧げたご飯を活用するために考案されたという説もあり、「献餐(けんさん)」や「献残(けんざん)」がなまって「けんさん焼き」となったともいわれているようです。

いずれにしても、冷えて固くなってしまったご飯をおいしくいただくために雪国の知恵から生まれた料理が、「けんさん焼き」と言えそうです。

お茶漬け風の「けんさん焼き」

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