新潟のつかいかた

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〈ごはん同盟〉がつなぐ、
ふるさとのレシピ
雪国・妙高の季節の
変わり目を感じさせる
「笹箕寿司(ささみずし)」 | Page 3 Posted | 2021/03/05

いろとりどりの、妙高・郷土の味

こうしてできあがった笹箕寿司は、いろどりも鮮やかです。

うまく出来上がった笹箕寿司

見た目もよく、崩して食べるのがもったいないですね。でも、食欲は別物。さっそくいただきましょう!

ごはん同盟のお二人が実食
まさに「おいしい!」の表情

「お、おいしい!!!」

最初に笹の香りがほんのりと移った酢飯のうまみが広がり、そこに山菜の甘みや漬け物の酸味が追いかけてやってきます。今回はつくりたてをいただきましたが、しばらく置いて、酢飯と具材をもっとなじませたら、さらにおいしくなりそうです。

食べ方は、笹の葉の端を持って広げ、口に運ぶだけ。片手で食べられるのも便利で、戦の携行食になっていたというのもうなずけます。

笹の葉の端を持って広げる

「旅行で訪れる方以外に、地元の人からも意外と注文がくるんですよ。やっぱり懐かしい味を食べたいんでしょうね。『孫が遊びに来るから』という理由で注文をいただくこともあって、うれしいですよ」(孝子さん)

笹箕寿司を説明する孝子さん

「せっかくだから、これも食べてって」といただいたのが、新潟県の郷土料理の「のっぺ」でした。

器に盛られたのっぺ

のっぺは、里芋やにんじんなどの根菜に、こんにゃくやかまぼこなどを加え、しょうゆ味のだし汁で煮込んだとろみのある汁物です。妙高地方のものは具材を大きく切り、片栗粉でとろみをつけてあるので食べごたえが十分。鶏肉やかぼちゃからもおいしいうまみがでていました。

私たちの実家のある新潟市や長岡市など平野部ののっぺは、片栗粉は使わず里芋だけでとろみをつけ、鶏肉の代わりに貝柱を入れています。同じ新潟の郷土料理といっても、地域によってつくり方が微妙に異なるのがおもしろいですね。

岡田さんご夫妻。はるみ荘の前で

岡田さんご夫妻から笹箕寿司を習って感じたのは、郷土料理は決して守られるだけの存在ではないということでした。現代の食生活に合わせて新たな具材を取り入れてみたり、食べやすいように笹の包み方を工夫してみたり、「もっとおいしく、多くの人たちに喜んでもらうためにはどうしたらいいか」という試行錯誤を続ける姿勢がそこにありました。

「笹箕寿司をお届けすると、笑顔が返ってきます。だから辞められないんです」
岡田さんご夫妻は、そういって笑顔で私たちを見送ってくれました。

【 レシピ 】

笹箕寿司

「笹箕寿司(ささみずし)」 8~10個分
【材料】
・酢飯 …… 1合
・笹の葉 …… 10枚
・具材(各適量)

 ぜんまいの炒め煮
 根曲がり竹煮
 ふきみそ
 椎茸の甘煮
 大根のみそ漬のみじん切り
 鮭のそぼろ
 薄焼き卵のせん切り
 くるみの甘煮
 紅生姜
【作り方】

1 具材を準備する。笹はさっと熱湯にくぐらせ、水けをふきとる。
2 小さめのボウルに水と酢(適量)を入れた手水を用意する。
3 笹の端を1.5センチほど外側に折り、円すい状になるようにぐるりと折り曲げ、笹の先端を差し込んで箕(み)の形をつくる。
4 手水で手を濡らし、の笹に酢飯30g程度を平らに詰める。
5 酢飯の上にお好みの具材をのせ、軽く押す。
農林水産省「うちの郷土料理」に掲載中の新潟県の郷土料理一覧はこちら】

ごはん同盟のお二人

Profile ごはん同盟

調理担当のしらいのりこ(新潟市出身)と、企画・執筆担当のシライジュンイチ(長岡市出身)による炊飯系フードユニット。料理雑誌へのレシピ提供のほか、炊飯ワークショップや料理教室などを精力的に開催する。近著は『これがほんとの料理のきほん』(成美堂出版)。www.gohandoumei.com

Information

【民宿 はるみ荘】
address:新潟県妙高市杉野沢2421
tel:0255-86-6242
access:えちごトキめき鉄道「妙高高原駅」から車で10分

credit text:シライジュンイチ photo:やまひらく