新潟のつかいかた

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新潟県お魚カレンダー
春夏秋冬、
新潟の旬の魚はコレ! Posted | 2024/03/25

新潟県は、一年を通してさまざまな魚が水揚げされる「魚の宝庫」。新潟県の海には、600種以上の魚介類が生息し、およそ2000人の漁師がおいしい魚を私たちに届けてくれます。スーパーでも気軽に購入できる新潟の魚ですが、気になるのが旬です。

今回は、春夏秋冬のおいしい新潟の魚を、新潟県水産課監修のもと、「新潟おさかな大使」のさかなクンのイラストとともにご紹介します。

新潟の魚は種類豊富! 雪国が育む多様な食文化

新潟県の海で獲れる旬の魚の年間カレンダーイラスト
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米や日本酒、そして魚もおいしい新潟。味わい豊かな食材に恵まれている背景には、新潟の大地が育む清らかな水が影響しています。

冬は雪深い新潟では、春になると雪解け水が地面から湧き出し、信濃川や阿賀野川などの大河川によって山々から栄養分が海へと運ばれます。本土330.8キロメートルと離島303.9キロメートルを合わせた、総延長634.7キロメートルの長い海岸線にある多様な漁場には、良質プランクトンが発生し、身の引き締まったおいしい魚が育つのです。

下越・中越・上越・佐渡の各エリアで四季折々の魚がとれるのも新潟の魚の魅力。また、エリアごとに魚を長期間おいしく味わえるように工夫された保存食の文化もあります。

城下町・新発田市では、麻の実やショウガとともに甘く炒ったおからを、アジ(マアジ)や小鯛(マダイの幼魚)などの小魚で包む郷土料理「から寿司」。世界初となる鮭の自然ふ化増殖に成功した村上市では、「塩引き鮭」や「飯寿司(いずし)」など、100種以上の料理で鮭を余すことなく食す文化も語り継がれてきました。そんなおいしい魚を新潟ならではの食文化で味わってみてください。

新潟の春の魚

ウスメバル、マダイ、サクラマスのイラスト

寒い冬から暖かい春に切り替わる時季は、春限定のおいしい魚がたくさんあります。

新潟の春に旬を迎える魚は、カレイ類、マダイ、サクラマスなど。ヤリイカやワカメもとれるほか、下越ではイワシ、上越ではズワイガニ、佐渡ではモズク、岩ノリなどの海藻類、バイ貝、ナマコ、サワラも漁獲されます。エリアによって少しずつ水揚げされる水産物が違うのも、海岸線が長い新潟の特徴です。

新潟の春の魚①ウスメバル

ウスメバルのイラストと写真

ウスメバルは、沿岸の岩礁域に群れをつくって生息し、大きくなるにつれて深場へ移動。3〜5月の産卵後、主に刺し網で漁獲されます。

主な水揚げ地は佐渡、新潟、寺泊(長岡市)、能生(のう/糸魚川市)。地域によっては、「セイカイ(上中越)」「タカナ(佐渡)」と呼び名が変わる珍しい魚です。

白くて弾力のある身は淡白でおいしく、刺し身、塩焼き、蒸し物など、さまざまな料理で楽しめます。

新潟の春の魚②マダイ

マダイのイラストと写真

美しい桜色のマダイは、桜の咲く頃が旬。産卵期の5〜6月に接岸し、9月以降に沖合へと移動します。ごち網、底引き網、定置網を使い、筒石(つついし/糸魚川)、名立(なだち/上越市)、山北(村上市)、粟島浦村、小木(佐渡市)と、県内各所で水揚げされます。

5月のゴールデンウィーク頃には、粟島浦村で行われる伝統漁法である「大謀網漁(だいぼうあみりょう)」が最盛期を迎え、マダイをはじめ、ブリ、アジ、サバなど、さまざまな魚が見られます。

新潟の春の魚③サクラマス

サクラマスのイラストと写真

天然のサクラマスは2月下旬から4月にかけて佐渡沿岸域を中心に、また、3月下旬から5月にかけては本土側沿岸で定置網、引き釣りなどで漁獲されるほか、佐渡市の両津湾では養殖もされています。

バター焼き、ホイル焼き、天ぷら、フライなどさまざまな料理法でいただくことができますが、サクラマスといえば、やはり塩焼きが絶品です。日本近海で漁獲されるサケ・マス類のなかでは、もっともおいしいと言われる春の魚です。

新潟の夏の魚

ノドグロ、アマダイ、イワガキのイラスト

海や川遊びなど、アクティビティを楽しみながら、県内の漁港巡りを満喫できるのは新潟の夏の醍醐味。長岡市寺泊の海水浴場からほど近い「寺泊魚の市場通り」には、県内外からたくさんの観光客が訪れます。

夏になると、新潟ではキス、ノドグロ(アカムツ)、タチウオが旬を迎えます。スルメイカ、ガザミ(ワタリガニ)、アワビなど、魚以外にもおいしい水産物が豊富です。佐渡ではアサリ、トビウオ、イナダ(ブリの若魚)、マグロ(クロマグロ)など、県内でも特にたくさんの魚介が水揚げされます。

新潟の夏の魚①ノドグロ

ノドグロのイラストと写真

新潟県を代表する高級魚。標準和名は「アカムツ」ですが、赤い体とは対照的に口の奥が黒いことから「ノドグロ」と呼ばれています。県北部では「メヌキ」と呼ばれることもあるそうです。

一般的な旬は秋から冬ですが、新潟では産卵期にかかる夏から秋とされています。水揚げ地は山北、岩船、新潟、筒石。焼き魚、煮物でもおいしいですが、脂ののりが良く、刺し身も絶品です。

新潟の夏の魚②アマダイ

アマダイのイラストと写真

新潟で「アマダイ」といえば、「アカアマダイ」が一般的。県下では「ラツキダイ」とも呼ばれています。体がやや長く、へん平で、なた状という独特の体形。白身が柔らかく、甘みがあり、高級魚として扱われている魚です。

鮮度が落ちやすいため、軽く塩で締めてから調理するのがおすすめです。県外では冬を旬とする地域もありますが、こちらも新潟では夏の魚。季節による味の変化はあまりなく、一年中おいしい魚で、新潟の夏を代表する高級魚です。

新潟の夏の魚③イワガキ

イワガキのイラストと写真

村上市、佐渡市の夏の味覚といえば、天然のイワガキ。日本海の荒波に揉まれ、海底の岩場で育った旬のイワガキは最高のごちそうです。

天然物のイワガキは、生食で食べられることがほとんど。海のミルクといわれる濃厚な味わいにファンも多い水産物です。夏はイワガキ、冬はマガキと、新潟県では一年を通してカキが食べられます。

新潟の秋の魚

ヤナギガレイ、サケ、ニギスのイラスト

秋に旬を迎える魚と一緒に味わいたいのが、新潟県産の新米。白米との相性がいいサケやサバなどの脂がのった魚がたくさんとれるのも秋です。

カレイ類、ニギス、アマダイ、アジ、サワラが県内全域で漁獲され、佐渡ではタコやヒラマサも水揚げされます。

新潟の秋の魚①ヤナギガレイ

ヤナギガレイのイラストと写真

標準和名は「ヤナギムシガレイ」。新潟県内でブランド化が進むヤナギカレイは、年間を通して価格が高値となり、カレイ類のなかでも最高級品。ほっそりとした体型が柳の葉を連想させることからその名がつけられました。

秋から冬にかけて卵巣の発達したメスがおいしく、飲食店では焼き魚、煮付け、ムニエルなどで提供されます。繊細で上品な味わいは干物にも最適です。

新潟の秋の魚②サケ

サケのイラストと写真

「鮭のまち」として知られる村上市では、秋から冬にかけて三面川(みおもてがわ)のサケ漁がピークを迎えます。川で産まれ、海に出て4年で川に戻ってくるサケをウライ漁で漁獲します。

一番おいしい時季に水揚げされたオスを使用した村上名産の加工品・サケの塩引きは絶品。昆布巻き、のっぺにも入る、新潟の正月には欠かせない魚です。

新潟の秋の魚③ニギス

ニギスのイラストと写真

日本海特有の魚「ニギス」は、新潟県が北限地と言われています。口が小さく、歯も細かい魚で、動物プランクトンや小魚を食べて成長する魚です。

練り製品の原料として重宝されており、新潟県内ではフライや天ぷらにして食べられています。筒石、能生、名立、出雲崎、岩船で主に水揚げされ、地域によっては「ギス」「セギス」「メギス」とも呼ばれます。

新潟の冬の魚

南蛮エビ、ズワイガニ、アンコウのイラスト

海の幸が豊富で新酒もおいしい冬は、食の一大イベント「にいがた食の陣」が開催されるなど、新潟の魚が一番おいしく楽しめる季節です。

佐渡産の天然寒ブリ、アンコウ、ヤリイカ、ヒラメ、ハタハタ、マダラなど、彩り豊かな海産物が市場にあふれています。また、佐渡市の加茂湖や真野湾で養殖されるマガキも食べ頃。鍋料理や冬季限定の食べ放題メニューを提供する店舗もあるのでチェックしてみてください。

ほかにも、日本海のズワイガニ、新潟の冬の味覚・マダラやアンコウなど、地酒と相性抜群の水産物ばかりです。

新潟の冬の魚①南蛮エビ

南蛮エビのイラストと写真

正式名称は「ホッコクアカエビ」ですが、色や形が赤唐辛子(南蛮)に似ていることから「南蛮エビ」と呼ばれています。

水揚げ地は新潟、上越(能生、糸魚川)、佐渡(両津、赤泊、姫津)。通年通して漁獲されますが、水温が低くなる秋から冬が食べ頃です。

透明感のあるぷりぷりの食感と、口いっぱいに広がる甘みで、思わず顔がにやけてしまうはず。

新潟の冬の魚②ズワイガニ

ズワイガニのイラストと写真

ズワイガニ水揚げ量で全国6位(令和3年調べ)を誇る新潟県。足を伸ばすと80センチにもなり、身がたっぷりと詰まった冬の高級食材です。焼きガニや茹でガニにすると、素材の味を贅沢に楽しめます。

村上市から糸魚川市、粟島浦村の5漁協で組織する新潟越後広域水産業再生委員会では、2017(平成29)年から厳しい選別基準をクリアしたおよそ100匹に1匹の高品質なズワイガニを〈越後本ズワイ〉と名づけたブランドガニとして販売されています。

新潟の冬の魚③アンコウ

アンコウのイラストと写真

大きいものは体長1メートル以上にもなる、冬が旬の深海魚。標準和名は「キアンコウ」。鍋の具材として食べられるほか、あん肝は、フォアグラを思わせる濃厚さがおいしい珍味です。脂がのって肝臓が肥大するアンコウは、栄養補給にも最適。

灰褐色の大きな頭と口はインパクトのある見た目ですが、クセのない白身は柔らかく、肉質に上品さがあります。県内各地で水揚げされますが、特に村上市から新潟市にかけての県北と糸魚川市が主な産地です。

新潟の旬の魚を食卓に!

新潟の魚といえばノドグロやブリが有名ですが、それ以外にも季節ごとにおいしい魚がたくさんあります。寿司屋や居酒屋で、旅館や料亭で気軽に味わいつつ、鮮度にこだわった旬の魚が並ぶ漁協直営の直売所、市場やスーパーにも、ぜひ足を運んでみてください。栄養価が高く、レシピも多彩な魚は、家族の健康維持に一役買ってくれます。

毎日の食卓に新潟の魚を取り入れることで、地元漁師さんの応援、ひいては、まちの魅力アップにもつながります。おいしい新潟の魚を未来へ残すために、買って、食べて、応援しましょう!

さかなクンのプロフィールイラスト

Profile さかなクン

東京都出身。国立大学法人東京海洋大学名誉博士/客員教授。さまざまな魚の情報や知識、おいしい食べ方、環境問題にいたるまで全国各地で講演を行っている。2010年には絶滅したとされていた「クニマス」の生息確認に貢献。海洋に関する普及・啓発活動の功績が認められ、「海洋立国推進功労者」として内閣総理大臣賞を受賞。2022年夏には自叙伝『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!』(講談社)を原作とした映画『さかなのこ』が公開された。

credit text:松永春香 illustration:さかなクン